おうちで楽しむ、京の味と物
おうちにいながら京都気分に浸れる、『おうちで楽しむ 京の味と物』をご紹介しています。インターネットや電話などで、全国どこからでも注文できます。
第46回
暮らしを豊かにする紙の魅力に触れる「紙司柿本」
棚に並ぶ色とりどりの紙…ここを訪れるたびに、心ときめいてしまいます。
日本の自然の豊かな色彩を映したような温かみを含んだ色、そして古くから受け継がれた日本各地の手漉き技法による表情に富んだ和紙、それらはまさに日本の文化を育んできたものなのです。
京都の町中、三条通から麩屋町通を少し北に上がった場所に、大きな暖簾が下がる「紙司 柿本」。そのお店の起源は、寺町二条で享保年間(1716)から営む竹屋に遡ります。
現在、その場所は、本店改築中で、そのため麩屋町三条を店舗とし、顧客を迎えています。
紙屋として商いを始めたのは、弘化2年(1845)で、若狭から養子に迎えられた初代から数え現在6代目となる柿本遼平さんが店主を務めます。
店の入口には、創業年を示す石のプレートが…。
町家を改装した麩屋町三条の店は、古い町家の風情をそのままに、紙屋らしくそれぞれの品が合理的に理路整然と棚に収まっています。
奥の坪庭、そして蔵にまで続く奥行の深い町家の構造…壁面に設えられた棚を見てゆくだけでも、日本における紙の種類の多さを改めて実感する景色。
日本人ほど、紙が好きで、紙にこだわった人たちは世界でも類を見ないのでは…。
店に並ぶ品々は、実はごく一部で、京都を代表する神社仏閣に、昔から紙を納めるとともに、印刷に使われる洋紙なども多くの印刷会社に納める、まさに紙のエキスパートが「紙司柿本」なのです。
店を訪れる紙好きが手軽に紙の魅力に触れられるよう作られているのが、国内外の優れた紙の産地から選び抜かれた紙を使った「紙司柿本」オリジナルセレクトの品々。
さまざまなサイズの帳面、個性豊かな名刺紙、洒落た雰囲気の御朱印帳など、文房具好きには、見逃せない品々を手に取ることができます。
京都を訪れたら、必ず立ち寄り買い求めるという人も多いという上質の京都土産になっています。
店の一番奥のスペースは、まるで書斎のよう。
そこには、さまざまな筆記用具に対応するノートなども揃っていて、紙を使う暮らしの楽しさを提案。
種類豊富な紙をはじめ、オリジナルの品々は、オンラインショップでも購入可能。
手書きの便りをしたためたり、心に浮かぶ思いをノートに綴るなど、おうち時間を過ごすのも素敵なことなのでは…。
さて、今回、久しぶりに訪れたお店で、心惹かれたのは、艶やかな紙。
表面に模様の凹凸があり、それが漆のような艶に覆われています。
「うるし紙」と言われる紙で、その模様は、網代をはじめ、ヨーロッパの壁紙を思わせる、なんとも洒落たデザイン。
紙箱に貼ったり、ブックカバーにしたり、またインテリアにも応用できそうな紙なのです。
1枚330円という価格も魅力的で、創作意欲が刺激されます。
こちらもオンラインショップで購入可能。
秋になり京都旅の計画を立てられている方もいらっしゃるのでは?
その折は、ぜひお店へ。
紙を熟知するスタッフの方々に紙の特性や使い方なども教えていただくのも旅の楽しみのひとつに…。
「紙司柿本」(麩屋町三条仮店舗)
京都市中京区麩屋町三条上ル下白山町310
☎075-211-3481
営業時間 9:30~17:00
定休日:月曜・祝日
(*現在、営業時間が変更される場合があります)
京都の文化・観光を伝えるブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」