纏う喜び…手染めのウールのストール
いよいよ紅葉の季節の到来です。京都の町も、日を追うごとに木々は、鮮やかさを増して、その美しさに誘われるように、たびたび紅葉の名所へと足を運んでしまいます。その折、必ず持ってゆくのが、「手染めのストール工房 さきら」のストールです。
友禅、小紋など手染めの技術が発達した京都は、現在も婦人服の高級プリントの産地として世界的に高い評価を受けています。京都の北、岩倉の山の麓に工房を構える「染めの さきら」は、昭和55年の創業。図案をもとに、型を作り、染める、友禅染の技法のひとつ手捺染(てなせん)の技で、高級プリント生地を製造しています。手捺染は、デザインの色の数だけ1色ごとに型を作り、染めてゆくもので、手間と高度な技術が必要な技法です。工房の中には、20メートルを越す長い染めの台があり、そこで熟練した職人さんが、寸分の狂いもなく、型をピッタリと布にのせ、何度も色を染め重ねてゆきます。
通常は、高級婦人服のプリントに使われる職人さんの技術と染めの台は、昨年から、ストールづくりという新しい分野にも展開。「手染めストール工房 さきら」ができました。
「手捺染は、機械捺染では、表現できない深みのある色や風合いを布に映すことができるんです」と、熱く語るのは、社長の山田靖人さん。デザインの輪郭をぼかす「水ぼかし」という独特の技法をはじめ、山田さんや職人さんたちが工夫を重ねたさまざまな技が、ここならではの斬新で、温かみのあるストールを作ります。
デザインは、京都で、染色やテキスタイルデザインを学んだ若手の作家さんたちとのコラボなどで…。「若い作家さんたちに活躍の場をもっと作りたい…」という山田さんの思いもそこに。モダン感覚のデザインやエレガントな花柄など、その種類も豊富。色違いで欲しくなってしまう品々です。
夏は、クーラーの冷え対策に、コットン素材のものを愛用していましたが、秋は、薄手のウール素材のものが、外出時や家の中でも、とても重宝。秋晴れの日、昼間のポカポカした暖かさから、夕暮れ時は、決まって、急激に気温が下がる京都。油断すると、体が冷えて、風邪気味に…。その温度差をカバーしてくれるのが、この薄手のストール。ふんわりとした感触で、首回りや肩をやさしく包み、たった一枚羽織るだけで、ほっこりと寒さもやわらぐ暖かさ。ウールなので、動いてもずれず、また小さく折り畳んでバッグにいれても、皺になりません。明るい色は、顔の映りも華やかに…。
手染めならではのぬくもりにあふれたストール。秋の旅には、必需品のひとつに。
京都で生まれたスカーフを纏い、ぜひ、紅葉の京都へ足をのばしてみませんか?
手染めストール工房 さきら
京都市左京区岩倉村松町26 ☎075-791-1215
小原誉子
ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」