こんにちは、水ソムリエ&水鑑定士の竹村和花です。緑が日に日に濃くなってゆくこの季節、イタリアの人々も夏に向けて肌を焼きはじめます。
今私は夏の帰国に合わせて大阪で開催する「水ソムリエのアクア講座」の企画をすすめています。ご興味のある方は「竹村和花 アクア講座」で検索してみて下さいね。
今日は『EUの人達がミネラルウォーターを飲む』理由について少しお話ししたいと思います。
<ヨーロッパの水文化と水思想>
ヨーロッパの人々が日常的に「ミネラル水を飲む」ことは、よく知られています。
ここ数年、日本でも「水」や「水を飲む」ことへの意識が高まって来ていますが、日本に比べヨーロッパの場合、量的に比べものにならないほど「水を飲む」習慣が身についています。
なぜでしょうか?
ヨーロッパの場合、古くから「水を飲むことはカラダ(健康)に良い」という考え方が定着しています。
日本人が「温泉はカラダに良い」と考えているのと同じくらい、当たり前の習慣(知恵)になっています。
その歴史は古く、古代エジプト紀にまでさかのぼります。
こういった考え方は、「水治療法」へと進化して現在ではSPAのメニューにも取り入れられています。
ヨーロッパの場合、温泉をお風呂として利用するよりも飲泉(温泉を飲むこと)が圧倒的なのですが、その背景にはこういった歴史も関わっています。
またヨーロッパ場合、ミネラルウォーターにはカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが大量に含まれています。
こういったミネラルたっぷりの水は、食事だけでは取りにくいカルシウムを補ったり、便秘を解消するなど排出機能を助ける働きをしています。
<日本の水文化と水思想>
これに対して、日本では江戸時代「水飲み百姓」という言葉があったほど古くから「お茶の葉っぱも尽き果てたた状態の時に仕方なく飲むのが水」というイメージがありました。
またそんな古い話ではなくても、初めてペットボトルで「お茶」が販売された時に「お金を払ってお茶なんか買うの?」という方が沢山いました。
これはペットボトルで「ミネラルウォーター」が販売された時も同じで「ガソリンよりも高い水を買うなんて」と言われたものです。
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日本では、長らく「水やお茶は、お金を払う価値がない」という感覚の方が圧倒的でした。
また文化的にも、中国文化(漢方・東洋医学)の影響から水よりも「お茶を飲む」習慣が定着していました。
そのため、誰もが日常的に「水そのものを飲む」習慣が生まれるには随分時間がかかりました。
また日本の場合、水質的な面ではミネラル成分そのものの含有量が少なく、まろやかな超軟水がほとんどです。
唯一の例外が「温泉」。これがミネラル成分を沢山含んだ温水(ミネラルウォーター)になります。
日本の温泉地の中にも泉質によっては「胃の悪い時に温泉を飲むと良くなる」とか「胃腸の調子の良くない時には温泉粥を食べると良い」といった伝統的な民間療法が残っているところが少なくありません。
つまり温泉地の人達は、伝統的な暮らしの中でミネラルを沢山含んだ水(温泉・鉱泉)は病んだカラダに何かしらの良い働きがあることを体験し、経験的に知っていったのです。
こういった温泉地の多くに、万病を癒すとする「薬師如来」が祀られ、「霊泉」といった言葉で崇められました。
日本百名泉の中にも「霊泉」や「御神水」と呼ばれるものが沢山ありますが、これもそれらの源泉や湧水(ミネラルを沢山含んだ水・鉱泉)で病んだカラダが改善された経験・体験から生まれた言葉です。
日本は水質・水量ともに、水に恵まれた国です。
水に恵まれているからこそ、「あまりにも当り前のこと」として見過ごしてきた「暮らしの中の水の価値」や「水の大切さ」について考えていきたいものです。
<5月のおすすめ銘柄-3>
SUNTORY天然水(サントリー・天然水/白州・奥大山・阿蘇)
国内シェア・トップの日本ブランドの水です。常温でも飲みやすく「水そのものを飲む」習慣を身につける時にオススメのしたい銘柄の1つです。水源地によってそれぞれ硬度が異なりますが、常温でも飲みやすく軟水ならではの丸く柔らかな味がします。
【水タイプ】
産地泉源:日本//白州・奥大山・阿蘇の3源泉より採水
発 泡 性:○無発泡タイプ / ○発泡タイプ
湧水温度:非公開
知覚ほか:無味,無色/ pH 約7
ミネラル:ナトリウム0.4~1.0mg,カルシウム0.2m~0.7g,マグネシウム0.1~0.3mg,カリウム0.2~0.6mg※メーカーのラベル表示による(per100ml)
【水ソムリエの飲み方レシピ】
日本のお料理には日本のお水がよく合います。分かりやすいのは、お米やお吸い物といったシンプルなお料理。水そのものの持つ味が素直に反映されます。また夏場に試して頂きたいのは水出し茶。最近は水出し用の茶葉も沢山登場していますので、さまざまなフレーバーを楽しむことができます。
ただ注意して頂きたいのは食中毒。「水出し茶」は通常のお茶と違って「生茶」になりますので、食中毒を予防するためにも水出し自体も冷蔵庫の中で行ってください。気温の上がるこの季節、常温では雑菌の繁殖が抑えられません。ペットボトルに直接口をつけた時は、その日の気温と時間の経過には注意して下さいね。