第49回
菓子処「笹屋伊織」
京都の中心的存在は何と言っても「京都御所」。周囲4キロの広大な敷地の「京都御苑」は、早春の梅に始まり、桜、新緑、紅葉、雪景色など四季の景色が楽しめる魅力的な場所。
毎月のように訪れる私…広い敷地は、一度入ると砂利の道をトコトコと進み、その距離はかなりなものに…「どこかでお茶して休みたいと…」と思う人には、今まで西側の休憩所しかありませんでした。でも…
今年5月20日、「京都御苑」の北側に新設された「近衞邸跡休憩所」の中に老舗菓舗「笹屋伊織」がお休み処をオープン。実は、このエリアは、春はしだれ桜の名所で、そのお休み処は、まさに桜の園のすぐ近くにあるのです。
さっそくオープンを待ちかねて出かけた私。店内には、新しいお休み処にふさわしく、清々しいヒノキの香りが漂っています。江戸時代創業の「笹屋伊織」は、有職菓子司として「京都御所」をはじめ、神社仏閣、茶道お家元の御用も務める老舗。
「東寺」との関わりが深く、弘法大師の命日の毎月21日前後には、名物の「どら焼」が店頭に登場。それを楽しみにする京都の人も多いのです。「ここで買えるようになってうれしい!」と個人的に思う私です。
もちろん季節のさまざまな和菓子、また善哉などの甘味の美味しさも定評がある京都を代表する「笹屋伊織」ですが、このお休み処は、「SASAYAIORI+京都御苑」という名前で、伝統の味と今らしさを融合させたコンセプトで、抹茶と和菓子のほかに、抹茶パフェやかき氷などバラエティも豊かで、幅広い年齢層が楽しめるも品々が揃っています。
店内の一角でお客様ひとりひとりに点てられる抹茶…。
季節の和菓子と共にいただく、心和むひとときが流れます。
また、抹茶ゼリーやアイスクリーム、小倉餡、白玉などが器いっぱいに盛られた「抹茶パフェ」も見逃せません。
そんなさまざまな和のスイーツの美味しさだけでなく、ここの魅力は、まるで屋外にいるような開放感あふれる店の造りにも。広い敷地の「京都御苑」なので、店内の席から眺める景色も広々として、その気持ちよさは、まさにここならではと言えましょう。
今は緑の木々が窓一面に…。秋ともなれば、周囲の木々が紅葉し、艶やかな景色が…。
そして私にとって何より楽しみなのは、しだれ桜など大きな桜が、きっと店から眺められる春なのです。
「年間を通じて、本当に素晴らしいひとときを過ごしていただけると思いますよ。昔から御用を務めさせていただいた御所のおそばでのお仕事…本当にありがたいことです」とおっしゃる女将の田丸みゆきさん。
老舗の女将としての経験などを通じ、いろいろな講演などでもご活躍の憧れの女性です。
いつお目にかかっても素敵な笑顔が印象的。
私にとって、「京都御苑」を訪れる楽しみが倍増したこのお休み処。
「あそこに行けば、美味しいお菓子が待っている!」と、走りにくい砂利道を進む自転車のペダルにも力が入りそう。
さて京都観光にいらした方にとっても、「京都御所」「京都迎賓館」「京都仙洞御所」など、見どころも多い「京都御苑」。訪れたときは、ぜひここでひと休みを…。
お土産の品も揃っています。
「SASAYAIORI+京都御苑」
(ササヤイオリ プラス キョウトギョエン)
京都市上京区京都御苑3
☎075‐256-7177
営業時間 10:00~16:30 月曜休み(月曜が祝日の場合は、翌日)
最寄り駅 地下鉄烏丸線今出川駅徒歩5分
京都の文化・観光を伝えるブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」