この夏の猛烈な暑さの名残で、体もお肌もグッタリ。それを解消するのに、ゆっくり温泉に入るのが一番。京都の町中から温泉と言えば、思い浮かぶのは兵庫県の城崎温泉や有馬温泉、和歌山の白浜など。でも気軽に行けない距離です。
「京都にも体にいい温泉あるの知らないの?」という温泉好きの友人。しかも、そこは、京都の町中、京阪三条駅から、バスで1本、約20分で行けるそう。「え~絶対行きたい~」ということで、紹介されて向かったのは、比叡山へと続く山道の中ほどにある「北白川天然ラジウム温泉」です。京都の中心地から最も近い天然温泉なのです。
さて、ここの温泉は、ラジウム温泉という、ちょっと聞きなれない泉質。それは花崗岩の割れ目などを長い歳月をかけ通過し、その際、自然界に存在する微量の放射線(ラジウム)を含むことになった、まさに恵みの温泉。温泉に含有するラジウムは、湯気と共に空気中に放出され、それを吸い込むことで、体内に刺激をもたらし、新陳代謝を促進し、免疫力を高めるホルミンス効果が期待できるのだそう。つまり免疫力が高まって、体の中から蘇る温泉なのです。
全国に同じような泉質のラジウム温泉は、点在するのですが、ここはその含有量はトップレベル。つまり高い効果が期待できるということ。「放射線だから大丈夫なの…」という心配は御無用。体に害になる量ではなく、体内に入っても30分ほどですべて消えてしまうのだそう。その効用は、特に内臓系の病気や、婦人病、リュウマチなど幅広く、万病に効くといわれる温泉です。
そんな素晴らしい働きをもった温泉が、京都の町の近くにあったとは…。山間にある建物は、昭和が薫る温泉場という感じ。でも玄関にはいると、外からは想像できないモダンな造り。一昨年、京都迎賓館の建設にも関わった建築家、才門俊文さんに依頼し改装したそう。その際、2室の客室も改装し、露天風呂付きの特別室もできました。東京から観光に来た友人と一緒に宿泊したくなる素敵なお部屋でした。
そもそも昭和31年に開業した「北白川天然ラジウム温泉」は、藤田恒二郎さんで三代目。「祖父が、この山を購入し、そこに湧く水が、万病に効くと地元の人に聞き、多くの人の役に立てればと、温泉宿を始めたんです」と。裏山に湧き出す水を引き、加熱し温泉として大浴場などの湯船を満たすと共に、飲泉であることから、宿の料理などにも使われています。
日帰り温泉の利用も可能で、2階の大浴場で存分にラジウム温泉を満喫できます。山に面した大浴場は、湯気が充満…窓を開け放てば露天風呂のような開放感が味わえますが…どうも湯気を吸いこみたい利用者の希望で、外の景色は窓越しに眺めることが多いよう。
湯船を満たす温泉は、山から湧き出す低温泉を、程よい湯加減になるよう加熱して、いつでもすぐに快適に入浴できるようになっています。湯船に浸かり、深呼吸…ジワリと汗がにじみます。お湯には特別な臭いや肌への刺激もありませんが、体が芯から温まる感じがしてきます。
特に内臓機能に働きかける成分とのこと。入浴前に、飲泉場で、飲むことができる温泉で、十分に水分補給。さらにこの温泉の効果を体内に取り込みます。
日帰り温泉では、広間を休憩所として利用でき、営業時間内なら何度でも温泉へ。現在は、昭和の雰囲気の休憩所ですが、来年モダンなスペースへと改装する予定だそう。
秋が深まれば大浴場の窓から、向かい側の山の見事な紅葉が眺められるとか。
比叡山に続く道の途中にあるので、延暦寺の参拝の後、ここでひと休みするのもおすすめ。
京都の町に近くに、こんな体が蘇る温泉があったとは…。京都観光の疲れを癒しに、ちょっと足をのばしてはいかがでしょ。
北白川天然ラジウム温泉
京都市左京区北白川地獄谷1-125
☎ 075‐781-45252
日帰り温泉9:30~22:00(最終入場21:30) 定休日:火曜日
入浴料1450円+入湯税100円
交通:京阪三条駅から京阪バスで約20分。「地獄谷」バス停から10m京都よりに戻る。
小原誉子
ブログ「ネコのミモロのJAPAN TRAVEL」
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