日本でも一般的な食材となってきた南米発のスーパーフード。今回はペルー&ボリビアでスーパーフードが神の恵みと呼ばれる理由をご紹介します。
過酷な環境で育つスーパーフードが
神の恵みと呼ばれる理由
空中都市と呼ばれるマチュピチュ。かつてこの都市でキヌアが食糧とされていた文献も数々発見されています。
ペルー原産の果物は種類が豊富で、それぞれのビタミン値の高さも突出しています。ビタミンCが100gに3000㎎も含まれるカムカムや、アサイー以上の抗酸化力を持つというマキベリーなど驚くほどの安さ。現地の女性たちに一番人気なのは、グラナディーヤと呼ばれるパッションフルーツ。グラナディーヤは日本のパッションフルーツの2倍以上の大きさがあり、糖度が高く、いくらでも食べられそう。ペルーでは、ビタミン豊富なグラナディーヤの搾り汁に水を入れて薄めたものを、赤ちゃんに飲ませるのだそうです。
ペルーに来たら、ぜひ市場へ。標高が高い所で紫外線を浴びたあとは、ペルーの女性たちのようにビタミンCたっぷりの果物を買って食べるのがおすすめです。
ペルーの市場のおもしろさは、高原で収穫される農産物と熱帯でしかできない果物が入り交じり、それがすべて国産というところにあります。それは、ペルーという国が、山岳地帯あり、砂漠あり、熱帯雨林のジャングルありという多種多彩な地形と自然環境を持っているまれな国ゆえにできることにほかなりません。また、ほかの国では農産物がとれないような高地で、スーパーフードに代表される農作物の栽培が行われていることも特徴です。
標高3700mのウユニ塩湖周辺で見かけたキヌアの畑は荒涼とした場所に。
シリアルとしても食べられているキヌアは、生活に必要な必須アミノ酸をすべて含んだ完全食品。
標高2600~3000mで栽培されるジャイアントコーン。コレステロール値を下げる働きがあります。ひげの部分をお茶にして飲むと高血圧にも効果があるとされているのだそう。
紫とうもろこしは、ペルーとボリビアが原産地。チチャモラーダというジュースを作る原料になります。紫の色素に含まれるアントシアニンには、糖尿病予防、肥満抑制などのほか結腸がんの発生を抑制するとの報告も
マカは標高4000m、昼と夜の温度差が20℃以上の地で、強烈な紫外線を浴び、強風に耐えながら育ちます。土の中の栄養をすべて吸い上げてしまうので、一度マカを栽培した土は何年もたたないと次の栽培ができないと言われているほど。生育環境といい、栄養価といい、マカが「アンデスの奇跡」と言われるのも不思議はありません。
敬虔なキリスト教徒の多いペルーで、こうした農産物は「神がインカに与えてくれた贈り物」と呼ばれています。
日本ではめったに見ることのできない生のマカ。ペルーでは2000年以上前から栽培されていました
ハイラム・ビンガム号の優雅な昼食より。スモークした鱒に、フェタ豆のマッシュとキヌアのタブーリをつけ合わせに。アンデスのミントオイルで香りづけした一品。
このハイラム・ビンガム号はクスコとマチュピチュを結ぶ、最も贅沢にして快適な手段。最後尾は展望車となっていて、緑豊かな田園風景やアンデス山脈をパノラマで楽しめます。
次回からは空前のブームとなっているペルー料理の最新事情をご紹介します。
撮影/たかせ藍沙 秋田大輔
イラスト/かくたりかこ
取材・原文/井原美紀
ペルー取材協力/Kentos Network Co., Ltd.
写真協力/ラティーナ〈マカ〉