前回、温浴効果を高める入浴剤には4つの種類があることを紹介しました。炭酸ガス系と温泉成分系に引き続き、今回はスキンケア系と生薬系の入浴剤について、日本薬科大学 特任教授の石川泰弘さんに解説していただきます。最後にお風呂の豆知識Q&Aもあります。
スキンケア系の入浴剤は全身の保湿を重視したい人に!
「スキンケア系の入浴剤に使われる保湿成分はホホバ種子や米ぬかなどのオイルや植物成分などで、フェイスケアのコスメに配合されているものと同じです。薄めた乳液のお湯に入るイメージですね。お風呂につかるだけで全身の保湿ケアができるので、入浴後にボディローションを塗りたくない人にも便利ですし、手の届かない背中などもケアができるのが利点です」。
エイジングなどで乾燥した肌に向く、しっとり浸透タイプの入浴液。独自開発の米ぬかオイルやNMF複合アミノ酸ほか、甘草エキスなどの生薬有効成分が配合されています。薬用でひびやあかぎれにも効能があるので、膝やかかとのカサカサが気になる春夏の素足対策にもおすすめ。白濁したお湯とミルキーハーブの香りが楽しめます。
●薬用ソフレ キュア肌入浴液 ミルキーハーブの香り 480ml ¥1,100 医薬部外品/バスクリン
日本酒造りで培われた醸造醗酵技術と最先端の科学を融合して生み出したライスパワーエキスを配合した入浴液。お米由来の成分として日本で初めて国の認可を受けた、入浴剤用の医薬部外品有効成分「ライスパワーNo.1-D」が配合されています。入浴後のしっとり感が持続するのも特長。天然香料による森林浴のような香りで、気分もリラックスできます。
●アトピスマイル 薬用入浴液 600ml ¥2,200 医薬部外品/勇心酒造
生薬系の入浴剤はナチュラル志向の人におすすめ
「日本には古来、健康のために月ごとに異なる植物をお風呂に入れる風習がありました。冬至の柚子湯もその1つです。生薬系の入浴剤には薬効を持つ植物が使われていて、主な素材には生姜や唐辛子、センキュウ、陳皮、ドクダミなどがあります。目的は温活や抗炎症、保湿など生薬の種類によってさまざま。自然の香りによって気分もリラックスできます」。
東洋のホリスティック思想をもとに製品開発をしているアユーラの入浴剤。唐辛子や甘草などを配合した薬用ハーバルホットスパは疲労回復や肩こりの緩和に。また、生姜や柑橘類をブレンドした生姜香草湯と蓮やヨモギ葉エキスをブレンドした蓮香草湯は、温活と保湿、安らぎのバスタイムに香りの好みで選べます。いずれもアロマティックハーブがブレンドされて、心が癒されます♡
(左から)
*薬用ハーバルホットスパ(30g×8包)医薬部外品 ¥2,200
*蓮香草湯α(40g×8包)¥1,980
*生姜香草湯α(40g×8包)¥1,980
/アユーラ
温泉成分の炭酸水素ナトリウムに、トウキュウやセンキュウ、チンピなど刻んだ生薬をブレンドした入浴剤。温浴効果を高めてくれるため、冷え性や疲労回復、肩こり対策におすすめです。肌をしっとり整える保湿成分も配合され、緑色の白濁湯と柑橘系の香りが楽しめます。
●百薬湯(30g×10包)/UYEKI
「お風呂教授」に聞きました! お風呂に関する豆知識Q&A
お話いただいた石川泰弘さんは、長くバスクリンに勤務していたこともあってお風呂に関する知識が豊富です。現在は日本薬科大学の特任教授を務めながら、同校で一般大人向けのオンライン講座も開講中。取材中は何を聞いても答がポンポン返ってくるので面白くなり、入浴剤以外のお風呂に関するアレコレもお聞きしました。
Q 半身浴でヤセられますか?
A 痩せません。お風呂に入りながら筋トレすれば痩せるかもしれませんが、そもそも半身浴は胸部に水圧がかからないため心肺機能が弱っている人、肺や心臓に疾病がある人の入り方です。浴室を温めておかないと上半身が温まりませんし、長時間の入浴は肌の乾燥を招きます。健常者には全身浴がおすすめです。
Q 「体の芯まで温まる」と言うけど、“芯”ってどこのことですか?
A 体の中心部の体温は、極力一定に保たれるようにできています。温浴で言う“芯”とは、コアと呼ばれる筋肉の深い部分を指していると考えていいのではないでしょうか。
Q 日本人はいつからお風呂に入るようになったのですか?
A 6世紀仏教の伝来と共にお風呂の文化が始まったと言われています。家庭にお風呂がなかった時代、庶民は銭湯に行くのが一般的で、銭湯は安土桃山時代の1591年に伊勢与市が江戸(現在の東京・丸の内)にあった銭瓶橋の袂につくったのが始まりと言われています。奈良時代、平安時代の貴族は自宅に蒸気浴の場があり、江戸時代の大名家や豪商は風呂場を持っていました。農家にも樽のようなお風呂があったようです。
Q 水なのに風? どうして「風呂」と名づいたのでしょう?
A 諸説ありますが、蒸気浴の「室(ムロ)」が風呂になったというのが有力です。昔は水を溜めるのも沸かすのも大変でしたので、少ない水で温まり汗が流せるのは蒸気浴だったのでしょう。なお、江戸時代の銭湯は蒸気浴で、浴室では板の上に布を敷いて座り、脱衣所では場所取りに使ってその上で着替えをしていました。着替えを包んで持っていき、風呂場に敷いて使う布。それが風呂敷の由来だというのが定説です。
Q ユニットバスが日本に入ってきたのはいつですか?
A 1964年の東京オリンピックのためにホテルニューオータニ(東京・赤坂)が建設されることになり、海外からの客を迎えるために導入されました。ユニットバスとは工場でパーツをつくり、建築現場で組み立てる方式のお風呂です。現在は工場で作って建築現場に設置するキュービック式となっています。
「ちなみに、江戸時代の公衆浴場は混浴でした。“湯”の語源は“ゆるむ”だとも言われているんです。かつての日本は性風俗に対して、ある意味おおらかだったのかもしれませんね(笑)」。
バスクリン ソフレ公式ウェブサイト
https://www.bathclin.co.jp/bs/sofre/
アトピスマイル公式ウェブサイト
https://www.ricepowershop.jp/products/bodycare/atopi/
アユーラ公式ウェブサイト
https://www.ayura.co.jp/
UYEKI公式ウェブサイト
https://www.uyeki.co.jp/
石川泰弘さんプロデュース「日本薬科大学 漢方アロマコース」
https://www.nichiyaku.ac.jp/kampo-aroma-course/2023year/course/
インスタグラム@kurikobeautyでコスメ情報などを随時発信中。