最近、ウェルネス施設が充実を遂げている沖縄。沖縄が美と健康のための旅先であることにはしかるべき理由がありました。
その背景や話題のセラピー事情などを、ウェルネスツーリズムの第一人者である荒川雅志先生に伺いました。前後編2回に分けてお届けします。
海と食と光と。
沖縄がココロと体に効く理由 Part1
琉球大学観光産業科学部教授。日本におけるウェルネスツーリズム、スパツーリズム研究の第一人者。海洋療法学者。日本型ヘルスツーリズムの体系化を行い国際学会で発表、日本の大学で初のヘルスツーリズム授業を開講。沖縄各地のスパやウェルネス施設などとの共同研究やリサーチなども多く手がける
レベルの高い施設がある沖縄
沖縄は、日本の最南端に位置する亜熱帯海洋性気候で、冬でも比較的暖かです。海の美しさは言うまでもありません。住み慣れた場所を離れて別の環境に身を置く転地療法というものがありますが、それに適している場所だと言えます。食では古来、医食同源思想に基づいて、地域の食材を経験的に美や健康に生かしてきた歴史があり、食べ物は「命薬(ぬちぐすい)」とされてきました。
低コレステロールで柔らかく、旨味成分が多い在来種アグー豚や、ゴーヤー、ナーベラー、ハンダマやニガナをはじめとするデトックス効果の高い島野菜、マンゴーやグアバといった果物など、沖縄の食材で作られる伝統料理は健康長寿の知恵なのです。大らかな精神風土をもつ沖縄では、慌ただしい現代社会の中でスローなライフスタイルがいまだに健在で、自然のリズムに逆らわない暮らしがあります。世界的に、美と健康を求める旅"ウェルネスツーリズム"が盛り上がりをみせていますが、沖縄には県が主体となってウェルネスリゾート事業を推進していることもあり、沖縄の自然や文化をバックグラウンドにしたいろいろな施設があるのです。
西欧では紀元前、ヒポクラテスの時代から、海を治療の場として利用してきた歴史があり、日本では「潮湯治」と呼び、海を健康に生かしてきました。現代では、海藻や海泥などを利用するタラソテラピーとして、広く普及しています。
日本では、本格的なタラソテラピーはこれから注目度が増す分野ですが、「ザ・テラスクラブ アット ブセナ」(「海の力でデトックス!沖縄ウェルネス・トリップ」第1回、第2回で紹介)のタラソプールは、施設もよいし、屋外にあるので沖縄らしい光を感じながら楽しめます。「かりゆし カンナ タラソ ラグーナ」は、アジア最大級の流水面積規模を持つ温浴施設で、タラソに限って言えば、ほとんどすべてのプログラムが体験できます。また、ここは近年、注目を集めている水中ボディワーク"ワッツ"の拠点でもあります("ワッツ"については後編で詳しくご紹介します!)。「バーデハウス久米島」は、久米島沖の海洋深層水の取水量で、世界第2位を誇る温浴施設です。海の美しい沖縄でタラソテラピーを体験してみるのもいいと思います。
荒川先生がおすすめする沖縄のタラソテラピー施設
・ザ・テラスクラブ アット ブセナ
・かりゆし カンナ タラソ ラグーナ
・バーデハウス久米島
・ホテル オリオン モトブ リゾート&スパ
・ANAインターコンチネンタル石垣リゾート
上記のおすすめ施設の中から、2施設をピックアップしてご紹介します。
多彩な設備をゆったりと楽しめる
かりゆし カンナ タラソ ラグーナ
漢那ビーチにあるタラソテラピー施設。広いバーデゾーンには、海水の浮力や水の物理的作用を利用した14種類のジェットバスやサウナなどがあります。気泡や水圧の作用で、血行を改善してデトックスを。各地から無料送迎バスあり
DATA
沖縄県国頭郡宜野座村字漢那1817
☎098-983-2323
www.kanassa.jp
クリーンな海洋深層水を利用
バーデハウス久米島
久米島沖の太陽が届かない水深612mの深海から取水した、清らかでミネラル分が豊富な海洋深層水を用いた温浴施設。マッサージや水中運動ができるバーデプールやスチームサウナ、屋外ジェットバスなどがそろっています
DATA
沖縄県島尻郡久米島町字奥武170-1
☎098-985-8600
www.bade-kumejima.co.jp
撮影/山口規子 取材・原文/坪田三千代