新年を迎え、華やぐ京の町で、ぜひおでかけしたいのが、その年の福を招く「えびす祭」です。商人の町、京都では、このお祭りがとても盛んで、鯛を抱えたえびす様をお祀りする八坂神社の『北向蛭子社』や、粟田神社の『出世えびす祭』など、いろいろなえびす社で開催されるおめでたい祭事です。
なかでも特に大勢の人で、夜中まで賑わうのが、1月8日から12日に、祇園の南、大和大路通にある『京都ゑびす神社』で行われる「十日ゑびす大祭」。商売繁盛、家運隆昌、そして金運アップなどをお願いに、境内は、京都をはじめ、全国から参拝客でいっぱいに。神社に続く通りの両脇には、ズラリと夜店が並び、そのにぎやかなこと…。
さて、この『京都ゑびす神社』は、東側にある建仁寺の建立にあたり、その鎮守として建てられたもので、起源は、なんと800年以上という歴史ある神社。西宮・大阪の今宮神社と並び「日本三大ゑびす」と称され、京都では「えべっさん」と親しみを込めて呼ばれます。
訪れた人は、境内で参拝した後、商売繁盛などを祈願した吉兆笹を求めます。それに宝船や福俵、小判や大判、鯛といった縁起物を結びつけ、家や店に飾るのが、京都でお商売する人の慣習。一般家庭でも、よく飾られています。「今年は、どれをつけようか…」。社務所の前に並ぶ種類豊富な可愛らしい縁起物…欲張って、全部つけたくなります。(でも、ひとつ500~1000円くらいするので、ほどほどに…)。
祭りの5日間の期間中、東映太秦撮影所の女優さんが江戸時代の芸妓姿で、松竹梅などで飾られた「宝恵かご社参」で参拝したり、祇園や宮川町の舞妓さんたちによる福笹や福餅を授与など、さまざまな催しがいっそう賑わいを誘います。
あ、そうそう…参拝の時、忘れてならないのは、本殿正面からだけでなく、建物の南側を叩いて、お詣りすること。というのは、えびす様は、なんでもご高齢なので、ちょっとお耳が遠いそう。ですから、壁を叩いて、えびす様を起こして、お願いごとをするのだとか…。七福神で、唯一、日本出身の神様と言われるえびす様。京都では、七福神めぐりも盛んです。
日本経済がいっそう良くなるように…そして、みんなが幸せな1年を過ごせますよう…。境内は、笑顔と共に、おめでたさにあふれます。
「商売繁盛 笹もってこい!」ここに来ただけで、福をいただいたよう…そう思える『京都ゑびす神社』の「十日ゑびす大祭」です。
*「京都ゑびす神社」京都市東山区大和大路四条南 小松町125 ☎075-525-0005
交通/四条河原町交差点から徒歩10分
「十日ゑびす大祭」1月8日~12日
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小原誉子 京都の観光と文化を案内するブログ〈ネコのミモロのJAPAN TRAVEL〉
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