京都の北、周山街道を進み「北山杉の里」の標識へと入ると、川端康成の小説「古都」の舞台となった北山杉が聳える中川地区に到ります。細い街道に沿いには、床柱に使われる美しい北山杉の柱を加工する作業所が連なり、整然と並ぶまっすぐな杉の姿に独特の山里の景色が…。
京都ならではの情緒ある山里に、京都在住の奥田(旧姓村上)貴子さんが「山の麺処」という食事処を始めたのは、4年前のこと。お客様を迎えるのは、かつて北山杉の問屋だった築178年の古民家で、いくつもの座敷がある広い建物です。実はそこは、奥田さんのおばあさまのお住まい。現在、あまり使われなくなった座敷には、囲炉裏や古い箪笥、床の間などがあり、山里らしい雰囲気があることから、そこをお店にされたのです。
「空気と水のキレイな山里に、はるばる来てくださったお客様に、体にやさしい食材のものを召し上がっていただきたくて…」と奥田さん。
ここで味わうのは、麺にいろいろなタレをつけていただく3種類の品々です。
ベーコンの風味と豆乳の味わい豊かな「豆乳カルボナーラ」1,200円。
シンプルな味わいが人気の「めんつゆ&胡麻だれ」1,100円。
豚肉とマッシュルームを煮込んだタレで味わう「豚肉と十勝マッシュルーム」1,300円。
いずれも吟味したこだわりの食材を使っています。
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さて、ここの料理の一番の特徴は、その麺にあり、なんとグルテンフリーの麺なのです。小麦やそば粉、塩を使用せず、ヒエ、キビ、アワなどの雑穀でできた特製の麺です。でもなんと私は、いわれるまでコシのあるうどんだと思っていて、「美味しいね~」となんの疑問も抱かず、ただその美味しさを味わっていました。
「最近、外国人の観光客の中には、グルテンフリーを望む方も増えています。また蕎麦アレルギーの方もこの麺なら安心して食べられます」と奥田さん。実は、体に活性化させるダイエットとして欧米で注目される「ファスティング」のカウンセラーの資格をもっていらっしゃるそう。なるほどスリムでキビキビした動きは、今年お嬢様を出産なさったとは思えない若々しさです。
また「お料理が用意できるまでの時間は、地元の野菜などを囲炉裏で焼いてお楽しみいただくようにしています」と。なんとも洒落た山里らしいおもてなし。訪れた人は代わる代わる囲炉裏の前で、じっと野菜が焼けるのを楽しそうに待っています。新鮮な野菜は塩だけで美味しく自然の恵みを満喫。失礼ながら、「山里でこんな素敵な料理に出会えるとは…」と感激。
村おこしの一環として始められたお店で、口コミやSNSなどで知られるようになり、開店日は、満席のことも。
緑豊かな北山杉の里で、澄んだ空気と水、そして美味しい料理と、まさに体のナチュラルキラー細胞を増やし、免疫力をアップさせ健やかな体を維持すると言われるピッタリの環境。体と心が蘇る休日を過ごしてはいかがでしょう。
山の麺処
京都市北区中山北山町100
050‐3633-7494
営業時間:11:30~14:00LO
5~7月、9~11月(8月はお休み)の日曜日だけの営業(臨時休業もあり、予約をおすすめ)
交通・JR京都駅から「周山行き」西日本JRバスで「北山中川」バス停へ。約1時間。(1~2時間に1本運行)
http://www.facebook.com/yamanomendokoro
小原誉子
ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」