歳月を経るほどに美しく…「鞄 いたがき」の一生もののバッグ
北海道に本社と工房がある「鞄 いたがき」は、5年ほど前に京都の三条通に店舗を構え、平成25年に、現在の御池通沿いに移転し、窓からの並木の緑も美しい広々とした店になりました。そこには、本物の革の素晴らしさに魅せられた常連客が、好みの品を探しに、のんびりと訪れます。
ここの人気の品といえば、馬具の鞍をモチーフにした、しっかりとした鞄。持ちやすさを考慮したフォルムと上質の革が、鞄好きを唸らせます。
創業者の板垣英三さんは、戦後まもなく15歳で、東京で鞄づくりの修業に入り、以後、鞄づくり一筋に歩む鞄職人さん。「妥協しないものづくり」が、創業以来の姿勢です。
使う革にも強いこだわりが…化学薬品を使用せず、昔ながらの革なめし技術である「タンニンなめし」というミモザやチェスナットなど植物の樹皮から抽出した渋(タンニン)を含んだ溶液に、じっくり時間をかけて漬け込み、丁寧になめされたれた革のみを使用。
手間のかかるなめし方法…でも環境に、作業する人にとって安全で、そして何より使う人にもやさしい感触をもたらす、昔ながらの技術です。また天然素材である革自体にとっても、まるで息ができるような、とてもやさしいものなのです。
「鞄 いたがき」の革は、大切に手入れをしてゆくと、使う歳月と共に、色の深みを増して趣もいっそう。1年目より、2年目…そう歳月を経たものの方が、より美しく感じられます。歳月を重ねるほど、美しく、味わい深いものがいい…これは、京都の人たちの美意識とも重なるもの。だからでしょうか、開店以来、常連客も年々増えています。
「鞄 いたがぎ」の製品は、一針ひと針、丁寧に縫われ、使うほどに馴染んでゆく革に寄り添うように、縫い目自体も自ずと調整されていくように感じます。
また、流行に左右されない飽きのこないデザインなので、まさに一生ものと言えるバッグ。なかでも上質の黒革のバッグは、小ぶりなサイズながら、しっかりメガネや小物などが収納でき、冠婚葬祭にも重宝するバッグです。
京都限定の西陣織の金襴を使った雅なデザインは、外国の方にも注目される一品。
鞄以外に、札入れ、名刺入れ、財布などもいろいろと揃う店内。
店内では、購入した製品に無料で名前を刻印してもらえるサービスもあり、贈り物にも好評だそう。自分の名前が入ったものには、さらに愛情がわいてきます。
ずっと持ちつづけたい…そんな思いを叶えるための、修理体制もしっかり。ファスナーや裏地、ハンドルなどの交換をはじめ、ほつれた部分の縫製など、長く使えるアフターフォローも十分に揃っています。
真新しいものを持つより、よく手入れされたものを持つ方が好ましい…そんな感覚をもつ京都人に愛されている鞄です。
鞄 いたがき京都御池店
京都市中京区御池通堺町西入ル御所八幡町233 Mezzo御池1F・2F
☎075-222‐5656 営業時間:11:00~19:00
火曜定休
小原誉子
ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」
http://blog.goo.ne.jp/mimoron/