【お話を伺った方】
大学卒業後、2019年入社。主にミツバチ産品に関する研究知見や最先端の学術情報をもとに、皮膚科学を根拠とするサービスの企画開発および化粧品のブランドコンセプトの構築などに携わっている。
セトッチ: ギリコさん。この連載で今まで白髪についていろいろ調べてきて思ったのは、ヘアカラーをするにしても、将来きれいなグレイヘアを目指すにしても、年齢を重ねてきた私たちが美髪のために大切なのは、とにかく頭皮と髪を健康な状態に保つことに尽きるということです。
ギリコ: そのとおり。セトッチさんは、ほとんどヘアケアはしてこなかったと連載開始時は言っていましたけど、その後少しは変わりましたか?
セトッチ:はい! ギリコさんおすすめのシャンプーやトリートメントをいろいろ試してみて、だんだん手触りやツヤがよくなってきたなと実感しています。
ギリコ:それはよかった。 50代ともなると年齢を理由に諦めてしまう人が多いけど、髪も肌と同じでお手入れをすれば応えてくれますからね。私は合わない白髪染めを何度も使ってしまったために傷みに傷んでしまった髪を、2年近くかけて現在の状況に復活させました。誰よりもお手入れの大切さを実感しているので、おせっかいとは思いつつ、よいものを見つけると人に紹介したくてたまらないんです。
〔上の写真:OurAge編集部員ギリコ(50代半ば)、ただ今スーパーロングヘアに挑戦中。「ロングヘアを楽しめるのも髪が健やかであればこそ。ちなみにこれは、朝起きてすぐの写真です。まだヘアオイルなど何もつけていない状態ですが、ツヤがあるのがおわかりになるでしょうか」とのこと〕
ギリコ:そういえば、セトッチさんは白髪に加えて、抜け毛もすごく気になるって言っていましたよね?
セトッチ:はい…。洗髪したあとにお風呂の排水溝にたまった髪の毛を見るとギョッとします。朝起きると、枕にも髪の毛がいっぱいついていて、「こんなに抜けちゃった〜」って悲しくなります。
ギリコ:それなら、育毛対策も始めたほうがいいかも。
育毛剤というものがあるのですが、その育毛剤にもこれまたいろいろな商品があります。
最初は何を選んでいいのかわからないでしょうから、まずはこれ↓を試してみてはいかがでしょうか。
〔上の写真:山田養蜂場 薬用 RJ地肌ケア エッセンス(育毛剤) < 医薬部外品>〕
山田養蜂場のローヤルゼリーエキスを配合した薬用育毛剤です。
なんとこの育毛剤、累計販売本数160万本という大ヒット商品なんですよ。
セトッチ:160万本はすごい! 〝50代でもツヤツヤのスーパーロングヘアを楽しみたい〟と言って、いろいろなヘアケアアイテムを試してきたギリコさんがおすすめするからには、単に「売れている!」というだけが理由ではないですよね?
ギリコ:ふふふ、そうなんです。
ローヤルゼリーはサプリメントや化粧品などにも配合されていて、いろいろな会社からたくさんの商品が出ています。
その中でも山田養蜂場といえば、ローヤルゼリーをはじめとしたミツバチ研究一筋のメーカー。自社の研究機関を持ち、その研究成果をまとめた論文を326報(※2024年7月26日現在の数値)も発表しているんです。
そのひとつが「ローヤルゼリーエキスを配合した薬用育毛剤の効果」という論文です。
↓
〔ローヤルゼリーエキス配合の地肌ケアアイテムを3か月使用した40代女性の例。上が使用前で下が使用後(写真提供/山田養蜂場)〕
発表当時、美容業界でかなり話題となった論文なんですけど…あ、そうだ! 取材に行って、ローヤルゼリーと育毛の関係についてお話を伺ってきてはどうでしょう? そこをしっかり理解すれば、単に私にすすめられたから「薬用 RJ地肌ケア エッセンス」を使ってみる、というよりもさらに使うモチベーションがアップするかもしれません。
女王蜂の驚きの生命力を凝縮したもの、それがローヤルゼリー
セトッチ:このたびは御社の大ヒット商品、ローヤルゼリー配合の薬用育毛剤「薬用 RJ地肌ケアエッセンス」について、商品の研究・開発に携わっている方に、その人気の秘密を伺いたいということで参りました。
昔からローヤルゼリーと聞くと「体によいもの」というイメージがありますが、「なぜそんなにすごいのか?」と聞かれたら、答えられないんですよね。なぜ、ローヤルゼリーにはそんなパワーがあるのでしょうか?
