桃、桜など木々の花に心躍るとき、
そんな季節にピッタリの店名を持つ銀座の中国料理店「桃花源」で
シェフのお話に耳を傾けながら四川料理に舌鼓、
お腹も心も満ち足りた楽しいひと時を過ごしてきました。
友人の紹介で初めて参加させていただいた、
中国料理研究家の瀧満里子先生が主催するグルメの会「香饗乃集い」。
毎回テーマにそった料理をシェフに作っていただき、味わう会です。
今回は、「なつかしの川菜」。
四川料理を日本に広めた故 陳建民先生の
なつかしい味を建民先生の一番弟子であった「桃花源」のオーナーシェフ
斉藤隆士氏に蘇らせて作っていただく企画です。ちなみに川菜とは四川料理。
「辛い!」というイメージの四川料理。
どんな味に出会えるのか、ワクワクします!!
桜の塩漬けを散らし、美しく盛られた前菜。
空に浮かぶ白い雲のように薄切りにした豚肉の「雲白肉」、
これまた薄切りにしたきゅうりとニンニクソースをからめていただきます。
テーブルに華やかさを添えるのは、食材の彫刻。
僧侶がニンジンで、鶴がダイコンかしら、お花は…?
見事な細工に職人さんの技術とこだわりを感じます。
次に「唐辛子は食べないでください」と運ばれてきたのは・・・・?
激辛の牡蠣と銀杏の炒めもの、旨みが凝縮された牡蠣がおいしい!
フカヒレ料理は、南瓜のペーストで優しい味です。
一品一品、丁寧に作り方を説明してくださる斉藤氏(右)と今回のお料理を作ってくださった料理長兼店長の西脇克樹シェフ。
斉藤氏からは、1990年代に放送された伝説の料理番組「料理の鉄人」で中華の鉄人 陳建一氏と対決した時の裏話をお聞きすることもできました。
当時、建民先生の弟子の斉藤氏は建一氏の後見人であったので、師弟対決という形になり、大いに盛り上がったそうです。
あの番組によってスターシェフが誕生し、料理人の地位がグンと上がったとお話されていました。
チキンスープでなくエビのスープを使った「大エビの鉄人チリソース煮」、
頭や骨まで食べられる「カサゴの丸揚げ甘酢ソース」。
「鶏骨鶏の漢方スープ」は食べ慣れない味、香りに少々とまどいました。
様々な食材をいろいろな調理法、味で楽しませてくれます。
最後の料理は、麻婆豆腐。四川料理といえばこれですよね。
四川料理の七大味「酸・辣・麻・苦・甜・香・鹹」の「麻(しびれる)」。
私が作るいつもの麻婆豆腐とは別の味(当然ですが…)、花椒のしびれる辛さが刺激的。
ご飯と混ぜると、辛さが和らいで食がすすみます!
デザートは「正宗杏仁」。正宗とつくのは、アーモンドエッセンス
ではなく、杏の種の白い粉を使っているからだそうです。
四川料理の基本の味を知るよい機会だと思って参加した会。
辛さも旨みの一部、意外に後味がさっぱりでした。
きちんと下ごしらえをして丁寧に調理され、美しく盛りつけられた一皿一皿。
ジワっと広がるおいしさに、視覚・味覚・臭覚が刺激されました。
花の季節に華のあるお料理、ご馳走様でした。