「紅葉を愛でつつ、心鎮める写経体験」 東福寺塔頭(たっちゅう) 毘沙門堂 勝林寺
京都を訪れる女性たちの間で、今、密かな人気を呼んでいるのが、写経です。「観光でお寺をめぐるだけでは、物足りない…もっと京都に来たからには、何か心に残る体験がしたい…」そんな思いからでしょうか、坐禅、写経、写仏など、お寺でいっそう充実した時間を過ごす女性が、年々増えています。
今回、ご紹介する「東福寺塔頭(たっちゅう) 毘沙門堂 勝林寺」は、年間を通じ、写経、坐禅などの体験を受け付けてくれるお寺です。
臨済宗東福寺派の大本山「東福寺」は、秋になると、一面、色鮮やかな紅葉が広がる、京都屈指の紅葉の名所として有名。その塔頭(たっちゅう)のひとつ北に位置する「毘沙門堂 勝林寺」は、御本尊に平安時代作の秘仏の毘沙門天をお祀りする 創建1550年と言われる古刹です。
また、毘沙門堂前堂には、日本画家・櫟文峯(あららぎぶんぽう)が、大正15年に手掛けた見事な「虎の大襖絵」も伝えられています。
「こんな素敵なお寺で、写経ができる…」と思うと、身が引き締まります。
写経・写仏が体験するのは、庭に面したお座敷です。
まず、宇野ご住職より、お寺の歴史や般若心経などのお話などを伺います。
「仏の御心と向き合う時間は、貴重な体験になるはずです」と。
写経の前、香入れかお香を手に取り。手を浄めます…。周囲に漂う芳しい香りにうっとり。
そして、いよいよ写経に取り掛かります。
机には、写経のためのお手本、半紙、筆ペンなど必要なものがすべて置かれています。ですから、手ぶらで参加可能。
お手本を半紙の下に敷き、上からなぞることもできる写経なので、習字が苦手な人も大丈夫。それなりに美しく書き上げられます。日頃、文字を書くことが少なくなった今、一文字一文字、心を込めて書き進めること自体が貴重な体験。
写経の途中、ふと目を上げると、庭の景色が…。木々を渡る風の音が、耳に届きます。
凛とした空気漂う座敷で、ひたすら般若心経を写す時間は、日頃の煩雑な生活から離れた、心鎮まるひととき、まるで別世界にいる心地に浸ります。
写経にかかる時間は、1時間ほど。写したお経には、御祈願をし、名前を書き、本堂の仏様に納めます。
写経後は、縁側に面した座敷で、お抹茶と干菓子を頂きます。般若心経262文字を写し終えた達成感に思わず笑みも…。
さて写経には、実はさまざまな効果があるのだそう。姿勢がよくなり、心と体が落ち着き、ストレスが軽減され、自然治癒力もアップするとか。また、ぜひ行いたいと思わせる爽快感がありました。
京都で観光だけでなく、自分を蘇らせる時間を過ごすお寺での体験は、幅広い年齢層におすすめです。
ここでは、秋には、特別公開も予定されています。また、ほかにヨガ体験、聞香(もんこう)体験など多彩な体験プログラムが用意されています。
写経・坐禅などの申し込みは、事前に電話で。詳しくホームページをご覧ください。
秋、艶やかな紅葉を愛でると共に、京のお寺で、自分を見つめる静かな時間を過ごしてはいかがでしょう。
大本山東福寺塔頭 毘沙門堂 勝林寺
京都市東山区本町15の795
☎075-561-4311
小原誉子の京都の観光文化を伝えるブログ
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