吉田: はい。ではまず、「ローヤルゼリーとは何か?」からお話ししていきましょう。セトッチさん、そもそもローヤルゼリーってなんのことかご存じでしょうか?
セトッチ:えーっと。女王蜂が作る高級はちみつ?
吉田:いえいえ。違います(笑)。まずは、そこからご説明しますね。セトッチさんのように「はちみつの一種」とか「はちみつの加工品」だと誤解されている方も多いのですが、ローヤルゼリーははちみつとはまったく別物です。
はちみつは働き蜂が、花から集めてきた「蜜」を巣に持ち帰って蓄えることで、濃縮・熟成させたもの。ご存じのとおり甘くて、見た目は赤褐色とか黄金色です。ちなみに、働き蜂になるのはメスだけです。
一方、ローヤルゼリーは、働き蜂が食べた花粉やはちみつを体内で消化分解したあと、下咽頭腺、大あご腺から分泌したもの。見た目はとろりとした乳白色の物質で強い酸味があるのが特徴です。
セトッチ:乳白色? 酸っぱいんですか? イメージとまったく違っていました。
吉田:はちみつは働き蜂やオス蜂の食べ物。そして、ローヤルゼリーは女王蜂と生後3日までの幼虫のための食べ物です。
セトッチ:さっきおっしゃっていましたが、働き蜂というのはメスの蜂のみなんですね?
吉田:はい。そうです。ここで、興味深いのは、女王蜂も一般の働き蜂もまったく同じ「メスの蜂」で、持っているもともとの遺伝子もまったく同じだということ。
孵化してから3日目までは、のちに女王蜂になるメス蜂も、そのほかの働き蜂になるメス蜂も皆一様にローヤルゼリーを食べるのですが、ゆくゆくは女王蜂になるメス蜂だけは4日目以降もそのままローヤルゼリーを食べ続け、働き蜂になる他のメス蜂は4日目以降はオス蜂と同様にはちみつを食べるようになります。
1匹だけローヤルゼリーを食べ続けたメス蜂が、成虫になったとき女王蜂となるのですが、女王蜂の体の大きさは働き蜂の2~3倍になります。
さらに寿命は働き蜂の30~40倍。
しかも平均3~4年といわれる一生のうちに、毎日1500~2000個もの卵を産み続けるという脅威のパワーを持つようになります。
そしてその間も、女王蜂はローヤルゼリーを食べ続けているのです。
セトッチ:つまり、女王蜂になるメス蜂には、「女王蜂としての体型や能力」が、もともと生まれながらにして備わっていたわけではなく、遺伝子的には他のメス蜂と同じなのに、女王蜂として他の蜂にはない驚きのパワーを持つことができるのは、幼虫期からローヤルゼリーを食べ続けたおかげということなんですね。
そんなふうに、女王蜂を成長させるローヤルゼリーって、いったいどんな成分が含まれているのですか?
吉田:ローヤルゼリーには、9種類の必須アミノ酸と12種類のアミノ酸、9種類のビタミン、9種類のミネラルなど、40種類以上の栄養成分が含まれていることがわかっています。
セトッチ:そんなに? 美肌や美髪をサポートする成分がギュッと詰まっている感じですね。
吉田:その美肌や美髪に関して、私たちが特に着目している特徴成分が「デセン酸※」です。
※10-ヒドロキシ-2-デセン酸
ローヤルゼリーのデセン酸が、「毛乳頭細胞」を活性化
セトッチ:デセン酸? 初めて聞きました。
吉田:デセン酸は、自然界では主にローヤルゼリーにしか含まれていない稀少成分で、女性の肌や体にとってうれしい働きがあることが確認されています。
弊社の薬用育毛剤「薬用 RJ地肌ケア エッセンス」には、生のローヤルゼリーから抽出し、独自開発した「デセン酸リッチローヤルゼリーエキス」が配合されています。
そして、これが育毛において重要な働きをする「毛乳頭細胞」を活性化するのです。
セトッチ:「毛乳頭細胞」ですか…。実は、育毛については、最近少し勉強しまして…。確か、毛母細胞という毛根にある髪の毛を作っている細胞があって、育毛にはこれを活性化することが大切と聞きましたが、毛乳頭細胞というのはどんな働きをするのですか?
