前回にひきつづきアゼルバイジャン。今回は「食」についてのお話です。
アゼルバイジャンに着いたのは、私が人生初のファスティングを、大成功のうちに終えた3日後でした。
10日間で3.5キロ減、長年見てみぬフリをしていたお腹周りの贅肉が取れた努力をここでムダにしたくはありません。
ファスティングの先生からは「しばらく「まごわやさしい」食事を食べてください」と言われていましたが、海外旅行中となると、野菜と芋以外はなかなか揃いません。
注:「まごわやさしい」とは、食材のこと。ま=豆 ご=ごま わ=わかめ・海藻 や=野菜 さ=魚 し=椎茸・キノコ い=芋をまんべんなく取ることを推奨されていました。
「ファスティングをしたばかりなのよ。なに食べたらいいかしら」とアゼルバイジャン人のシェフ、ダニーに聞いたところ
「こっちでもファスティング流行っているわよ!初日にハマムに入って、翌日からきゅうり水とカディックというヨーグルトだけで過ごすのよ。美紀もまずは、きゅうり水飲んで、カディック食べたら?」とのこと。
スライスされたきゅうりが入っている水は、ヨーロッパ各地で時折見かけます。
最初に見たのは、パリのリッツホテルの老舗バー『ヘミングウェイ』でした。なぜ、こんなおしゃれなバーで出てくる水の中にきゅうりが・・? と思ったものの、なんとなくスルー。その後も、イギリスのクリケット競技場のクラブハウスやレストランで見かけるたび、「なぜ、きゅうり?」と思っていたのですが、「外国人は変わっているからなー」で終わらせておりました。
「それには根拠があるのよ」とダニー。
「キュウリは、とても美容にいいの。ビタミンCとK、カリウムが豊富だし、デトックス効果の高いシトルリンという成分も含まれているの。美容に気を使う女性は、きゅうり水を良く飲むの。お酒を飲み過ぎた翌日なんかにもいいのよ」
・・・なるほどー!長年のきゅうり水の謎がアゼルバイジャンで解けるとはー!
* ダニーから聞いたきゅうり水レシピ
水1リットルに、薄切りにしたきゅうり1本分・レモン半分(無農薬の場合、皮ごと。それ以外は皮をむいて輪切りに)・ミント(少々)を入れて、30分ほど置きます。ショウガの薄切りなどを入れても良いそうです。一日経ったら、中身のきゅうりは捨てて、新しいものを用意してください。
ダイエットに重要なもうひとつのアイテム、カディックというアゼルバイジャン特有のヨーグルトは、普通のヨーグルトよりも低カロリー。ダイエット中の女性は、サラダのドレッシング代わりにしたり、一食抜いてカディックヨーグルトだけ食べたりしているそうです。
ダイエット目的以外でも、アゼルバイジャンの食事に欠かせないらしく、レストランに行くと、必ず出てきます。街のスーパーマーケットにも必ず置いてあるので、もしもファスティング明けにアゼルバイジャンに行く場合は、スーパーに走って行ってくださいね。きゅうり水は、レストランで頼めば作ってくれます。
「冬場や冷え性の人は、きゅうり水の代わりに、アップルシナモン水を飲むといいわよ」とダニーのアドバイス。
アップルシナモン水は、「飲むだけで痩せる」といううたい文句で、一時期日本でも流行りましたね。
*ダニーから聞いたアップルシナモン水の作り方
無農薬の林檎1個 シナモンスティック2本 水1リットル
林檎は、芯を取り除いたあと、皮付きのままスライス。スライスした林檎とシナモンスティックをピッチャーに入れ、水を注ぐ。1時間ほど待ってから、飲む。水が少なくなって来たら、水を足して、林檎が外気に触れないようにする。水に入っている林檎の使用期限は2日ほど。
ここまで、たっぷり健康的なフレーバーウォーターについて書きましたが、ジャーナリストとして、はるばるアゼルバイジャンまで行って、きゅうり水とカディックだけ食べて帰ってくるわけにはいきません!
