京都人の手土産の定番
「阿闍梨餅(あじゃりもち)」の本店へ
京都から東京への手土産によく利用するのが「阿闍梨餅」です。さまざまな素材を秘伝の技で練り合わせた独特のモチモチした食感の皮と丹波大納言小豆を使った程よい甘さの餡の絶妙な調和が、一度食べるとまた恋しくなる半生菓子なのです。きつね色に焼かれた皮が見るからに美味しそう。東京に持ってゆくと「わ~『阿闍梨餅』だ~」と必ず喜ばれるお菓子です。
京都駅の名店街や百貨店でも購入できますが、よく売り切れになる人気ぶり。賞味期間も常温で5日間と手土産にするのには、十分で、ひとつひとつ袋詰めにされているところも、もらった人が喜ぶポイントといえましょう。
さて、この「阿闍梨餅」の製造元は、本店を百万遍の近くにもつ「阿闍梨餅本舗 京菓子司 満月」。創業は、江戸末期の安政3年(1856)という老舗。2代目のご当主が大正11年に考案したのが、今も愛され続ける「阿闍梨餅」です。
「阿闍梨餅」の名は、比叡山で千日回峰(せんにちかいほう)修業を行う阿闍梨がかぶる網代笠(あじろがさ)に由来します。
いつも京都駅で購入し、本店に行ったことがなかった私。初めて訪れ、その風格ある佇まいに感激致しました。店頭に掲げられた「宮内省御用」の看板が店の品格を物語ります。
京の和菓子店には、季節ごとにさまざまな生菓子が並びますが、ここの品は、「最中」、棹物の「京納言」、明治33年に九条家の御用達で納めたという白小豆の餡を洋菓子風の皮で包んだ「満月」、そして「阿闍梨餅」の4種類のみ。ひとつひとつの菓子の味を大切にしてきた創業以来の心が、受け継がれているのです。
本店の向かい側にある製造部。そこでできた品々が店に運ばれます。そのためここでは、まだ温かさが残った「阿闍梨餅」が購入できます。もちろん冷えても美味しいものですが、出来立ての品と思うと、いっそう美味しく感じます。散歩の途中に立ち寄った時は、おやつに2つ求めました。そのひとつを店内でいただくことに…。店の奥にある大きな木のテーブルに座ると「お茶をどうぞ…」と美味しいお茶のおもてなしも…。
京都駅や百貨店に並ぶ京都の和菓子…やはり一度は、その本店を訪ねてみたいもの。銘菓といわれる品を創る心に触れられ、いっそうその菓子がいとおしくなるはずです。
阿闍梨餅本舗 京菓子司 満月
京都市左京区鞠小路通今出川上ル
☎075‐791‐4121
9:00~18:00 水曜不定休
小原誉子の京都の観光文化を伝えるブログ
「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」