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メイク法をマスターするより、まずは……(君島十和子 美の格言⑬)

君島十和子

君島十和子

君島十和子. 1966年生まれ。モデルとして活躍後女優に。1996年、結婚を機に芸能界を引退。現在は自身のコスメブランド「FTC」のクリエイティブディレクターとして数々のヒットを生み出している。2女の母。

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君島十和子さんの大ヒット書籍「十和子道」から抜粋した言葉を美の格言としてお届けします。「十和子道」担当編集者ギリコから見たその言葉(格言)の背景や取材時のエピソードも合わせてお読みいただけます。

メイク法をマスターするより、まずは心身ともに健康でなければ。

生活をきちんと送ることこそ、自分の中に眠る美しさを開花させるのです。

暮らしが整えば、纏うオーラも変わるはず。

部屋と暮らしを美しく保つことで生まれる自信は女性を必ずキレイにします

書籍「十和子道」P9、10、95より~


<担当編集者からみたこの言葉の背景>

この連載で十和子さんのことを書いていると、作家の林真理子さんが取材の際におっしゃった数々の言葉が甦る。

 

そのひとつが

「十和子さんには幸福な結婚生活を送っている人妻だけがもつ、清潔な色気がある」

というもの。

 

今回冒頭に掲載した写真を見ていると、林さんの言っていたことがよくわかる。

 

私が初めておこした十和子さんの連載『十和子塾』の名づけ親である林さん。

林さんからは取材を通してたくさんのことを教わった。

数々のベストセラーを著してきた林さんならではの鋭い洞察力と預言者のごとく時代の先を読む感性。

インタビューするたび尊敬の念は強まった。

 

これも今から10数年前のことであるが、ある取材の際、突然林さんに言われた言葉がある。

「○○さん(ギリコの苗字)、これからの時代は〝美人で仕事ができる人〟だけでは誰も憧れないよ。

美人で、右手に夫、左手に子ども、背中にお金をしょってる人の時代になると思うの。

そういう人がこれからはたくさん出てきて、それが当たり前のことになると思う」

 

〝右手に夫、左手に子ども、背中にお金〟の意味がすぐにはわからなかった。

 

ポカンとした顔をしていたのだろう、林さんは説明してくれた。

「美人で、結婚してて、子どもがいて、ビジネスで成功を収めている人ってこと。

つまり、〝全てを持っている女〟なの。

そういう人がこれからどんどん現れる」

 

恵まれた容姿、夫、子ども、仕事の成功。

 

その全てを持っている女性とはどんな人なのかそのときは想像もつかなかったが、ほどなく林さんの〝予言〟は的中した。

女優やモデルだけではなく情報番組のコメンテーターや弁護士、企業家……

ふとメディアをはじめとした世間を見回せば、いつの間にかいろいろなジャンルで活躍する美人であるのはもちろん〝右手に夫、左手に子ども、背中にお金〟な人たちがたくさんいた。

 

そして林さんが言った〝全てを持っている女〟という言葉の強烈さは、私の中に残り続けた。

 

2015年の3月ころだっただろうか、十和子さんの夫・誉幸さんから「話があるので時間をとってほしい」という連絡があった。

そのとき私は『十和子塾』以降2つの部署を経て、40~50代の女性向けにウェブマガジンと季刊誌をつくる編集部にいた。

ウェブマガジンとは、今みなさんが読んでくださっているこのOurAgeである。

 

十和子さんの会社FTCに伺うとFTCの社長でもある誉幸さんが

「来年、家内はついにというか、いよいよ50歳になります。

50歳というのは本人にとっても、思い入れのある年齢です。

そこで50歳の記念になるような本を出してはどうだろうかとふたりで話しておりまして……

その担当編集をお願いしたいのです」

と切り出した。

 

そのとき横にいた十和子さんからは、溌剌としたオーラが出ていた。

誇張ではなく本当にキラキラしていて、妻として母としてだけではなくFTCのプロデューサーとしても充実した毎日を送っているのが感じとれた。

 

化粧品業界というひときわ競争の激しい世界(きくところによると日本国内だけで2000数百社近い化粧品会社があるという)に身を置くことでついたのであろう、ある種の逞しさも備わっていた。

それは10数年前初めて十和子さんを取材した頃の私には、想像もつかなかった姿だった。

 

そしてそれこそはまさに、林さんが言っていた

「美人で、結婚してて、子どもがいて、ビジネスで成功を収めている人。

つまり、〝全てを持っている女〟」

そのものだった。

 

この人に憧れたり、羨ましいと思っている人たちがたくさんいることだろうなと思った。

 

だったら……

 

私の頭に〝50歳の記念の本〟のコンセプトがぼんやりと浮かんだ。

 

「十和子さん、もう老眼って始まってますよね?

更年期の症状は?

あ、ハイヒールはまだまだ平気ですか?

相変わらず家事はご自身でやってるんですか、家政婦さんは頼んでます?」

 

私は猛烈な勢いで思いついた質問を次々と投げ、十和子さんはそのひとつひとつに間髪をいれずに答えを返していった。

その勢いは、まるでふたりで卓球のラリーをしているようだった。

 

その間こちらの目を見て真剣に答え続けている十和子さんの様子は、初めて会ったときの彼女を思い起こさせた。

生真面目で目の前のことに全力で取り組む、まっすぐな性格。

それが少しも変わっていないことが、私にはとてもうれしかった。

 

だからこそ

「この人の本はイージーにつくってはならない。

関わる者すべてが全力で取り組まないといけない」

と肝に銘じた。

 

そのため〝50歳の記念の本をつくるための取材〟を始める際は、敢えてたくさんの無理をお願いした。

そのひとつが「自宅で撮影させてほしい」だった。

(化粧品のラベルの小さい文字が見えにくくなってきたときにかけるメガネなど/「十和子道」P27)

★この連載は毎週木曜日更新です。次回は2020年1月23日配信です。お楽しみに!

撮影/本多佳子

*オールカラー、自宅で撮影、オール私服、収録写真400点

書籍「十和子道」大好評発売中!

電子版には特典としてプライベートを含む計276点の写真とコメントを特別編集した「エブリディ十和子」がついています!

 

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