吉田:毛乳頭細胞は、髪の毛の生成に関与する「司令塔」と考えてください。
髪の毛は毛母細胞で細胞分裂が繰り返し行われることで作られていきますが、こうした細胞の分裂や増殖を促進する「成長因子」を作り出しているのが毛乳頭細胞。毛母細胞での細胞分裂に関して、成長因子を介して指令を出し、ヘアサイクルを正常に保つ働きをします。
また、「髪の毛を作るために必要なさまざまな栄養素や酸素を毛母細胞に受け渡す」というのも、毛乳頭細胞の大切な役割のひとつ。
髪の毛の成長に必要な栄養素や酸素は頭皮の毛細血管によって毛根まで運ばれてくるのですが、それらは毛細血管から直接、毛母細胞に届けられるわけではなく、毛乳頭細胞が受け渡す役割をします。
セトッチ:なるほど。それで司令塔と呼ばれるのですね。毛乳頭細胞が元気であることが、髪の成長にとって重要なんですね。
吉田:毛乳頭細胞は、毛母細胞だけでなく、外毛根鞘細胞のような抜け毛と関わりのある細胞にも栄養素を与えるので、とても重要なんです。
セトッチ:外毛根鞘細胞?初めて聞きました。なぜ、その外毛根鞘細胞が抜け毛に関わるのですか?
吉田:抜けた髪の毛の根元に、白いゼラチン状のものがついているのを見たことがありませんか?
セトッチ:あります!
吉田:外毛根鞘細胞はそのゼラチン状の部分に含まれているもので、髪の毛と地肌をつなぐ役割をしています。
実は髪の毛というのは死んだ細胞が積み重なってできたもの。それに対して地肌は生きた細胞。つまり、髪と地肌はかなり異質なもの同士なんです。
ですから、このふたつをつなぎ止めておく役割のものが必要になるのですが、それが外毛根鞘細胞というわけです。
セトッチ:なるほど。髪と地肌をつなぎ止めている役割、いわゆる接着剤のようなものということですから、外毛根鞘細胞の働きが弱くなってしまうと抜け毛が増えるということですね?
吉田:最新の研究では、「薬用 RJ地肌ケア エッセンス」に配合されている「デセン酸リッチローヤルゼリーエキス」が、育毛に関わる毛乳頭細胞からの毛髪の成長に関わる因子の産生を促進することが明らかになっています。
セトッチ:ローヤルゼリーのパワーが少しずつわかってきました! ところで、世の中には「ローヤルゼリー配合」をうたった商品というのは、サプリメントや化粧品、ヘアケア製品などさまざまなものがありますが、どのローヤルゼリーにも同じような働きがあるのでしょうか?
吉田:実はローヤルゼリーにはさまざまな働きがあるということはわかっているものの、含まれているそれぞれの成分がどういう働きを持っているのか、それは単体の働きなのか、あるいは複数の成分の組み合わせによって生まれるものなのかなど、解明されていない部分が多いです。
そこで、弊社ではそれをひとつひとつ解明しながら、その働きについて確かな研究結果が得られたものを製品開発に生かしています。
セトッチ:ということは、ローヤルゼリーとひと口に言っても、ローヤルゼリーのどの成分を取り出して、それをどんな目的の製品に使用するかというのは会社や製品それぞれということですね!
吉田:それから、生のローヤルゼリーというのは品質管理が難しく、弊社では成分本体の働きを損なわないように抽出する独自技術を開発しています。さらに、有効成分を地肌により浸透させるための技術開発や、ローヤルゼリー以外にどんな成分を配合するかなど、さまざまな研究と工夫でひとつひとつの商品を作っています。
セトッチ:なるほど。そのあたりが累計販売本数160万本の人気の秘密なのかも。ますます興味が湧いてきました!(次回へ続く)
取材・文/瀬戸由美子