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https://ourage.jp/life/interview/184741/

デザイナー島田順子さんの極上なおもてなし(インタビュー/前編)

年に2回、パリ・コレクションで新作を発表し続け、今も現役バリバリで活躍中の島田順子さん。

彼女自身のたたずまい、暮らしぶり、生き方にも、共感と憧れを持つファンがいっぱい。

東京の自宅で語られたのは、カッコ良すぎる“おもてなし”の心でした。

 

撮影/萩庭桂太 取材・文/岡本麻佑

島田順子さん

Profile

しまだ・じゅんこ●1941年7月7日、千葉県館山市生まれ。杉野学園ドレスメーカー女学院デザイナー科卒業。1966年、渡仏。1968年、パリの百貨店「プランタン」の研修室に入る。1970年、デザイナー集団マフィアに参加。1975年、「キャシャレル」に入社後、チーフデザイナーとして活躍。1976年、女児出産。1981年、パリに『JUNKO SHIMADA DESIGN STUDIO』設立。パリおよび東京で初めてのコレクションを発表。1988年、2歳年下の日本人男性と結婚。2012年、フランス共和国芸術文化勲章(シュバリエ)受章。

 

小さな喜びが、すべてを変えてくれる

島田順子さんの“今”が一冊の本になった。

1981年にデビューして以来38年、パリ・コレクションに連続参加し、毎年新しいモードを発表しつづけている島田順子さん。ファッションデザイナーとしての輝かしいキャリアだけでなく、ひとりの女性として、その生き方、暮らし方、人生を楽しむ姿勢に、憧れる人は多い。

フランスではパリ市内とパリ近郊の村に家を持ち、日本に戻れば東京の皇居近くにある見晴らしの良いマンションと、故郷の館山に和風の別荘を持つ。4つの家には自分の好きなものだけを置いて、居心地の良い空間に友を招き、極上の時を過ごす。

白くなった髪を無造作に束ね、トラッドと遊び心を絶妙にブレンドしたファッションを着こなす。どんな贅沢よりも価値のあるセンスと美意識が、彼女の人生をかたちづくっている。なにもかもが自由で粋で、カッコ良い。

「好きなものに囲まれていれば、幸せでしょ? それは高価なものとかそういうのではなくて、すごく好きな花がいっぱいあったら、うれしくならない?

昨日もね、友達が来てくれるのでディナーを用意しようと近所のスーパーマーケットに行ったら、すごく美味しそうな柿があって、でもそれがすごく高かったの。高いからやめればいいのに、でも買ってしまった(笑)。だって、きれいで美味しい走りの柿があったら、うれしいじゃない。そういう小さな喜びが、もうすべてを変えてくれるの」

友を招いて楽しむホームパーティの様子は、本の中にも紹介されている。季節の花を飾り、アペロ(アペリティフ)とおしゃべりを愉しみながら、手際よく料理を仕上げていく。堅苦しさなんて微塵もない、気易くて楽しくてちょっと刺激的な、大人の夜の過ごし方だ。

「レストランに行くのは簡単でいいかもしれないけど、家のほうがくつろげるじゃない? 家に来てもらうのはうわべの友達じゃない、ちゃんとした友達だから、その人ともっと深くわかり合えるような気がするし」

料理を作るのは、島田さん自身。

「自己流です。私、料理を教わったことはありませんから。外で食べて、これ美味しかったから、どういうふうに作るんだろう?って、覚えたの。あの人はこれが好きだったな、とか、あの人はこのお酒のほうが良かったなって、そういうのを思い浮かべながら用意するだけでも楽しいし、喜んでもらえたらなおさらいいじゃないの」

パーティの後は、ゲストの食事やお酒の好みをノートに書き留めておく。とことん細やかなおもてなしだ。“あれがまた食べたい!”とリクエストされる自慢の肉料理もいくつかあるという。

「でも私自身は、肉はほとんど食べないんです。一生懸命、肉料理を覚えて作るし、みんな美味しいって言ってくれるけど、自分は食べられない。

私が好きなのは、たとえばお豆腐と湯葉。お豆腐の上にミョウガから紫蘇からオクラから、薬味とか野菜を山盛りにしていただく。そういうのが好きです。めざしの焼いたのも好き。絶対そこには大根おろしが山盛りないといけないけれど(笑)。

お魚は好きだけど、赤身よりも白身のお魚ばかりね。私自身はそういうものを食べて、でもみんなにはお肉を出して、それでみんな美味しければ、いいでしょ?」

こうでなければいけない、というルールが、彼女にはない。自分が楽しくて、ゲストが楽しければ、それが正解なのだ。

インテリアも、同じこと。アンティークのテーブルやチェストの上に、大好きな動物のアイテムが紛れ込んで馴染んでいる。時代やテイストは違っても、彼女が大好きなものばかり。どこかつながるものがあって、違和感がない。

「もともと、好きなものっていうのは、私の中にありますよね。それは小さい頃から変わらない。美意識と言うほど大げさなものじゃないと思うけど、身の回りには好きなものしか置きたくないの。好きなこと、したいことしかしませんし。結局私は身勝手なのかもしれませんね、すごく。自分勝手なの(笑)」

“身勝手”と彼女が自嘲気味にいうのは、いったいどんなことなのか。ファッション、美容、健康のあれこれについては、後編に続く!

(ゴージャスな髪型の秘密に迫った?インタビュー後編はコチラ

『パリ-東京 今日、今を生きる美しい人 島田順子』

パリを拠点に、そして東京でも、ファッション・デザイナーとして活躍し続ける島田順子さん。彼女自身がその半生を、いつもの暮らしを、今を、そしてこれからを、長時間のインタビューを通して語り尽くした。島田順子という、チャーミングでひたむきに生きるひとりの女性の魅力をさまざまな写真とともに紹介する。(2019年9月26日発売。1800円+税/集英社インターナショナル)

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