久々に海外旅行へ行きたいな・・そう思っていましたが、昨今の状況を鑑みて断念。
ならば、日本でイタリアを感じられる場所は? と考えたところ、真っ先に思い浮かぶ場所がありました。
銀座のアルマーニ / リストランテへ。
かつてアルマーニのジャケットに込められたデザイナーやパタンナーの技、トップクラスのクリエーションは私に限りないパワーをくれました。
上質でシンプルかつエレガントなアルマーニの精神が根底にあるレストランは、私にとってイタリアそのもの。イタリアンはピッツァやパスタだけじゃない、ファインダイニングとしてのイタリア料理を教えてくれた場所でもあります。
若き天才シェフの存在も気になっていたところ。
イタリアやスペインのミシュラン星付きレストランを経験後、来日しアルマーニ / リストランテ東京のエグゼクティブシェフに就任したカルミネ・アマランテ氏。
イタリア版のミシュランガイドとも言われるGambero Rossoで「Chef of the year」を受賞された天才シェフです。
カルミネ・アマランテシェフの料理哲学「南イタリアの伝統料理と日本食材との融合」を進化させた夏メニュー「TRADIZIONE」のコースを選びました。
このコースは全7皿で構成される、ランチタイムもディナータイムにも同内容で展開されるコースです。
「アミューズ」は3種のフィンガーフードが登場。数ヶ月かけて作り上げる自家製ブリザオラを乗せたブリオッシュやアルマーニのロゴがキュートな「アルマーニオレオ」、その見た目と味に感動したスモークしたカンパチを海苔で巻いた和を感じさせる一品の3種。
シュワシュワの泡が美味しいスパークリング。ペアリングも秀逸です。
リゾット カチョ エ ペペ 雲丹。
バフン雲丹はカルミネシェフが惚れ込む日本食材の1つだそうで、濃厚で味わい深くたまらない一品でした。
南イタリアは地中海に突き出した形をしていて三方を海に囲まれているため、魚介類を使用した料理も多いためかシェフの魚介の扱いが素晴らしいです。
太刀魚スカペーチェ サフラン。
ひと晩マリネした太刀魚を香ばしく焼き目をつけた、目の覚めるような美しい色のサフランソースでいただくメイン。サフランは高級日本産サフラン「Akaitoサフラン」を使用。
イタリア料理で使用されることは珍しい太刀魚ですが「非常に繊細で独特な味わいに惹かれ以前から挑戦したいと思っていた」というカルミネシェフ。身の部分を2つのパートに分け、それを一晩かけて接着し、まるで1枚の切り身のように調理すること独特な技法を用いています。
サフランのソースは、キッチンで出る野菜の端切れを出汁に使うというフードロス問題も見据えた1皿でした。
長年に渡り環境問題や社会問題に対して積極的な取り組みを行っているジョルジオ・アルマーニ氏の環境問題や様々な社会問題への意識の高さが感じられました。
デザートは、定番の「ババ ナポレターノ」。
コロンとしたクラシックな形のババ生地にはレモングラス、シナモン、スターアニス、バニラ、オレンジ、レモンが練りこまれており、優しく奥深い味わい。トップにはたっぷりとシャンティークリームを乗せ、チェリーのコンポート“アマレーナ”の乗ったベルガモットシャーベットが添えられています。カルミネシェフが祖父から受け継いだレシピで作り上げるババはイタリア本場の味でした。
デザイナー ジョルジオ・アルマーニの美学が体験できる洗練された空間と、エグゼクティブシェフ カルミネ・アマランテ氏が作り上げる至福の料理との融合がまるでイタリアを旅しているかのような錯覚に。
アートの様な美しい料理を作り出すシェフは芸術家ですね。音楽家は音楽を奏でますが、シェフは料理をする芸術家なのだと感じました。視覚や味覚に嗅覚など五感の全てに訴えかけてくる。五感全てがフル稼働し感動しました。
こちらの夏メニューは9月も提供されるようです。
早くも秋メニューが楽しみでならないのです。