OurAgeの読者の皆様、新年明けましておめでとうございます。
「輝く人の言葉選び」のコラムでは、素敵な言葉やテクニックなどを今年もお伝えできればと思っておりますので、どうぞよろしくお願い致します。
昨年の秋に、サービスとホスピタリティをテーマにした『一流のサービスを受ける人になる方法』(光文社)を出版致しました。おかげさまで反響がとても大きかったので、いくつか要点をご紹介しようと思います。
https://honsuki.jp/stand/7970.html
この本を企画したきっかけは、これまで、サービススタッフやホテルマンなど、おもてなしをする側の接客専門書は数多くありましたが、サービスを受ける側の本は、ほとんどないことに気づいたからです。
レストランやホテル、デパートなどで、お金で買えないサービスをチョットした知識や工夫で受けることが可能なのです。積極的にサービスしたくなるゲストになることができる裏技や、VIPのマナーを数回に分けてお伝えします。
ここで基本に立ち返り、「おもてなし」という言葉について解説させていただきます。
2020年、東京で第32回夏季オリンピック・パラリンピックが開催されることが決定し、世界中から「おもてなし大国・ニッポン」などと注目されているように、「おもてなし」という言葉はすっかり定着しました。
「おもてなし」の語源は2つあります。一つは「もてなす」の丁寧語、もうひとつは「表裏(おもてうら)無し」から来ているのだそうです。
「もてなす」の語源は「モノを持って成し遂げる」という意味で、お客様に応対する扱い・待遇のことを指します。一方、「表裏無し」も読んで字のごとく、表裏がない心でお客様を迎えるということです。このことから、“物心両面でお客様に対して最善を尽くし、真摯にお迎えすること”が、おもてなしの真の意味ということができます。
また、「おもてなし」は英語で「hospitality(ホスピタリティ)」と訳されることが多いのですが、それではホスピタリティの語源とは何か、ご存知ですか?
「ホスピタリティ」の語源は中世ヨーロッパにあるとされています。中世の巡礼者の旅で、高齢の人たちを教会やホスピスがお世話していたことから、「ホスピタリティ」という言葉が生まれました。
面白いことに、「hos」を持つ単語には、『接客』と『虐待』という、相反する2つの意味があります。ホステス、ホスピスなどは前者ですが、ホステージ(hostage)となると人質や生け贄、という意味に変わり、後者のニュアンスを持ちます。
つまり、ホスピタリティの精神でお客様に接しても、たった一言のさじ加減で、相手を感動させもし、怒らせもする。言い方や振る舞いひとつで、100−1=0になることもあります。それがサービスという仕事の面白さでもあり、怖さでもあります。
さらにサービスのプロたちは「サービスは有料、おもてなしは無償」であることを知っています。サービスを訳すと「奉仕活動」となるので、一件逆のようですが、実はサービスは「サービス料」というように対価を伴い、おもてなしは気持ち次第なのです。
従って、残念なサービスしか受けられない人の多くは、おもてなしやホスピタリティに込めた、サービススタッフの心を理解せず、サービスされる側とする側に、上下関係や主従関係を持ち込む、人をアゴで使うような人たちです。逆に、ワンランク上のサービスを受けられる人は、サービスマンとの関係を「人間同士のおつきあい」と捕らえられる人です。
私は恋愛相談のコラムなどもよく書いているのですが、女性に多いのが「彼にもっと大事にされたい」というご相談です。これに対し、私は決まって「相手に大事にされたいなら、まずその人を大事にしてみてはいかがですか?」とお答えしています。
サービスを受ける時も同じです。自分が適当に接すれば、相手も丁寧に扱わなくなります。サービスする側も、やはり“人”を見ているのです。
いつか
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