こんにちは、寺社部長の吉田さらさです。
今回は、上野の森美術館で開催中の展覧会「モネ 連作の情景」(~2024年1月28日〈日〉)のご紹介です。自宅の庭に咲いていた連作などが世界中で大人気のクロード・モネ。日本でもモネが大好きという人が多いですね。
今回の展覧会は1874年にフランス・パリで第一回の印象派展が開かれてから150年の節目を記念して開催されるもので、年代を追って作品を見て行くことができます。
モネの作品の特徴は色と光の繊細な表現です。睡蓮に代表されるように同じ対象を時間や角度を変えて描く「連作」が多いことでも知られます。
今回の展覧会では、複数の連作絵画が並べて展示され、比較しながら見ることで、より深くモネの世界に浸ることができます。
展示会場への入り口も、こんなに素敵な空間になっています。壁にはモネが愛して長く暮らしたフランス・ジヴェルニーの「モネの池」の写真、床にも睡蓮の映像が投影され、「さあ、これからモネの世界に入って行くのだ」という気分が高まります。光と影が織りなす情景が美しく夢のようです。
こちらは、モネがまだ印象派の画家と呼ばれるようになる以前の作品です。
左の巨大な絵は家族をモデルに描かれました。自信作でしたが1870年のサロンに落選し、その後、モネは本格的に印象主義に向かうようになります。
右の絵は、モネがアトリエとして利用した小舟で、セーヌ川に係留されていました。
舟の上から水面や水辺の風景を観察できる、風雨や日照りを避けられるなどの利点がありました。
モネは1883年に終生暮らすことになるジヴェルニーに移り住みました。
この2作品は、そのジヴェルニーからセーヌ川を少し下ったところにあるヴェルノンというところの風景を描いたものです。左側の絵では、教会と町の様子が川面に映っています。
セーヌの流れが穏やかで、まるで湖のようです。
エトルタは英仏海峡に面した漁村で、切り立った断崖や奇岩が多く、観光地としても人気でした。象の鼻のような形のラ・マンヌポルトという岩を描いたこの2枚は、同じような角度から描かれており、細かく比較するととても興味深いです。
左の絵は岩の内側に光が差し込んでいますが、右の絵では岩に光が射していないように見えます。波の様子や空の色も違っており、描かれた時間や天候、季節などが違うことがわかります。
これも同じ場所を描いた作品ですが、光の射し方がまったく違います。
右側は曇りの日なので全体にどんよりしていますが、左側の日没の方は、空も夕焼け色になり、水面も赤く染まっています。
モネは1884年から86年にかけて、牧草地の積みわらの絵を8点描いています。
農村ではありふれた風景なのかも知れませんが、光と色彩の繊細な表現のおかげで、とても魅力的に見えます。
モネは1890年にジヴェルニーに家と土地を買い、人工的な池を作りました。そこで睡蓮を栽培し、周囲に柳やポプラを植えたのですが、これは、絵の題材にするために計画的に作られたものだったとのこと。
最初に睡蓮の絵が描かれたのは1897年。翌年にかけて8点が描かれ、右側の作品はその中の1枚です。よく見る睡蓮の絵とはずいぶん雰囲気が違い、池の水面が単なる背景のようですね。
左側はそれから20年後の作品。水面も睡蓮も夢の中の風景のように揺らめいています。同じものを描いても、作風はどんどん変化しているようです。
モネ 連作の情景
東京展
上野の森美術館
2023年10月20日(金)~2024年1月28日(日)
大阪展
大阪中之島美術館 5階展示室
2024年2月10日(土)~2024年5月6日(月・休)
詳細は公式サイトをごらんください。
𠮷田さらさ 公式サイト
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