大徳寺の境内の一角にある木造の一軒家が、書家西垣一川(にしがきいっせん)先生のご自宅兼「書」のお稽古場です。九州出身の西垣先生が、京都で暮らし始めて6年余り。築85年の町家を建築家のご主人が改築したという古い趣と使いやすい機能性を備えた素敵なお住まいのお稽古場に見学体験に伺いました。
西垣一川先生は、6歳から書道をはじめ、1979年より書家である高田夢現氏に師事。1992年より墨遊びしま書(みずくき書道会)を主宰。国内外での展覧会、書のパフォーマンスをはじめ、書籍やポスターの書など幅広くご活躍なっています。また「五行歌洛央サロン」代表で、自然や人生などをテーマに歌を詠まれる歌人でもいらっしゃいます。著書に五行歌集[透理](市井社刊)も。
書が掛かる玄関で迎えてくださった西垣さん。紬の着物を召され、シルバーヘアーと赤いルージュという素敵なお姿にすっかり心惹かれてしまいました。
お稽古場は、掘り炬燵になっている大きな机のあるリビング。長年かけて集められ、愛用なさっているお気に入りの骨董の品々が棚などに置かれています。
ご挨拶をして、いざお稽古と思っていると、「まずはお茶をどうぞ…」とお煎茶とお菓子が用意されました。お煎茶を入れる様子を拝見し、まろやかな味わいのお茶を頂戴、さらに四季を感じさせるお菓子を味わう静かなひととき…心ざわめく日常から「書」に向き合うために心鎮める時間です。
「では、お稽古始めましょう~」と、机の上に毛氈が敷かれ、硯と筆、紙が置かれます。
ここで習う書は、楷書や草書など書道教室で習うものとは異なり、自由さが感じられるアーティスティックな、なんとも素敵な書なのです。
この日、お手本となる書は、いろいろな俳人が詠んだ句を、西垣先生が目の前でサラサラと書かれたもの。あまりの速い筆運びに驚いてしまいます。「筆の勢い、また墨の濃淡やかすれなどに気を配り、自由にどうぞ…」と西垣先生。楷書のようなキッチリとした文字ではなく、のびやかな自由さがあっても、美しいと感じる書には、味わいのある筆運びとバランスが必要。それをここで学びます。
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使う筆は、お習字に使ったことがある筆より、毛先が長いもの。そこにたっぷり墨を含ませ書いていきます。久しぶりに筆を握った私、ゆっくり筆を動かすと、墨が紙に吸い込まれ、真っ黒に…。足りないとかすれてしまいます。その具合がなかなかむずかしい…。
何枚も紙を使い、約1時間。「だんだん味わいが出てきましたね~」と西垣先生の励ましのお言葉。「お手本通りに書けなくても、まずは自分の思うように書くことが大切なんです」と。お稽古を進めるごとに、しだいに筆の運び具合もわかってくるそうです。
「こちらに伺う時間は、書を学ぶことも楽しいんですが、先生とお話したり、この素敵な雰囲気のスペースで過ごす時間が本当に楽しみなんです」と、この日ご一緒させて頂いた生徒さん。その言葉は、初めて参加させて頂いた私も同じように感じます。穏やかな陽光が注ぐ坪庭に面したリビングでお稽古していると、本当に心が落ち着いてくるのです。
西垣先生とご主人のセンスある暮らし方の素敵さにも、心惹かれてしまいます。
さて西垣先生の主宰する「みずくき書道会」のお稽古は、月1回(2時間)会費7000円(茶菓子付き)、入会金3000円。習うのは、①季節の詩歌を書く ②一字書から漢詩などの創作または古典の臨書 ③住所、お名前、季節のお手紙の書き方、のいずれかを選びます。見学体験3500円(茶菓子付き)もあり、京都を訪れる時に、まずは体験からなさってはいかがでしょう。尚、お稽古場は、東京にもあります。
ここのお稽古には、京都という土地柄、お稽古と共に観光なども楽しみになさっている遠方からの生徒さんも多いとか。今、京都は、観光だけでは物足りないというリピーターが、さまざまな教室に通われるのが人気になっています。ぜひ一度、お稽古に伺っては。
西垣一川主宰「みずくき書道会」
京都市北区紫野大徳寺町17の4
お申込みはメールで uango2018@ezweb.ne.jp
詳細は FB https://www.facebook.com/issen.nishigaki
インスタグラム https://www.instagram.com/issennishigaki/?hl=ja
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小原誉子
ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」