但馬の小京都、出石を歩こう
こんにちは、寺社部長の吉田さらさです。
桜が散り、新緑が美しい季節となりました。
毎年この時期になると、わたしは知らない町にふらりと一人旅に出かけます。
今回は、そのようにして見つけたお気に入りの町、出石(いずし)をご紹介しましょう。
そもそも、その出石ってどこにあるのか?
兵庫県の北部、日本海側に有名な城崎温泉がありますよね。
そこより少し手前に山陰本線の豊岡という駅があり、
そこからバスで1時間ほど。
人気がある観光地なので、電車の駅はなくとも、わりと行きやすいです。
バスは町の中心部、出石城址の近くの広場に着きます。
観光案内所があるので、天気がよければ、
ここでレンタサイクルをするのがお勧め。
まずは、出石の古い歴史を知るために、
中心部から少し離れた出石神社にお参りましょう。
創建は古く、奈良時代。
朝鮮半島にあった新羅国のアメノヒボコという王子様が、
地元の女性と結婚してここに住みつき、
製鉄など大陸の優れた文化を伝えたと、古事記に書かれています。
その時アメノヒボコは、布や珠、鏡など八種類の宝物を持ってきたのだとか。
この神社は、そのアメノヒボコと八種類の宝物を神様として祀っています。
つまり、アメノヒボコとこの神社が出石の始まりということです。
出石神社
出石は城下町として発展したため、
町の中心部にも、いくつもの神社やお寺があります。
中でもお勧めは、たくわん漬の考案者とされる(史実かどうかは定かではない)
沢庵和尚ゆかりの宗鏡寺(すきょうじ)です。
これからの季節は、お庭の緑が一段と美しくなります。
宗鏡寺
その宗鏡寺の参道で、素敵な石仏を発見。
お堂の中の立派な仏像もいいけれど、
わたしは、道端にある素朴な石仏も大好き。
これは十一面観音。穏やかな表情が魅力的です。
昌念寺というお寺では、
素晴らしいお地蔵さんと出会いました。
これは昨年のゴールデンウィーク前に撮影した写真ですが、
名残の八重桜がまだありました。
昌念寺
兵庫県豊岡市出石町魚屋105
出石には、お地蔵さんに色を塗る「化粧地蔵」の風習も残っており、
城跡の背後の里山には、こんなカラフルな六地蔵さんもありました。
こちらは、連載6回目「知られざる寺社のスター 、石仏を探そう」でもご紹介しています。
出石で嬉しいのは、町のいたるところに皿そばの店があることです。
その数、何と40軒。
皿そばとは、その名のとおり、小皿に盛り付けたそばのことで、
生卵、大根おろし、とろろ、ネギ、わさびなどの薬味をダシに入れていただきます。
なぜ、そばとあまりかかわりがなさそうなこの地方に、
このような独特の食べ方が伝わっているのか?
もともと信州の上田のお殿様だった仙石氏の一族がこの町を治めるようになり、信州からそば職人を連れてきたのがはじまりとされています。
出石そばについてもっと詳しく知りたい方は、但馬国出石観光協会ホームページの中に情報があります。
http://www.izushi.co.jp/sobahistory/
せっかくたくさん店があるのだから、いろいろ試してみたいという方は、
観光案内所で、「出石皿そば巡り巾着セット」(1,944円)をお買い求めください。
巾着には永楽通宝が3枚入っており、1枚で皿そば(3皿)のお食事ができます。
つまり、このセットを使えば、
3皿のそばを3軒のお蕎麦屋さんでいただけるということ。
裏側に、お店の記念スタンプも押していただけます。
巾着は出石の特産品『出石ちりめん』を使用。
使うほどに風合いがよくなるので、わたしは今でも小物入れとして使っています。
出石の町をさらに華やかにしているのは、
明治34年開館の、関西最古の芝居小屋、永楽館の存在です。
大改築を経て平成20年によみがえり、
片岡愛之助さんの歌舞伎公演も行われるようになりました。
永楽館
愛之助さんの今年の公演の詳細もここで見られます。
永楽館についてもっと詳しく知りたい方には、
集英社刊「愛之助が案内 永楽館ものがたり」という本もあります。
出石観光に関する総合的な情報:
但馬国出石観光協会
●わたしが撮影した石仏写真に文章をつけた本、
出石の素敵なお地蔵さん、石仏さんが、たくさん登場していますよ。
吉田さらさ
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