学生時代や転職の際に、うっかりと忘れてしまった保険料。実は任意加入制度で追加納付が出来るって知っていましたか? 是非この制度を利用して、満額給付を目指しましょう!
教えてくれた人
山中伸枝さん
Nobue Yamanaka
ファイナンシャルプランナー。FP相談ねっと代表、一般社団法人公的保険アドバイザー協会理事。わかりやすい説明で、個人相談のほか講演会やメディアでも活躍。『50歳を過ぎたらやってはいけないお金の話』(東洋経済新報社)『「なんとかなる」ではどうにもならない 定年後のお金の教科書』(クロスメディア・パブリッシング)など著書多数
保険料を40年間納付すれば満額受け取れる
「受け取れる年金額は納付期間に比例し、40年間毎月欠かさず保険料を納めていれば、65歳以降、国民年金は満額を受け取ることができます。反対に、納付していない期間があれば、その分減額されてしまいます」
令和2年度の国民年金(老齢基礎年金)の満額は78万1700円。もしも3年間保険料を納めていなかったとしたら、78万1700円×37年÷40年=72万3072円となり、年間5万8628円の減額になります。年6万円弱なら気にする必要はなさそうな気もしますが…。
「繰り返しますが、年金は終身受給。死ぬまで同じ金額を受け取れるのですから、この差は大きいですよ。
よくあるのは、学生時代や転職の際などに手続きを忘れてしまった“うっかり未納”。学生時の特例について追納ができるのは10年以内、単なる未納は2年以内が払込期限で、それ以降は納付する権利を喪失してしまいます。このような場合は、60歳以上65歳未満まで適用される『任意加入制度』を利用するといいでしょう。
『任意加入制度』は60歳を過ぎても、年金を支払い続ける制度です。“追納”とは異なり、昔の未納分を支払ったという記録にはなりませんが、様々な理由(猶予、未納、特例など)で年金加入歴に穴があいてしまった分を、実質上、埋めることができます。
なお、会社員などで、60歳以降も就労を続け、厚生年金に加入している場合は、『経過的加算』というのが同様に老齢基礎年金を満額に近づける制度です。
こうした制度を利用して、老齢基礎年金の満額受給を目指すことおすすめします」
『任意加入制度』は自分で住んでいる市区役所・町村役場の国民年金担当窓口、または近くの年金事務所で申請が必要です。『経過的加算』は自分での申請は不要で、自動的に計算されます。
受け取り見込み額は「ねんきん定期便」でチェック
「毎年誕生月になると、日本年金機構から『ねんきん定期便』が送られてきます。これは、将来受け取れる年金に関する情報が詰まったもの。35歳、45歳、59歳のときは封書ですが、それ以外はハガキです。
ハガキだと簡易的なものに見えるのか、一読して捨ててしまう人もいるようですが、50歳以上なら『老齢年金の種類と見込額』は信憑性のある数字です。きちんと確認し、保管しておくと安心です」
50歳未満の人は、「ねんきんネット」でシミュレーションを。より詳細な情報を知りたければ、年金事務所を訪ねたり、ねんきんダイヤルの電話相談などを利用するのも一案。
イラスト/サンダースタジオ 取材・原文/村上早苗