たるみを年齢以上に加速させてしまう顔まわりの4つの筋肉グセ。たるみの改善には、まず筋膜のよじれを解消することが不可欠です。その理由と方法を理学療法士の竹井仁先生が解説します。さっそく実行してみて。
筋 膜
筋膜がよじれると顔の筋肉が正しく動かず、たるみが発生
筋膜とは筋肉表面を包む膜。たるみとどうかかわっているのでしょうか?
「筋膜は、全身の筋肉をボディスーツのように覆っていて、筋肉の中にもり込んでいます。筋膜は全身がひと続きなので、一部の動きが悪くなるとよじれた状態になります。顔のたるみが生じるのもこれが関係しています。頭が体の真上にのった正しい姿勢だと、頭部の前後の筋膜のバランスがとれ、顔の筋肉も柔軟でたるみが生じません。でもスマホなどを見て、猫背で首を前に出した姿勢が続くと、頭の後ろや首の前側などの筋膜が硬くなり、全身の筋膜がよじれます。すると顔の筋肉の動きが悪くなり、重力に負けてしまい、たるんでしまうのです。
こんな状態でいくら顔を動かす体操やマッサージをしてもたるみは改善しません。まずは全身の筋膜リリースで筋膜のよじれを解消して姿勢を整え、次に顔の筋膜リリースをすることが不可欠なのです」
竹井 仁さん
Hitoshi Takei
1966年生まれ。理学療法士。医学博士。首都大学東京大学院および同大学健康福祉学部理学療法学科教授。医学に基づく筋膜リリースの第一人者
筋膜は、図のように5つに分かれています。最もよじれやすいのが筋肉そのものを覆う筋外膜。深筋膜には筋線維が入り込み、全身の筋膜をひと続きのボディスーツのようにつないでいます
立ち姿勢でたるみの危険度CHECK!
たるみ知らずの正しい姿勢〈写真右〉
・あごは軽く引いている
素足でかかとを壁から3㎝ほど離して立ったとき、お尻と背中がぴったり壁につき、腰の後ろに手のひら1枚ほどのすき間ができるのが正しい状態。後頭部も壁につくのが◯
たるみを招く悪い姿勢
・骨盤前傾タイプ(反り腰)〈写真中央〉
腰の後ろに大きなすき間がある(骨盤が前に倒れ、腰が反りすぎている
・頭とあごが前に出ている
・バストが下がっている
・骨盤後傾タイプ〈写真左〉
壁を背にして立つと、お尻が壁から離れるか、軽くつく。または軽くついても腰の後ろにすき間がほとんどないのは悪い姿勢(骨盤が後ろに倒れ、腰は平坦)
・お腹が出ている
次のページではねじれた筋肉を解消するエクササイズをご紹介します!
まずは全身の筋膜をリリース
まずは全身の筋膜のよじれをリリースして姿勢を改善。筋膜のよじれは、30秒以上かけてじっくりと伸ばすことで解消します。反動をつけて行うのはNG。
両足そろえての全身筋膜リリース 1回 30〜90秒
机に両手をついて体を伸ばし、縮んだ筋膜を骨盤を中心に上下に伸ばす筋膜リリース。
1 机に手をつき、体を90度に曲げる
足を肩幅に開き、机に両手をつきます。股関節を中心に体を曲げ、上半身と下半身が90度になるようにします。両脚が伸びて床の中に入り込んでいくイメージ
2 上半身とお尻を腕のほうに伸ばす
続いて、上半身をお尻と一緒に腕の方向に伸ばします。これで股関節を中心に上下に体が伸ばされた状態になります。そのまま30~90秒キープ
次回も、全身筋膜リリースのエクササイズをご紹介します。
Tシャツ¥4,900・パンツ¥16,000/ル・ピボット
撮影/城 健太(vale.)
ヘア&メイク/田村俊人(DIMPLY)
モデル/TOSHIKO
取材・原文/和田美穂