いし こんにちは。ぐうたらライターいしまるこです。
今回からは根来教授が最新医学に基づいた「視床下部を鍛える根来式脳トレ」をレクチャーします。
根来 ごきげんいかがですか? 根来秀行です。視床下部の機能を高めるには脳内環境をよくすることが大事です。そこで鍵になるのが睡眠と食事。脳に効かせる眠り方&食べ方を4回にわたって講義します。
いし 初回は眠り方レッスンということですが。
根来 はい。前回お話しした、寝ている間に脳の老廃物をお掃除してくれる「グリンパティックシステム」を、効率よく働かせる眠り方を伝授します。
いし いしまるこの脳なんてゴミだらけだと思いますよ。寝ている間に働き者の細胞がお掃除してくれて、朝起きると脳がスッキリしてるといいなあ。
根来 アルツハイマーの原因物質ともいわれる〝アミロイドβ〟も、おもに睡眠中に排出されるので、グリンパティックシステム機能がよい状態で維持できれば、認知症予防も期待できますよ。
いし ますます知りたくなりました!
根来 グリンパティックシステムが働くのは、ノンレム睡眠の最も深い眠りのとき。よく「ノンレム睡眠=深い眠り」と勘違いされるのですが、ノンレム睡眠には4つの段階があり、本当に深い眠りは多少の物音では起きない「レベル4(深度4)」。寝入りばなの1.5~3時間に訪れ、成長ホルモンの分泌もこのときピークを迎えます。
⚫️睡眠時の脳波はどうなっている
いし でも3時間だけ睡眠を確保すればいいってもんでもないんですよね?
根来 その通りです。それだけでは毛細血管が成長ホルモンを全身に運ぶ時間が担保されず、傷ついた細胞を修復することができませんし、脳を掃除する時間も足りません。その悪影響は睡眠不足が続くほど借金のように蓄積します。
いし 睡眠負債がどんどんたまっていくといろいろ悪いことが起こりそう……。
根来 このような睡眠負債は、慢性疲労を招いて生活の質を落とすだけでなく、がんなど命にかかわる病気のリスクも高めることがわかっています。
●ノンレム睡眠とレム睡眠
how to sleep
7時間睡眠を心がける。
寝不足のときは+15分昼寝
いし 睡眠中にグリンパティックシステムを効率よく稼働させる睡眠とは?
根来 理想的な睡眠時間、7時間睡眠を心掛けましょう。それより短くても長くても、心臓病の心臓病の発症率や死亡率を増やすというデータがあります。6時間睡眠が1週間続くと、集中力や免疫力の低下などさまざまな負の因子が出てきます。
いし どうしても睡眠を削らなくてはいけない場合は?
根来 それでも最低4時間半は確保し、翌日はその分早めに寝て、1週間のうちに睡眠負債を返済したいものです。
多少の睡眠不足であれば、昼食後に15分間の昼寝をして脳を休めることをすすめます。横になれなくても、目をつぶっているだけでも効果があります。眠る前に腹式呼吸やマインドフルネスを行うと、脳が休まってストレスが軽減し、寝つきがよくなりますよ。
いし やってみます!
根来 それではみなさん、今日も素敵な1日を!
(次回のテーマは「睡眠&覚醒中枢を調整する眠り方教えます!」です。お楽しみに!)
取材・文/石丸久美子 撮影/森山竜男 イラスト/浅生ハルミン