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上野で奈良の神様にお参りできる! 特別展「春日大社千年の至宝

吉田さらさ

吉田さらさ

寺と神社の旅研究家。

女性誌の編集者を経て、寺社専門の文筆業を始める。各種講座の講師、寺社旅の案内人なども務めている。著書に「京都仏像を巡る旅」、「お江戸寺町散歩」(いずれも集英社be文庫)、「奈良、寺あそび 仏像ばなし」(岳陽舎)、「近江若狭の仏像」(JTBパブリッシング)など。

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上野で奈良の神様にお参りできる!
特別展「春日大社千年の至宝

 

 

寺社部長の吉田さらさです。
全国の神社仏閣を巡り、旅に役立つ情報をお届けしています。
今回は、東京国立博物館で開催中の特別展 「春日大社 千年の至宝」(2017年1月17日~3月12日)の見どころ情報です。

 

春日大社は、国宝352点をはじめとする貴重な文化財をおびただしく所有しており、今回の特別展では、その中のよりすぐり及び全国の春日信仰にまつわる宝物が展示されています。実際に春日大社に参拝に行っても、これだけのものを一度に見ることはできませんので、この機会にぜひお出かけください。

吉田さらさ

春日大社では、奈良時代に建てられて以降、1200年あまりの間、20年に一度、ご社殿の造り替えが行われてきました。平成27年から28年にかけて第六十次式年造替が行われ、今回の特別展は、その大きな節目に開催されました。

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近年の展覧会は、貸出の音声ガイドのナレーションがどなたであるかも話題になります。この特別展は市川猿之助さん。猿之助さんは、個人的にも、奈良の寺社がとてもお好きと聞き及んでいます。ご説明は、まるで歌舞伎の口上を聴くような名調子で、春日大社の世界に引き込まれますよ。

 

奈良時代の最高の宝物を多く保有するのは、ご存知の通り、奈良の正倉院です。では、平安時代の最高の宝物を保有するのはどこか。それは実は、この春日大社なのです。平安時代なら京都と考えがちですが、京都では、応仁の乱などの大規模な戦乱のため、平安時代の貴重な宝物や建造物が焼失したケースも多かったようです。それに対して、奈良では、平安末期の南都焼き討ちなどがあったものの、神域に火が及ぶことはなく、数々の宝物が守られました。そのため春日大社は、「平安の正倉院」とも呼ばれています。

 

展示は6つのパートに分かれます。
スタートは、「神鹿の杜」。
奈良公園一帯に生息する鹿たちの祖先は、タケミカヅチノミコトという神様を常陸国(茨城県)の鹿島神宮から乗せてきた白鹿の子孫とされます。

吉田さらさ

鹿島立神影図 南北朝~室町時代・14~15世紀 春日大社蔵 通期展示

 

このパートでは、その神様が鹿に乗って御蓋山(みかさやま)に降り立った様子を表す「鹿島立神影図」(かしまだちしんえいず)や、春日大社の神域全体を描いた「春日宮曼荼羅」などを見ることができます。

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重要文化財 春日神鹿御正体 南北朝時代・14世紀 京都・細見美術館蔵 通期展示

 

南北朝時代に造られた銅製の「春日神鹿御正体」(かすがしんろくみしょうたい)も、美しく、かわいらしいです。

 

春日大社は藤原氏の氏神です。「平安の正倉院」のパートには、藤原氏や、法王、上皇から奉納された神宝が展示されています。

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国宝 金地螺鈿毛抜形太刀 平安時代・12世紀 春日大社蔵 展示期間:1/17(火)~2/19(日)

 

とりわけ、「金地螺鈿毛抜型太刀」(きんじらでん けぬきがたたち)の螺鈿細工のすばらしさ。よく見ると、雀を捉える猫の姿が現されています。

 

「奉納された武具」のパートでは、貴族の奉納品とはまた違う、勇壮な甲冑などの武具を見ることもできます。しかしこれらも闘いのための道具というよりも、神への奉納品として造られたものであるため、細工が見事です。

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国宝 赤糸威大鎧(梅鶯飾) 鎌倉時代・13世紀 春日大社蔵 展示期間:1/17(火)~2/19(日)

 

「赤糸威大鎧(梅鶯飾)」(あかいとおどしおおよろい うめうぐいすかざり) は、鎌倉時代に造られたもの。兜の脇の透かし彫りの飾りが繊細で世にも美しいです。

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太平楽装束 江戸時代・17世紀 春日大社蔵 展示期間:1/17(火)~2/12(日)

 

「神々に捧げる芸能」のパートには、春日大社で奉納されてきた芸能に使われた装束や面、道具などが展示され、毎年12月17日に行われる有名な祭礼「春日若宮おん祭」などの華やかな世界を垣間見ることができます。

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陵王装束 江戸時代・18世紀 春日大社蔵 展示期間:1/17(火)~2/12(日)

 

「陵王装束」は、江戸時代に、五摂関家のひとつである近衛家の請願によって新調されたものです。

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鼉太鼓(複製)昭和51年(1976)春日大社蔵 通期展示

 

鼉太鼓(だだいこ)は、舞楽で用いられる楽器のひとつで、左右で一対とします。春日大社には、源頼朝の寄進とされる鼉太鼓が一対あり、こちらはその左方の複製品です。総高6メートル20㎝という巨大なものです。

 

さらに、特別なコーナーも!

 

今回の特別展では、居ながらにして春日大社を体感できるコーナーも人気です。

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ひとつは、本殿第二殿を再現したこちらです。
実際に春日大社でお参りしても、この社殿の近くで拝観することはできませんので、東京でこの社殿の前に立たせていただくのは、貴重な体験となります。

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もうひとつは、このずらりと並ぶ釣燈籠です。こちらは、実際に春日大社の回廊につりさげられているものの一部です。これらの燈籠は、さまざまな時代に、武家から庶民など無数の人々によって奉納されたものです。

今回の特別展では、この前に立って記念撮影をすることもできます。春日大社では、2月の節分と8月の中元の夜にのみ、全ての燈籠に火が灯されます。これを万燈籠といい、幻想的な光景が人気を呼んでいます。

 

特別展では、かわいいミュージアムグッズも楽しみです。

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今回のオリジナルは、ぬいぐるみ「ニャデンとチュン」
「金地螺鈿毛抜型太刀」の雀を捉まえる猫がモチーフとなっています。

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猫ちゃんを主人公にしたキュートな絵葉書もあります。
奈良のキャラクターと言えば鹿が多い中、この猫ちゃんグッズは見逃せないですね。

 

特別展「春日大社 千年の至宝」の詳細情報はこちらです。
http://kasuga2017.jp/

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