2年前から1日100名限定で公開、雄大な山の紅葉が満喫できる「白龍園」
いよいよ京都の本格的な紅葉シーズンも迫ってきました。数ある紅葉の名所のなかで、最近、にわかに注目をされているのが、京都の北、鞍馬・貴船にある「白龍園」。京都でも、まだ訪れたことがある人が少ない紅葉の穴場です。山の静寂に包まれながら、のんびり思い思いに秋の景色を愛でるひととき。なんとも贅沢な時間がここに。
ご紹介するこの「白龍園」は、実は、長らく公開されていなかったプライベートな庭園。京都に本社をもつ、大正12年創業の子供服メーカー「青野株式会社」が所有する山の庭園なのです。それが2年前から、春と秋に、1日限定100名で一般に特別公開されています。
叡山電鉄の「二ノ瀬駅」(貴船駅のひとつ手前)から徒歩7分。入口から続く小路を進むと、燃えるような鮮やかな紅葉が、次々に現れます。よく手入れされた庭は、緑の苔もみずみずしく、そこに散る楓の赤い葉に思わず足を止めてしまいます。町中の庭園の楓とは風情が異なる、のびのびと枝を伸ばした木々。貴船、鞍馬の山を赤や黄金色に染め上げるダイナミックな景色に、心洗われるよう。
そもそも「白龍園」になる前、ここは100年以上も手つかずの荒れ放題の山だったそう。それを、「青野株式会社」のオーナーや家族、社員の手により、約60年かけて、道を作り、石を運び、少しずつ整備していったとか。それは、荒れた山に昔から鎮座していた社を敬いたいというオーナーの思いから…。今、敷地内に厳かに祀られる「白髭大神」と「八大龍王」の社…そこから「白龍園」と名付けられました。
さて、山の斜面の敷地には、風情ある5軒の東屋が、見晴のいい場所に点在しています。それぞれの東屋からは、さまざまな趣異なる紅葉の景色が広がり、そこに立つと、目の前の山を彩る錦秋の景色にただ見とれるばかりです。
「うわ~」と思わず声を上げてしまう、空に向かい聳える大きな楓。赤い大きな傘を広げたような枝振りの立派さに、ただただ感激。微妙に異なる赤や朱色の葉の楓は、実は、2本の木がいっしょになったものだそう。
ここの紅葉って、色が濃い…とふと…。鞍馬・貴船という京都の北の山の中は、町中より気温が低く、冷え込みがきつい土地。だからでしょうか、葉の色づきがいっそう鮮やかに感じられます。
ひと休みする東屋の中から外に目を移すと、そこには、まるで屏風絵のような艶やかな紅葉が広がっていました。広大な敷地で、訪れた人たちが、思い思いに、秋を過ごせる「白龍園」。なんとも贅沢です。
多くの観光客が訪れる、貴船・鞍馬にあって、静かに錦秋を満喫できる、まさに知る人ぞ知る穴場なのです。
白龍園
京都市左京区鞍馬二ノ瀬町106
http://www.aono-kids.com/hakuryu/index.html
*「白龍園」の特別観覧は、11月1日~11月30日まで。観覧時間は、9時~12時。
叡山電車「出町柳駅」にて、1日限定100枚の「白龍園特別観覧きっぷ」(叡山電車全線1日乗り放題+入園料2000円)および「白龍園特別観覧券」(入園料のみ1300円)を当日発売。前売り券なし。売切れ次第発売終了。
特別観覧券は、「白龍園」では、販売していません。
詳しくは「叡山電鉄」のホームページで http://eizandensha.co.jp/
小原誉子
ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」
http://blog.goo.ne.jp/mimoron/