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アドリア海の真珠 クロアチアへの旅

吉田さらさ

吉田さらさ

寺と神社の旅研究家。

女性誌の編集者を経て、寺社専門の文筆業を始める。各種講座の講師、寺社旅の案内人なども務めている。著書に「京都仏像を巡る旅」、「お江戸寺町散歩」(いずれも集英社be文庫)、「奈良、寺あそび 仏像ばなし」(岳陽舎)、「近江若狭の仏像」(JTBパブリッシング)など。

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こんにちは、寺社部長の吉田さらさです。

 

今回はバルカン半島の西岸にある美しい三つの国、スロベニア、クロアチア、モンテネグロを巡る旅をご紹介します。

クロアチアはサッカーが強いことでも有名ですが、あとの二国はあまり知られていないかも知れませんね。まずは簡単にこれらの国々について説明しておきましょう。

 

位置はアドリア海を挟んでイタリアの対岸。三つの国はほぼ並んでおり、もともとはユーゴスラビアという国に属していました。バルカン半島は、第一次世界大戦の前から「ヨーロッパの火薬庫」と呼ばれるほど戦争が多かった地域です。

第二次世界大戦後に他の共和国や自治区などと統合されてユーゴスラビアというひとつの国になりましたが、ユーゴスラビアは1990年代に解体され、スロベニア、クロアチアなどいくつかが国として独立。クロアチアでは紛争が激化しました。ボスニア・ヘルツェゴビナ紛争、コソボ紛争なども勃発し、激しい空爆も行われました。その様子はテレビでもよく報道されたので、記憶している方もいるでしょう。

内戦が終わり、バルカン半島に平和が戻ってきました。現在は治安も安定し、三つの国はヨーロッパの人々に大人気の観光地に変貌。とりわけドブロブニクに代表されるクロアチアの海辺の街々は、夏の間、バカンス客で大混雑します。

この写真はドブロブニクの港です。訪れたのは10月でしたが、まだ暖かく、周辺のビーチではまだ泳いでいる人々もいました。

今回の旅は、イスタンブール経由でスロベニアに行き、陸路でクロアチア、モンテネグロまで旅をします。まずはスロベニアの首都、リュヴリャナからスタート。いかにもヨーロッパらしい静かで美しい街並みです。

スロベニアで一番人気の景勝地、ブレッド湖。手漕ぎの船で、湖の真ん中の小島にある聖マリア教会を訪ねます。まるでおとぎの国のような風景でした。

美しい風景を眺めながらランチ。

湖で獲れたマスのフィレ、ポテトピューレ添え。美味しくいただきました。

 

こちらもスロベニアを代表する観光地、ポストイナ鍾乳洞。ヨーロッパ最大規模の鍾乳洞です。

洞窟の半ばまではトロッコ列車で行きますが、これがなかなかスリリング。トロッコを降りてからは徒歩で見てまわります。スロベニアはカルスト地形のため、大規模な鍾乳洞が多いようです。

 

国境を越え、いよいよクロアチアへ。まずは、イストラ半島の南端にあるロヴィニという港町に行きます。歴史的に対岸のイタリアとの関係が深く、クロアチア語と並んでイタリア語も公用語になっています。街の風景も、どこかベネチアを思い出させます。

 

イストラ半島はトリュフの産地。市場には、生のトリュフだけでなく、瓶詰のペーストなどの加工品もたくさん並んでいます。ハーブで香りづけしたオリーブオイルも人気。

ロヴィニのレストランでいただいたトリュフソースがけのラヴィオリ。

とてもおしゃれな盛り付けでした。

 

クロアチアの首都、ザグレブの街並み。街中にはトラムが走り、暮らしやすそうです。

古い建物がよく残っており、どこかウィーンの街並みに似ています。

クロアチアはネクタイ発祥の地。昔、クロアチアの軍隊の人々が首にネッカチーフを巻いていたところ、フランスのルイ14世が「あれはなんだろう、おしゃれだな」と言ったことがきっかけで広まったとか。

そういうわけで、クロアチアの街には、よくこのようなネクタイ屋さんがあります。

 

クロアチアを代表する観光地、プリトヴィツェ湖群国立公園。大小16の湖と92の滝が作り出す、この世のものとは思えないほど美しい風景です。

公園の入り口付近にあるホテルに宿泊し、徒歩とボートでゆっくり回りました。

 

再び海辺に出て、クロアチアの人気観光地のひとつ、スプリットという街を訪ねました。

こちらには、ディオクレティアヌス宮殿跡という世界遺産があります。2世紀後半から3世紀にローマ帝国のディオクレティアヌス帝が建てた巨大な宮殿が見事に残っています。

 

こちらは、スプリット郊外のKADENAというレストランのお料理。

ミシュラン掲載の名店です。

クロアチアの海辺のリゾートタウンには、ミシュラン星付きレストランもよくあります。

 

そして、クロアチア最大の観光地にしてリゾート地のドブロブニクへ。まずは、ケーブルカーに乗って高台に行き、城壁に囲まれた旧市街を俯瞰してみます。この城壁は登ってぐるりと歩くこともできます。

旧市街は早くから世界遺産に指定されていましたが、1991年、ユーゴスラビア崩壊によって始まった紛争により空爆の被害も受けました。現在はきれいに修復されていますが、街を歩いていると、「ここからここまでは修復部分だな」とわかるところも見つかります。

迷路のような細い道が張り巡らされ、散歩が楽しい街です。

路地裏にも意外に美味しいレストランがあったり、不意に急な石段に出くわしたりと、発見がいっぱい。

 

こんな船に乗って沖に出て、海から旧市街を眺めることもできます。

 

そして最後の訪問国、モンテネグロへ。ドブロブニクから海辺の道を走ります。まるでフィヨルドのように深い入江が多く、息を飲むほどの絶景が続きます。

そこここに美しいビーチがあり、リゾートライフを楽しんでいる人々もいます。最終目的地はコトルです。ここも深い入江の奥にあり、城壁に囲まれた小さな旧市街を散策できます。ジブリのアニメに出てくるようなかわいい街でした。

 

クロアチア旅のお土産たち。街のスーパーや市場で買ったものがほとんどです。

左上から時計回りに、ドライいちじく、ツナとオイルサージンの缶詰、国産ブランドのチョコレート、いちじくとレモンのジャム、はちみつ、その上は右からトリュフ風味の塩、黒トリュフと白トリュフのペースト。

左下の青い袋はベゲタといって、クロアチアの家庭で親しまれているスープの素です。

 

ヨーロッパ旅行はずいぶん行きましたが、あまり一般的ではない国々に行くと、新しい風景や料理に出会えるなど、まだまだ興味深いことがいっぱい。これからも知らない国に旅したいですね。

 

 

長きに渡ったわたしの連載コラムもこれで終了ですが、読んでくださってありがとうございます。またどこかでお会いしましょう。

 

 

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