2日目からは、アゼルバイジャン料理フルコースも堪能してきましたよ。
レストランに行くと、まず
スズメ(Suzme)チーズ
パテ
コパンサラティ
カディック
果物のピクルス
などがテーブルの上に次々と並べられます。
<コパンサラダ>きゅうりとトマトとパセリを塩こしょう、オリーブオイル、レモン、にんにくなどで味付けしたサラダ。
<スズメチーズ>スズメチーズは、ギリシャのフェタチーズをマイルドにした感じ。
<野菜と果物のピクルス>「これたくわん? こっちは梅干し」??と思うような懐かしい味わいのあるものも。
そのあと、グターブと呼ばれる韓国料理のちぢみのようなものが数種類出たあと、プロブと呼ばれるピラフがお皿に盛られます。炭水化物多めですが、美味しくて止まりません。プロブは、アゼルバイジャンの主食で調理法は40種類以上あるそうです。
メインはグリルした肉(牛・羊・鳥)の盛り合わせにドライフルーツとナッツが添えてあるもの。お皿の上に、好きなものを取って、ご飯(プロブ)と一緒にいただきます。
最初にサーブされたプロブを食べ終わると、給仕の人がさっと来て、お代わりとカズマクと呼ばれるおこげが配られます。日本と同様おこげは珍重されているようで、おこげが配られるとアゼルバイジャンの人たちはちょっと幸せそうな顔をします。私も思わずにこっと笑ったに違いありません。
食事と一緒に楽しんだワインも秀逸でした。アゼルバイジャンは、7000年の歴史を誇るコーカサス地方屈指のワイン生産地。白も赤も「え、こんないいワインがあるんだ」と驚くほどのクオリティでした。
<肉盛り合わせ>牛・鶏・羊の盛り合わせ。発展途上にある国の鶏肉は、先進国と比べると格段に美味しいもの。
<ピラフとおこげ>
アジア文化以外で、初めて見つけたおこげ礼賛文化。香ばしいおこげをうれしそうに食べるアゼルバイジャン人を見て、親近感を覚えました。
デザート時には、ナッツとトルコ風焼き菓子、ケーキの盛り合わせなどがこってり出てきます。チャイ(お茶)と一緒に。
<デザート盛り合わせ>
ケーキは、あまり甘くないものもありますが、トルコ風焼き菓子は、かなり甘いものが多いのでちょっとだけ。
ダニーに、普通の家庭の普段の夕食はどんなものなの?と聞いたところ、「チーズとナッツとカディックとコパンサラダは必ず食卓に出るわね。それに、ピラフと肉料理を一品っていうところかな」ということでした。
女性が集まると、それに数々のデザートとチャイを食べながら、延々と話をするそうです。
「イスラム教徒は、お酒は飲めないのよね?」と聞くと
「そうでもないの。アゼルバイジャンがヨーロッパになってから *注1 ワインを飲む人が増えたわね」ということ。
めくるめく3泊5日、アゼルバイジャンの首都視察の旅は、20ヶ国から40名のジャーナリストが招聘されたプレスツアーでした。
みんなで食事をするときは多いに盛り上がり、記念撮影もパチリ。
「日本人は小さいのによく食べて良く飲むなーと」褒められましたよ。
バクー市内にはアートがたくさん。
<集合写真>世界中から集まったジャーナリスト40人で宴会後、記念写真。みんな、よく食べ、よく飲むこと!お世話になりましたー!
※注1:アゼルバイジャンは、長いことヨーロッパとアジアの中間に位置しており、どっちかと言うとアジアに近いところにいました。しかし、1994年にアゼルバイジャンのイルハム・アリエフ大統領が「アゼルバイジャンはヨーロッパということにします」と宣言した後ヨーロッパになったそうです。地域の区分は大統領が決められることも今回の旅で初めて知りました(笑)
井原美紀ブログ 旅の記録 Let’s GO TO SEE THE WORLD!
http://ameblo.jp/surpriseenterprise/entry-11950491290.html