本格的な夏に入る前の時期は、急な暑さや湿度に体がついていかず、体調を崩したりメンタルの不調を感じたりしている人もいるのではないでしょうか。不安定な気候が原因のこともありますが、季節の変わり目におきがちな不調は、もしかしたら「季節性うつ」かもしれません。
◆季節の変わり目に起きやすい「季節性うつ」
一般的に、ストレスに対して効能のある脳内物質「セロトニン」の分泌量が減少すると、気分が落ち込みやすくなると言われています。セロトニンは日光を浴びると体内で合成されるため、日照時間の短い秋から冬の季節の変わり目には、気分が落ち込む「季節性うつ」が起きやすいとされていました。
ところが近頃では、夏の暑さでも「季節性うつ」が起こるとされています。
日照時間との関係だけに注目されがちなセロトニンですが、急激な気温上昇による食欲不振や自律神経の乱れにより、分泌量が低下することもわかっています。そのため、不安な気持ちになったり、うつ、パニック症などの精神症状を引き起こすことがあるのだとか。
◆季節性うつ対策に重要な3つの栄養素とは?
このように、季節性うつと関係が深いセロトニン。管理栄養士の渥美まゆ美さんによると「セロトニンを作るためには、ある3つの栄養素が必要不可欠」だそう。それは、以下の栄養素です。
・トリプトファン
・ビタミンB6
・炭水化物
この3つの栄養素をバランスよくとるのがベストですが、毎食バランスを考えながらごはんを作るのは大変ですよね…。そんな人におすすめなのが、バナナ。バナナにはこの3つの栄養素が豊富に含まれています。年中どこでも手に入りやすく、手軽に食べられる食材なので、家に常備しておくとよさそうですね。
◆バナナは、季節性うつ対策だけでなく夏バテ対策にもぴったり!
また、バナナにはほかの栄養素も豊富です。夏バテ対策に必要な栄養素とされる「カリウム」「ビタミンB1」「ブドウ糖」「食物繊維」「マグネシウム」などがバランスよく含まれている、スーパーフードなんです!
「生活リズムを整える」
「冷房で身体を冷やしすぎないようにする」
「入浴時は湯船につかる」
「睡眠をしっかりとる」
「適度な運動をする」
といった夏バテ対策を普段から心がけると同時に、バナナを食べるようにすると、夏バテ知らずの身体になれるかも!?
◆ダイエットの敵である「便秘」「むくみ」対策にも効果的
さらにバナナは低カロリーで1本でも満足感があり、便秘予防におすすめの食物繊維や余分な塩分の排出をして、むくみ対策になるカリウムが豊富。「便秘」「むくみ」対策に効果的であるならば、ダイエットにもぴったりの食材ですね。つい間食でつまみがちなお菓子に比べても、栄養バランス良し。普段の食事や、おやつにも取り入れていくと良さそう。
◆バナナの上手で手軽な冷凍方法
いいことづくめのバナナですが、みなさん悩みがちなのが、「傷みやすい」こと。買って少し置いていたら真っ黒になってびっくり!という経験をしたことがある人も多いのではないでしょうか。
そこでおすすめなのが、バナナの冷凍保存です。デザートなどに活用しやすい状態にして冷凍すると、より便利に使えます。渥美さんに、上手な冷凍方法を教わりました。
・つぶして冷凍する方法
1.バナナを長さ半分に切り、サランラップ®に挟んで手の平で押しつぶしたらそのままサランラップ®で包みます。
2.ジップロック®フリーザーバッグに入れ、なるべく空気を抜いてジッパーを閉めて冷凍保存します。
・カットして冷凍する方法
バナナを使いやすい大きさに切ったり、使いやすい分量に分けたものをサランラップ®で包み、ジップロック®フリーザーバッグに入れます。なるべく空気を抜いてジッパーを閉め、冷凍保存。
・使うときには
半解凍でそのまま食べたり、スムージーやお菓子づくりに使えます。ただし、解凍しすぎると色が悪くなったり水分が出るので注意。
つぶして冷凍したものはあまり硬くならないので、解凍せずにすぐ使えます。
カットして冷凍したものは、室温に数分置く程度にし、解凍しすぎないようにしましょう。
◆管理栄養士考案!お手軽バナナレシピ
こうして冷凍保存したバナナを活用した、渥美さん考案のお手軽ひんやりおやつレシピをご紹介します!
●忙しい朝にもおやつにも!「バナナのスムージー」
【材料(2~3人分)】
つぶして冷凍したバナナ…1本分
(A)豆乳(無調整)…150ml
(A)ヨーグルト(無糖)…150ml
(A)はちみつ…大さじ1
【作り方】
①(A)をよく混ぜ合わせ、はちみつを溶かしておく。
②つぶして冷凍したバナナをミキサーに入れ、①の半量を加えてなめらかになるまで攪拌する。残りの半量も加え、もう一度攪拌する。
●冷たい和風スイーツ!「バナナ冷やし汁粉」
【材料(1人分)】
ゆで小豆(加糖)…大さじ2
牛乳…50ml
切って冷凍したバナナ…1/2本分
【作り方】
器にゆで小豆、冷凍バナナをのせ牛乳をかける。
どちらも暑い季節にぴったりのレシピですね。小腹が空いたときにもサッとつくることができ、少量でもお腹が満たされて気持ちも満足しそうです。
夏は年々暑さが厳しくなっていますが、季節の変わり目も、夏本番もバナナを食べて心も身体も整えていきましょう!
「美味しい食事を楽しみながら元気でいること」をモットーに、メニュー開発、商品開発、出版、メディア出演、イベント出演、食プロデュースやさまざまな企業の健康セミナーなど、多方面で活躍中。『世界一ラクチンな栄養ごはん』(西東社)など、著書も多数。
◆資料提供・監修/渥美まゆ美
構成・文/倉澤真由美