震災で空っぽになってしまったキャビネを埋めるべく、器との出会いを求め、佐賀県の唐津市、伊万里市を回ったわたしですが、滞在した唐津でのディナーには、美味しいからとお薦め頂いた欧州料理の「Y’s kitchen(ワイズキッチン)」を訪ねてみました。
後日知ったのですが、こちらは2014年のミシュランガイド福岡・佐賀版で一つ星を取られたお店だそ うで、予約なしには入れないこともあるようなのです。
久しぶりにコースでお料理を堪能しました。
どのお料理も地元を中心とした、新鮮な九州産の食材が使われ、とても美しく盛り付けられて出て来ます。
お味は勿論、どれもとても美味しく、ひと口食べる毎に「本当に美味しいね~」としみじみ言ってしまうほど。
ゆっくりと、ひと品ずつお味を堪能しながら、穏やかな良いディナータイムを過ごすことが出来ました。
そして、翌朝は伊万里市大川内山に向けて出発です。
唐津から伊万里まではさほど遠くなく、1時間弱で到着しました。
この風景を見 ると、「大川内山に来たんだなぁ」としみじみ感じます。
驚く程の大雨だったこの日は訪ねる人の姿もまばら。
季節の終わりだったからか、このお天気のせいか、それぞれの窯元のお店でも「割引きますよ」とお申し出下さるところがいくつかありました。
大川内山の窯元巡りの愉しみは、やはり沢山の作品を一度に見られること。
セール中のお店もあり、また、「アウトレット」「ガレージセール」と称し、傷ものなどを並べ、安く販売するコーナーを設けているお店も。
そんなガレージセールで見つけたお皿がこちら。
また、前回も書きましたが、作家さんとお話ししながら器を買う事が出来るのも、窯元での醍醐味。
ロックグラスにしようと買い求めた、手書きの藍の絵が美しいこの蕎麦猪口も、作家さんご本人と「これで何を飲むか・・・」等々お話しながら譲って頂いたひと品です。
使うたびに作家の方のお顔が目に浮かび、「大切に扱おう」という気持ちが増し、愛着も湧きます。
そんな大雨に見舞われたこの日の窯元巡りでしたが、ラッキーだったことも。
訪れたその週末の2日間は「献上登り窯焚き」が行われ、煙突からは黒い煙がもくもくと。
窯から流れてくる黒いススと香りに 引き寄せられ、登り窯の脇の道を通ってみると、職人さん達が窯の中を覗きこみながら焼成中でした。
側を通り過ぎるだけでふわっと熱気を感じ、赤い炎が窯の隙間から見え・・・初めて目の当たりにするその光景に心が躍りました。
雨がひどくなって来ましたので、その場を後にし、次の目的地である「ノリタケファクトリーアウトレット」へ向かうことに。
こちらでは、洋食器類、カトラリー、ガラス製品などを正価より2~3割お安く買い求めることが出来ます。
「必要なぶんだけ」と自分に言い聞かせても、ついついあれこれ買ってしまい、気が付けば帰り道の車の何と重いこと!(笑)
生活を していると手持ちの食器の中でも、使うもの、使わないもの、好きなもの、大切なもの、そうでもないもの・・・色々出て来ます。
震災により、そうした食器類がほとんど壊れ、強制的にリセットされたような恰好になってしまった我が家ですが、一方で、これからのライフスタイルに合わせた「長くお付き合いのできる気に入ったもの」を揃えられるという新たな機会を頂いた気持ちにもなっています。
窯元を巡る愉しみも覚えましたし、九州にはいい窯元がまだまだ沢山あります。
また機会を見つけ、各地の窯元を訪ね、その土地を満喫する旅をしてみたいと思います。
唐津 Y’s kitchen
http://www.yskitchen.jp/
伊万里鍋島焼協同組合
http://www.imari-ookawachiyama.com/
ノリタケファクトリーアウトレット伊万里
http://tableware.noritake.co.jp/shop_noritake/imari.html