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脳細胞の陰の主役「グリア細胞」とは?/Dr.根来の体内向上プロジェクト

根来秀行

根来秀行

1967年、東京都生まれ。医師、医学博士。この連載から生まれた『ハーバード&ソルボンヌ大学 Dr.根来の特別授業 病まないための細胞呼吸レッスン』『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 「毛細血管」は増やすが勝ち!』(いずれも集英社)が好評発売中。ハーバード大学医学部客員教授(Harvard PKD Center Collaborator, Visiting Professor)、ソルボンヌ大学医学部客員教授、奈良県立医科大学医学部客員教授、信州大学特任教授、事業構想大学院大学理事・教授。専門は内科学、腎臓病学、抗加齢医学、睡眠医学など多岐にわたり、世界の最先端で臨床・研究・医学教育にあたる。

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いし アンニョンハセヨ。ぐうたらライターいしまるこです。
韓国語でご挨拶したのは理由がありまして、じゃじゃん!
ご報告大変遅れましたが、My Ageの連載から生まれた根来教授の著書
『ハーバード&パリ大学 根来教授の特別授業 「毛細血管」は増やすが勝ち!』が、台湾に続き韓国でも翻訳されましたー。

 

Dr.negoro_photo

右は韓国版。韓国では医学系の本の装丁には硬いイメージが好まれるようで、イラストはあまり使われないそう。でも、カラーリングは韓流っぽいですね。左は一方オリジナル日本版。浅生ハルミンさんのイラストのおかけで楽しい仕上がりに。ロングセラーで好評発売中!

 

 

根来 ありがとうございます、根来秀行です。
おかげさまで、毛細血管の認知度が上がってうれしいです!
ところで毛細血管は、今回のテーマ、脳にも深く関係しているんですよ。
脳の神経細胞に栄養や酸素を運んでいるのは毛細血管ですから。

 

 

いし おお、見事な流れで、新企画「脳年齢を若返らせる!視床下部編」3回目スタートですね。

 

 

根来 毛細血管によって、脳には1日に約2000L、ドラム管10本分もの血液が送られ、1日に約60kgもの酸素が脳に届けられています。

 

 

いし 脳だけですごい量ですね。

 

 

根来 はい。酸素や栄養素をたくさん消費すれば、そのぶん老廃物や活性酸素もハンパなく出るので、それらをどんどん細胞の外に排出して処理していかなくてはなりません。

 

 

いし とはいえ、細胞の外にポイッとゴミを捨てたままだと、細胞のまわりがゴミだらけになって情報伝達にも障害が起きそうですよね。

 

 

根来 そうなんです。通常、体の細胞から排出された老廃物を運搬し処理するリンパ系がその役割の中心を担うのですが、実は脳内ではリンパ系システムが見つかっていなかったんですよ。

 

 

いし つまり、脳神経細胞からばんばん排出される大量のゴミが、どこで処理されているのかわかっていなかったと?

 

 

根来 ええ、ずっと謎だったんです。それが数年前、ロチェスター大学メディカルセンターの研究チームが、グリア細胞が脳内の血管と一緒に働いて、脳内にリンパ系システムを構築していることを明らかにしました。
この働きは「グリンパティックシステム」と命名され、現在、さまざまな研究がなされています。

 

 

いし グリンパティックシステム?

 

 

根来 グリンパティックシステムを構築しているのは、脳細胞のもう一つの主役「グリア細胞(神経膠細胞)」です。

 

 

Dr.negoro_ill

3種類のグリア細胞

●アストロサイト

Dr.negoro_ill

最も多いグリア細胞。星形の突起を持っていて、脳内を走る毛細血管から栄養分を吸収しニューロンに供給したり、不要な物質が入り込まないようにして、ニューロン周囲の環境を調整しています。

 

 

●オリゴデンドロサイト

Dr.negoro_ill

 

ニューロンが必要な情報を速く伝えられるように、電気信号を送る神経繊維の軸索を覆い、余計な電気信号を遮断する絶縁性の髄鞘(ミエリン鞘)を作っています。

 

 

●ミクログリア

Dr.negoro_ill

 

傷ついたニューロンの修復を行うと考えられています。

 

 

いし でも脳細胞といえば、ニューロン(神経細胞)の印象が強いですよね。

 

 

根来 確かにニューロンは脳細胞全体の1割に過ぎないにもかかわらず、細胞同士が複雑に絡み合い、一大情報ネットワークを形成する脳機能の主役として常に脚光を浴びてきました。一方、脳細胞の9割を占めるグリア細胞は、ニューロンを固定したり、毛細血管から栄養を運んだりするなど、ニューロンを手助けする補助的な脇役にすぎないと考えられてきたんです。

 

 

いし 「人は脳の1割くらいしか使っていない」とよく言われているのは
間違いで、グリア細胞の機能が軽視されていたからなんですね。

 

 

根来 そうですね。しかし近年は、グリア細胞が脳の発達や修復の際に、ニューロンの成長を刺激したり、組織を改変したりする物質を分泌して、神経回路を再配線することが、視床下部を中心に立証されてきています。

 

 

マサチューセッツ工科大学のマウスによる実験では、視床下部周辺のグリア細胞のひとつ、アストロサイトを活性化すると過食を促進し、抑制すると食欲が抑えられることがわかりました。アストロサイトの細胞膜には、神経伝達物質を受け取る受容体が存在し、ニューロンと同じように情報伝達に積極的にかかわっている可能性が示唆されています。

 

 

いし これまでの脳科学の常識が大きく覆されつつあるわけですね。

 

 

根来 はい。グリア細胞の本格的な研究は始まったばかりで、今後、さらなる発見が出てくると思うので、注目していきたいですね。
次回は、脳のゴミ出し機能「グリンパティックシステム」を効率よく働かせる方法を伝授しますのでお楽しみに。

 

 

 

 

それではみなさん、今日も素敵な1日を!

 

 

Dr.negoro_photo

 

 

(次回のテーマは「脳のゴミ出し機能をフル稼働させる眠り方は?」です。お楽しみに!)

 

 

取材・文/石丸久美子 撮影/森山竜男 イラスト/浅生ハルミン

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