お寺と仏具と伝統産業の街、
高岡を歩く(後編)
お寺と大仏様と古い街並み
加賀藩によって開かれ、商人と職人の街となった高岡には、たくさんの美しいお寺があります。今回は、その中のひとつ、瑞龍寺(ずいりゅうじ)を訪ねました。
こちらは加賀藩二代藩主の前田利長公の菩提を弔うため三代藩主利常公によって建立された寺です。前田利長公は、1609年に荒野に城を築き、近郊より民を集め城下町を造った高岡の偉人。その菩提寺である瑞龍寺は、高岡市民の心の拠り所でもあります。
瑞龍寺は禅宗の一派である曹洞宗の寺で、中国からもたらされた禅宗様式の伽藍配置が特徴です。七堂伽藍(しちどうがらん)と言って、境内に、山門、仏殿、法堂など重要な七つの建物が整然と並んでいるのが一番の見どころ。総門の脇に寺全体の空撮写真と、七堂伽藍を人間の体に例えた興味深い図がありますので、お寺に入る前によく見て予習するとよいですね。
瑞龍寺のホームページ
もうひとつ、ぜひ訪ねておきたいのは高岡大仏。これは、高岡銅器の技術を使い、1907年から26年の歳月をかけて完成したものです。始まりは800年前、当時は木造仏でしたが、その後何度も荒廃や焼失といった危機に見舞われ、再建を繰り返して、現在のような形になったのです。
「鎌倉や御仏なれど釈迦牟尼(しゃかむにぶつ)は美男におはす夏木立かな」
与謝野晶子さんの有名な歌です。晶子さんは、その後、高岡に来てこの大仏様と出会い「こちらの方が一段と美男だ」とおっしゃったとか。しかし、美男かどうかはそれぞれの基準によりますから、ぜひ、ご自分の目で確かめてみましょう。
高岡大仏のホームページ
http://www.takaokadaibutsu.xyz/
次のページでは「金屋町」をご紹介します。
高岡市では、古い建物が並ぶ道筋も魅力的です。
そのひとつ、「金屋町(かなやまち)」は、金属加工の職人さんが住んだところで、現在でも、金属関係の職人さんの工房やお店が並んでいます。
「鐵瓶屋(てつびんや)」というお店では、お茶道具家庭用の台所用品、雑貨なども扱っており、お手頃なお土産も充実。わたしが見つけたのは、花瓶に入れておくと花が2.5倍もつという「花水幸(かすいこう)」という錫(すず)でできた製品。錫を入れておくと水が腐りにくいという性質を利用したアイディア商品です。
鐵瓶屋のホームページ
もうひとつの古い街、「山街筋(やまちょうすじ)」は商人の街で、土蔵造りのどっしりした建物が並んでいます。古くからの仏壇屋さん、呉服屋さんなどもありますが、若い世代の人たちが、もう使われなくなった古い貴重な建物を改造してカフェやお店などをはじめ、新しい文化の発信地にもなっています。
その拠点のひとつ「はんぶんこ」さんを訪ねました。
高岡をはじめとする富山県の各地では、それぞれの土地に伝わる伝統的な技術を伝承しながらも、現代の生活にマッチするハイセンスな製品が作られており、こちらのお店で買うことができます。
こちらで発見したのは、シンプルライフにぴったりのお仏壇セット。花瓶、蝋燭、お線香立て、小さなおりん。すべてミニマムのおしゃれなデザインです(写真立ては別売り)。仏壇と仏具の街高岡では、伝統技術を駆使して作った豪華な巨大仏壇も売られています。それは素晴らしい芸術作品ですが、狭いマンションには適しません。でも、部屋の中に、亡くなった愛する人と語り合うコーナーは作っておきたい。そんな方にぴったりです。
こちらには、鋳物作りを体験するワークショップもあります。高岡のもうひとつの伝統工芸である螺鈿(らでん)作りも体験できます。自分オリジナルのお土産が欲しい方は、ぜひ参加してみましょう。
はんぶんこのホームページ
高岡のグルメや、絶景の情報は次ページに!
さらに、高岡で欠かせないお楽しみはグルメ!
ホタルイカ、寒ブリ、白エビなど、海の幸はもちろん、米どころですからごはんも美味しい。立山から流れてくる雪解け水で淹れているためか、お茶やコーヒーも美味。これもぜひおためしあれ。
もうひとつ、絶対に見たいものがあります。
それは、雪をいただいた立山連邦の絶景です。わたしが訪れたのは3月末で、そろそろお山に霞がかかりはじめるころでしたが、ホテルの部屋の窓や街のさまざまなところから、よく見えました。
中でもお勧めは、高岡市郊外の雨晴(あまはらし)海岸から眺める海の向こうの立山連峰。
地元の方に連れて行っていただきましたが、実は、その方も、こんなによく見える日にここを訪れたのははじめてだということです。最初の高岡訪問でこんな素晴らしい日に当たったわたしは、本当にラッキーでした。
雨晴海岸の詳細はこちら
http://www3.nsknet.or.jp/~amaharasi/
吉田さらさ
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