京の味で温まる名代「養老鍋」-「河道屋養老」
冬の京都は、底冷えと言われる、体の芯からジワ~と冷える寒さです。
そんな冬に訪れた人におすすめは、ホカホカの湯気があがる鍋。
京都に来た友人を案内すると、必ず喜ぶお店が、「聖護院門跡」の西門の前に暖簾がかかる「河道屋養老」です。
門から玄関まで、木々や野草が茂る庭の中を石畳の小路が誘います。ふと足元をみると、石畳には蕎麦を挽く石臼などが埋め込まれ、蕎麦屋ならではの遊び心を感じます。
白川の農家を移築したという築200年の木造建築は、黒光りした柱や梁が、その歴史を静かに物語ります。温められた座敷に入れば、四季折々の風情を見せる庭が雪見障子やガラス窓越しに…。その京情緒あふれる景色に、思わず「素敵~」との声も上がります。
ここ「河道屋養老」は、創業以来、すでに4代目。今は、若き店主が、昔ながらの味を守ります。隣接する蕎麦工房で作られた自家製のそば、そして風味豊かなだし汁が、「河道屋養老」の変わらぬ味を支えます。
いろいろな品のなかでも、初めてこの店を訪れたら、ぜひ味わってほしいのが、なんといっても名物「養老鍋」(1人前3,600円)。京都を代表する食材が、存分に味わえる鍋です。だし汁が入った土鍋と共に運ばれるのは、「湯葉半」の湯葉、「麩嘉」の生麩、「いづ萬」のひろうすをはじめ、地鶏、海老、菊菜、九条葱、白菜、椎茸など、まさに京の味づくし。ひとつひとつの食材の美味しさは、「京都に来た~」と実感させる味わい。野菜もたっぷりで、疲れた胃にもやさしく、冷えた体も芯から温まります。
さて鍋の〆は、ふんだんな具材の旨味を含んだだし汁で味わう蕎麦やきしめん。案内した友人は、「もうお腹いっぱい~」と言いながらも、食べ始めると、その美味しさに抗いきれず、だし汁も飲み干す状態に。額ににじむ汗をぬぐいながら、思わず笑みが浮かびます。
ひとりでも注文できるので、ひとり旅でも味わえる嬉しい鍋。
底冷えの冬の京都を訪れたら、ぜひとも味わいたい、体と心を温める京の味です。
河道屋養老
京都市左京区聖護院西町2 御殿西門前
☎075-771-7531
営業時間 11:00~19:00入店まで 火曜休み
交通/市バス「熊野神社前」から徒歩3分
小原誉子ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」
http://blog.goo.ne.jp/mimoron/