先日、A.I.(人工知能)を使った将棋ソフトを提供する「HEROZ(ヒーローズ)」が、東京証券取引所マザーズに上場しました。
A.I.関連市場への期待の高まりから人気が沸騰し、初値が10.9倍、時価総額は約1400億円で東証マザーズ6位という大記録を打ち出しました。
「HEROZ」とは、テレビでよく観る、現役プロ棋士を破った将棋ソフト「ボナンザ」を開発した会社です。
「将棋ウォーズ」というゲームでご存知の方も多いのでは?
いまや、東大出や京大出と言った学歴が、全く意味をなさない時代になってきてしまいました。
人間がどんなに頭が良くても、疲れ知らずのA.I.にはかなわない。
それだけでなく、小説や芸術など、感性が必要な職業もこなしてきています。
ベストセラーもヒット曲も、過去の膨大なデータと未来予測によって、生み出すことが可能なのです。
人類は、もはや無力で非力と証明されてしまいました。
電話相談の実験でも、人間よりA.I.の方が相談しやすかったというアンケート結果が。
理由は、人間だと「長い」「うんざり」「しんどい」「面倒」など、相談を受けている方の感情が伝わってくるのに対して、A.I.は常に同じテンションで相談に乗り続けられるから。
私が子供の頃読んでいたSFショートショート小説の、星新一の世界が、実現化したのです。
頭がいいだけならまだしも、昨今は何と、嘘をつくA.I.の研究が進んでいます。
「人狼ゲーム」という名の騙し合いゲームは、プレイヤー同士が嘘をつき合い、誰が騙しているかを探るコミュニケーション型のゲームです。
人間だと1時間ほどかかるものが、A.I.では相手の嘘を瞬時に見抜き、10秒でカタがついてしまう。
そこには駆け引きなど存在しません。
A.I.が嘘をつけるということは、見破ることもできるということになるのです。
解答が難しい質問には、曖昧に答える。「どちらにせよ、難しい問題ですね」のような答えを無難にこなす。
なるべく人の喜びに近い言葉を使うように指導しているそうです。
配慮や忖度なども、そのうち考慮されてくるでしょう。
またA.I.の覚醒を描いたアンソニー・ホプキンス出演のドラマ『ウエストワールド』が、世界的な人気を得ています。
A.I.を相手に、人間が欲望の限りを尽くしたため、A.I.に復讐されてしまうのですね。トホホ……。
携帯やスマホが普及し、待ち合わせのすれ違いや、逢えない切なさが描けなくなり、恋愛小説が成立しなくなりました。
逢えないのは、どちららが故意に逢おうとしていないから。
長い時間を掛けて思いあぐねることなく、相手の心理がすぐにわかってしまうなんて、怖いことです。
A.I.が及ばない領域は、介護、看護、保育士などの、心のふれあいを必要とする職業だと言われていますが、A.I.が微妙なニュアンスを理解するようになれば、それもこの先どうなるかわかりません。
それでは、唯一人間が持つ、A.I.に勝るものとは、なんでしょう。
I MISS YOU。
これは私が二十歳の頃、叔母を訪ねた渡米以来、世界中の仲間達と交わしてきた言葉です。
MISSというのは、恋しい。
アメリカ人でも、なかなか訳すのが難しいフレーズですが、男女問わず使えるもので私は大好きな言葉です。
ズバリ「私はあなたが恋しい」と言う意味です。好き、だけの感情ではありません。
アメリカで出会った友人達とバカンスで離れる時や、日本へ帰る際によく使いました。ハグしてお互い涙して別れる―—。
日本語にすると「切ない」という気持ちが1番近いかもしれません。この「切ない」という感情がA.I.には、まだわからないような気がするのです。
人間、ここだけは譲れない、という感じです。
そう、人生は、時には正解じゃないことも、大切!
自己啓発書や成功哲学書を書いてきた私が言うのも変ですが、物事がうまくいった時だけでなく、失恋や、失敗から学ぶことや、合理化が進められる世の中だからこそ、情緒や機微や、無益や無駄が大切だと私は思うのですが、みなさんは、いかがでしょう。
いつか
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