こんにちは。かりぃです。
インド最大、かつ最も華やかなお祭り「Diwali(ディワリ)」をご存じですか?
「光の祭典」とも呼ばれ、街中が美しくライトアップされ、あちらこちらで花火が打ち上がり、爆竹の音が朝まで鳴り響く…人々は華やかな伝統衣装に身を包み、家族や親しい友人たちと集い、プレゼントを贈り合う——まるでお正月とクリスマスを合わせたようなヒンドゥー教のお祭りです。

こちらはインド本国のディワリの様子(AdobeStockより)
私がインドに住んでいた子ども時代には、この写真のようにロウソクや灯油ランプのオレンジ色の光が街中に灯っていましたが、今はLEDやプロジェクターの登場で随分カラフルになっているみたい。
ディワリは、神(善)が悪に勝利したお祝いの日。
暗闇に灯される光は、悪に打ち勝った善を象徴しているのだそう。
南インドでは「Deepavali(ディーパバリ)」と呼ばれ、南インド系移民の多いマレーシアでもディーパバリと呼ばれています。月の満ち欠けを基準にするヒンドゥー暦によって決まるので日付は毎年変わりますが、今年のディーパバリは10月20日でした。
お正月が3回ある国、マレーシア
多民族国家マレーシアでは、マレー系、中華系、インド系のそれぞれの重要なお祭りがすべて国民の祝日になっていて「お正月が3回ある」とも言われています(笑)
子どもの学校など、夏・冬のお休みに加えこの3度のお正月のたびに1週間ずつお休みになるのだからびっくり。
さらに驚くのは、王様の発表により度々国民の休日が増えること。つい先月も、もともと火曜日だけだった祝日が、前日の月曜日もお休みになり4連休が誕生しました。
儚くも美しいコーラム
ディーパバリが近づくと、ショッピングモールや公共施設の入り口には、色付けされたお米や花びらを並べて描かれる美しいアートが出現します。

“Kolam(コーラム)”や”Rangoli(ランゴリ)”と呼ばれる「幸運と繁盛を招き入れる」宗教アート。個人宅でも玄関先に小さなコーラムを描いたりします。
孔雀の羽と文字は全てお米。細い筒に入れた色米を床に落としながら描いていきますが、お米は固定せず触れば崩れてしまう儚さ。これはヒンドゥー教の “無常観―この世のすべては移ろいゆく” に通じていて、”今を生きよ”という教えが込められているのだそう。

花びらで描かれたコーラム。
昔、インドの大富豪の結婚式に参列した時には、巨大なスタジアムの床一面にこの花びらのコーラムが描かれていました。しかも1週間続く結婚式で、その絵柄が連日一夜のうちに創り変えられていくという贅沢さ。圧巻でした。
賑わうクアラルンプールのインド人街へ


普段は車道になっている部分にまで屋台が立ち並び、ボリウッドさながらの大音響でインド音楽が鳴り響き、花火が打ち上がり、お祝いムード全開。手を装飾するヘナアート(右上)は大人気で、数店舗おきにヘナアートのブースが並び、小さい女の子から大人までたくさんの女性が描いてもらっていました。

ディーパバリには洋服や宝飾品を新調したり、贈りあったりする習慣があるため、どのお店も50% OFFやBIG SALEの文字が踊り「ディーパバリ商戦」に沸いています。この華やかな衣装やゴージャスな宝飾品が普通に似合ってしまうインド系の女性たち、羨ましい。

お祝いには欠かせないインドの伝統菓子も購入。私が一番好きなのは、ミルクを煮詰めた練乳味の練り切りのようなお菓子。その他、カシューナッツのペーストや、ひよこ豆、ココナッツを使ったお菓子、ハチミツ漬けにしたお菓子などなど。
カラフルなヒンドゥー寺院で参拝

普段からカラフルなヒンドゥー寺院ですが、この時期はさらにライトアップされ、まるでテーマパークのよう。皆、靴を脱いで足を洗い、手を清めて中へ。入り口で灯油ランプや果物、お花などを購入して神様に捧げます。私も灯油ランプを捧げてお祈りしてきました。(左下)インドから中国に伝えられて孫悟空のモデルになったとも言われている、猿の神様 “ハヌマーン”
「無理に踏み込まない」共存の素晴らしさ
ディーパバリはインド系の人々のお祝いだけど、食事会には仲の良いマレー系や中華系の友人たちを招くことも。マレー系、中華系の人々は自らディーパバリのお祝いをすることはないけれど、インド文化を尊重して、あたたかく見守っている。
無理に人の文化に踏み込まない。それぞれの文化を大切にしながら、ありのままに、ただ共存している。とてもピースフルで美しいと感じます。
マレーシアでは日々の暮らしの中でもその “自然な共存” を感じる機会が多くて、これは私がマレーシアを好きな一番の理由かも。

平和は平和な時にしかつくれないから
子どもの頃のインドでの出来事。
朝はいつもどおり平和に学校へ行ったのに、夕方にテロが起き、夜には大暴動へと発展。みるみるうちに街は炎に包まれ、殺戮の場に。その後、半月ほど紛争状態が続き、外出もままならず、備蓄の缶詰で凌いだ経験があります。
平和って、壊れる時は本当にあっという間。たぶん、数時間もあれば充分。衝撃でした。その時実感したのは「 平和は平和な時にしかつくれない」ということ。争いが起きてからでは、もう遅い。
多民族の国だからこそ、それがよくわかっているマレーシア。日頃から異文化を尊重して信頼関係を築いているのは平和を保つ知恵ですね。
無常の世の中、いつ何があるかわかりません。私たち日本人も平和なうちに世界の人々と相互理解と信頼を深めておくことは、本当に重要だと思っています。
2040年、地球上の5人に1人がインド人に!
ところで!国連の統計によると、あと15年くらいで人類の20%がインド人になるってご存知でしたか?地球上がますますインドの方々でいっぱいになります(笑)。

日本でも随分前から、東京、横浜、大阪、名古屋、その他いろいろな場所でディワリ/ディーパバリのお祭りは行われていますが、これからは益々インド文化が身近になるかもしれません。
私たち日本人は、縁起の良いもの、楽しいものは、おおらかに受け入れる国民。お葬儀は仏式でも、お正月には神社へ。クリスチャンじゃなくても、いつの間にかクリスマスは記念日として楽しんでいるし、バレンタインやハロウィンだって既に恒例行事になっている。同じように、気付いたらこの「光の祭典」も楽しんでいた…なんていう日がやってくるかも?! Happy Deepavali!!

沖縄県 東京生まれ。インド育ち。メキシコ暮らし・沖縄暮らしを経て、2025年6月よりマレーシア在住。夫と中学生の娘との3人暮らし。おいしいもの・旅・美容・健康に強い関心あり。度々自宅で開く宴会が元気の源。ペンネーム「かりぃ」は沖縄語で「乾杯!」。スーパーフード「モリンガ」商品製造販会社経営、NPO活動、翻訳・ライターなど数足の“わらじ”を履いて奔走中。人生で出会った魅力的な人、場所、味、面白い出来事、お届けします♪


