雲龍院前編
とっておき!
京都の奥座敷のような寺で、移り行く季節を愛でる
こんにちは。寺社部長の吉田さらさです。
今回は、京都、東山の麓にあるとっておきの隠れ寺、雲龍院をご案内いたします。
こちらは、京都駅の南側、東福寺のお隣にある泉涌寺の塔頭(たっちゅう)です。
泉涌寺は、天皇のお墓もあるたいへん格式の高い寺で、「御寺(みてら)」と呼ばれています。塔頭とは、大きなお寺の周囲にあるその寺の子院のことで、泉涌寺にも、たくさんの塔頭があります。
泉涌寺周辺は、京都駅に近いのに自然がいっぱいで、
山の中の渓谷のような風情があります。
ここは、京都の中でも、わたしがもっとも好きなエリアのひとつ。
紅葉の時期以外は、さほど混雑しないので、
静かに大人の旅を楽しむのにぴったりです。
雲龍院は泉涌寺の別格本山で、泉涌寺本坊の南側の高所に位置します、
1372年、後光厳天皇の思し召しにより建立されました。
お庭がたいへん広く、いろいろな部屋から眺められるのが、このお寺の魅力のひとつ。
「悟りの間」では、丸い窓から、季節ごとに花を咲かせる木々の様子を眺めることができます。
丸い窓は、どこまで行っても角にぶつからない悟りの心を表わします。
「れんげの間」から見る「しきしの景色」も素晴らしいです。
雪見障子の四角いガラスから、「椿・灯籠・楓・松」の四つの景色が見えます。
青葉の季節もよいのですが、紅葉の最盛期がまた素晴らしい。
© 水野秀比古
この写真は、雲龍院さんから特別に拝借したもので、
京都の寺社写真の大御所、水野秀比古さんの作品です。
四枚の窓から見える景色が、本当に絵のようですね。
このお寺は日本最古の写経道場で、初心者でも、
じっくり時間をかけて写経を体験することができます。
通常、写経は黒い墨で書きますが、こちらは朱墨で書きます。
写経する時に使用する机は、後水尾(ごみずのお)天皇が寄進されたものです。
台所には「走り大黒さん」が祀られています。
大きな袋を背負ってわらじ履き、片足を一歩踏み出して、今にも走り出しそうなお姿。
家の方にまで幸福を持ってきてくださるありがたい仏様です。
とっておきの京都の奥座敷、
雲龍院さんの情報は後編に続きます。
秋のお楽しみ、秘仏公開と紅葉の夜間ライトアップについてです。
吉田さらさ
公式サイト
http://home.c01.itscom.net/sarasa/
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