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水源地への旅ースローフードの生まれた町ブラー

竹村和花

竹村和花

ミネラル水鑑定士協会(イタリア)公認水ソムリエ&水鑑定士(n.2689
2004年より 社)日本温泉協会にて6年間温泉コラムを連載。取材活動を通して日本の温泉が抱える源泉問題を知る。
2008年EUの地下水源の実情と法環境を取材調査するため現地に活動拠点を移す。
2019年フィレンツェ大学法学部で就学後、一時帰国中にミラノがロックダウン。
現在は日本からイタリアの生活で培った情報を発信中。
【所属】 社)日本旅行作家協会・正会員、温泉学会・理事

 

 

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ボン・ジョルノ!こんにちは、水ソムリエ&水鑑定士の竹村和花です。

季節は春、春は日本が最も花やぐ季節のひとつですね。

今日は、イタリア国内に流通する多くのミネラルウォーターの水源地でもあるピエモンテ・クーネオへの旅をご紹介していきます。

クーネオは、今では世界中に広がるスローフード運動が生まれた町・ブラのあるエリアでもあります。

トリノからも決して遠くはありませんので、GWなどで北イタリアにお出かけになる方は是非足を延ばしてみてはいかがでしょうか。

 

<イタリアの名ブランドを生む水源地>

北イタリアにあるピエモンテ州はトリノが州都で、ワインの産地としても有名です。

トリノはフランスの影響が強い町で、様々な暮らし文化の中にその息吹が感じられます。

トリノから白トリュフで有名なアルバにかけて広がるクーネオは、イタリア国内に流通するミネラルウォーターの水源地でもあります。

クーネオに水源地のある銘柄の中にはS.BERNARDO(サン・ベルナルド)やSant`Anna(サン・アンナ)といったブランド・ウォーターもあります。

特にSant`Anna(サン・アンナ)は、ナトリウム0.0001%以下がキャッチフレーズの超軟水として知られます。

ガス入りの炭酸水は常温でも飲みやすく、また水本来の味が出やすいスチルウォーター(無発泡タイプ)も日本人の口に飲みやすい味です。

このまろやかな水は、ミネラルウォーターに入っている成分の構成を見ても日本の水に近く、日本人の味覚に合う美味しい水といえます。

クーネオの水が全て軟水で、どの銘柄もクセがない訳ではありませんが、イタリアきっての水源地エリアの1つであることは間違いありません。

 

<スローフードの運動の生まれた町>

このクーネオにはもう1つ、忘れてはいけない町があります。

それは、ブラ。今では世界中に広がるスローフード運動が生まれた町です。

ブラはトリノから電車で30分ほどのところにある人口30,000人ほどの小さな町です。

日本では外食産業や地域おこし、観光業界などの起爆剤のように扱われがちなスローフード運動ですが、その起源はイタリアらしい社会運動に近いものでした。

1986年、カルロ・ペトリーニによって設立された協会は《“ファスト・ライフ”という全世界の狂気》や《過剰な添加物や異常なまでに効率的な混合物》に対抗するための活動を拡げ、今では世界150カ国に広がっています。

小さなローカル線の駅に降り立つと、あたりはシンと静まり返っていて、2年に1度のチーズ祭りを知っている人には、まるで別の町にさえ見えます。

また、現在「スローフード・インターナショナル」の展開する世界規模での活動を知る人には、この小さな町から活動が生まれたとは信じがたいことでしょう。

けれど、日本の田舎町を連想させる小さな町の食にまつわるレベルは限りなく高く、フィレンツェのように何もしなくても世界中から旅人が訪れる町の外食産業とは明らかに意識が違うことを実感します。

それは何も高級なリストランテだけでなく、オステリア(居酒屋)やお惣菜屋さん、それに学校帰りの子ども達が口にできるパニーノにまで行き届いています。

 

次ページに続きます。

<暮らしの基にある大地>

ブラを中心としたエリアの野菜には、その豊かな土壌と厳しい気候から、日本でいう寒じめ野菜のような独特の甘味があります。

ブラの大地で収穫される野菜は、どれも農家の人々が手をかけ、丁寧に生産されたものとして、ピエモンテでは最高級のランク付けがされています。

そしてお値段は?というと、他の産地ものに比べて必ずしも高級価格というわけではなく、地元の食卓に日々並べられる値段で売られています。

どんなに美味しくても、カラダに良いと分かっていても、値段が高すぎては誰もが毎日口にすることはできません。

それがブラ、スローフード発祥の町で徹底されている「公正(公平)であること」の現場における真の意味です。

また、このブラの大地と気候によって生まれるのは野菜だけではありません。

人びとの頑固で熱烈な地元への愛や、その土地で生まれる水も甘く豊かなものです。

初めてホテルの水道水を口にしたとき、最初わたしの口の中に何か甘味が残っていたのかと思ったほどです。

けれどミネラル水のボトルに水道水を詰めてフィレンツェに持ち帰った私は、改めてその水を口にし、成分を知ってブラの水の甘さに驚きました。

暮しの基にある大地の豊かさ、水も野菜も全てそこから生まれ、私たちのカラダを作り上げる――それは、ブラの町が「食」を通して伝えようとしているメッセージの1つです。

 

 

今月のおすすめ銘柄 

S.BARBARA BOLLE STILLE DILURISIA(S.バルバラ ボッレ スティール ディルリシア)

北イタリア・ピエモンテ州にある城塞都市・モンドヴィにある古い湧泉井戸が源泉になります。ほのかな甘さを感じる飲みやすく味わいのある水です。販売元となるLURISIAミネラルウォーター有限会社は、スローフードの町ブラで開催されるビエンナーレ「チーズの祭典」にも参加しています。

 

【水タイプ】

産地泉源:イタリア/ピエモンテ州(モンドヴィ)

湧水温度:非公開

水タイプ:発泡/無発泡

知覚ほか:無臭/pH6.6

ミネラル:ナトリウム:2.6mg,遊離炭酸:10mgほか ※イタリアでの分析による(per.L)

 

【水ソムリエの飲み方レシピ】

水も野菜も大地とつながっていて、さらにテーブルに並ぶお料理・食文化も大地との結びつきのが深いものだ、ということから水とお料理のコーディネートをご提案したいと思います。日本人には飲みにくいお水の使い方としてはもちろん、そうでなくてもその水の産地国のお料理とその国のミネラル水を合わせて楽しんでみることをおすすめします。例えば、フランス産のお水にはバターを使ったしっかり味のソース料理。イタリアのお水には、リゾットやシンプルな焼き野菜料理。調理水ごとミネラル水に替えてみると、お米や野菜の歯ごたえ、ハーブの風味などが変わって新しい発見があります。

 

<ショップ情報> アマゾンなどインターネット販売,リカーショップ,輸入食材店ほか

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