ウォブクリニック中目黒総院長。肌の仕組みや、肌を支える組織に精通。肌トラブルやエイジングへのわかりやすいアドバイスが評判 ・日本皮膚科学会正会員 ・日本美容皮膚科学会正会員 ・日本抗加齢医学会正会員 ・日本香粧品学会正会員 ・日本レーザー医学会正会員
骨や筋肉など、「皮膚以外」の変化も老け見えの原因!
顔の中でも、目元の老け見えが目立つのはなぜなのでしょう。
「目元の皮膚が薄くて繊細なこと、まばたきなどで酷使していることは、シワ、たるみ、くすみを招く大きな原因。それに加えて、40代、50代になると顔の骨の萎縮が始まり、眼窩孔(がんかこう)は広がり、頰骨の位置が下がります。それによって目まわりの皮膚は支えを失い、シワやたるみが顕著になるのです」と髙瀬聡子先生。
そのほかにも眼輪筋など目まわりの筋肉の衰え、眼球を支える脂肪のボリュームダウンも老け見えの原因に。
「骨の変化は、自分ではケアしづらい部分。なので、せめて朝晩のスキンケアは目元を手厚く行いましょう。今はスキンケアの技術が進み、ハリの元となる真皮のコラーゲン線維にアプローチするような最新コスメも。また、スマホなどで酷使した目元を温めたり、ツボ押しするなどして、血行を促すことは大事。日々の地道な積み重ねが功を奏します」
40代、50代の目元を襲う
老け見えのメカニズム
目元老化はなぜ起こる?
●脳の疲れ
目は脳の出先機関といわれ、仕事や人間関係などによるストレスで脳が疲れると目の機能も低下。その結果、見えづらくて目を細めることなどが増えると、まぶたを締めつけ、シワができやすくなります
●眉のこり
眉には皺眉筋(しゅうびきん)という筋肉があり、目の酷使やイライラなどで収縮すると、眉間にシワが。こり固まると眉にボコッと盛り上がりができて、目元の美しさを妨げ、目の形にも影響します
●骨の萎縮
加齢で全身の骨量、骨密度が低下するとともに、顔の骨も萎縮。眼窩孔が広がり、頰骨も萎縮します。眼球を支える脂肪がずり落ち、まぶたの落ちくぼみ、たるみやシワ、くまの原因に
●脂肪のボリュームダウン
眼球を支えている脂肪が、加齢とともにボリュームダウン。目元はハリを失い、上まぶたのくぼみが顕著になって老け見えの原因に
●血行不良
目まわりには血管が多いものの、細く繊細なので血流が滞りがち。40代、50代になると骨の萎縮により眼窩孔が広がり、血流がさらに悪化。くま、むくみが出やすくなります
●皮膚の緩み
年齢とともに真皮のコラーゲンやエラスチンの分解が進み、皮膚は厚みを失った菲薄(ひはく)化(肌痩せ)状態に。薄くなった肌はハリを失い、よれてシワやたるみができやすくなります
●筋肉の衰え
まぶたの開閉にかかわる筋肉。加齢で萎縮しハリを失うとともに、眼球を支える脂肪を抑えることができなくなり、上まぶたの落ちくぼみや下まぶたの脂肪のでっぱりを招きます
◆眼輪筋
まぶたの皮膚の裏側に張りつくように存在し、目をぐるりと取り囲む筋肉。加齢で萎縮し、20代と比べ、50代になると0.5㎜ほど薄くなるといわれています
◆眼瞼挙筋(がんけんきょきん)
収縮するとまぶたが開きます。加齢のほか、コンタクトレンズやスマホなどによる目の酷使でも衰え、パッチリ開きづらくなります
◆ミュラー筋
眼瞼挙筋にくっついている筋肉。無意識のまばたきで使われるといわれます。眼瞼挙筋と同様、加齢、目の酷使で衰え、目力がダウン
撮影/天日恵美子 ヘア&メイク/広瀬あつこ モデル/鈴木美季 スタイリスト/程野祐子 イラスト/きくちりえ(Softdesign) 構成・原文/小田ユイコ