富永喜代先生がクリニックで患者に伝授し、効果を確信した「10秒神経マッサージ」とは!?
手指の痛みや変形は「女性の老化現象」と軽視され、治療法もあまり研究されてきませんでした。
患者数は数百万人ともいわれるのに、病気としてはいまだに認知度が低いまま。
そこで立ち上がったのが富永喜代先生でした。
苦しむ女性を救うべく、自身の「富永ペインクリニック」(愛媛県松山市)に、日本初の「ヘバーデン結節外来」を開設したのです。
40代、50代以降の女性の手指のトラブルにはさまざまなものがありますが、ヘバーデン結節はその中でいちばん多い病気です。
(詳しくは、こちらのOurAgeの記事を参照)
ヘバーデン結節を含む手指の症状で、富永ペインクリニックを受診した場合、どんな治療の流れになるのでしょうか?
■初診の場合
問診 →検査→「10秒神経マッサージ」の指導 →神経ブロック注射 →薬の処方
■自宅でのセルフケアとして指導
「10秒神経マッサージ」を1日2回、朝晩に実施
平均的には、週1回の通院で、約2カ月で手指の症状が半減するのだそうです!
「10秒神経マッサージ」って何?
「手指の痛みをやわらげるのに、大きな治療効果を上げている方法です。
私が考案したオリジナルの治療法。
私はペインクリニックの麻酔科医ですが、東洋医学の鍼灸治療実績もあり、鍼灸院も運営しています。
神経や血管の走行についてはプロフェッショナルで、神経ブロック注射もできるけど、経絡やツボもわかるんです。
東洋医学のツボは効くけれど、自分で押せるツボと押しにくいツボがある。
また、説明されても部位がわかりにくいツボもある。
西洋医学でいう神経と東洋医学の経絡の交点のような場所で、しかも体の表面を通っていて、さらに自分自身で押しやすい部位を、効果的に刺激したら痛みが軽くなるはずや、と考えました。
そこなら素人でも間違いなく刺激できる。
そこを『神経ポイント』と私がネーミングしたわけです。
そして刺激する方法を『神経マッサージ』と名づけました。
特別な道具もいらず、自分一人で簡単にできるような方法なので、治療法がないと言われた症状でも、痛みが緩和する人が多いんですよ」と富永先生。
神経“マッサージ”といっても、指圧やリラックスのためのマッサージではないため、ちょっとしたコツや守らなければならないルールがあります。
しっかり効果を上げるために守りたい!
「10秒神経マッサージ」の3つのルール
❶爪を立てて刺激
指の腹ではなく、爪を立てて神経ポイントを直接刺激するのがコツ。
爪を長く伸ばしている人は、皮膚を傷つけてしまわないよう気をつけて。
❷痛気持ちいい強さで
爪で程よく圧をかけ、脳に刺激を送るのがこのマッサージの目的。
「ちょっと痛いけれど気持ちよくもある」くらいが理想的。
❸1カ所につき10秒を厳守
押す時間は短かすぎても長すぎてもダメ。
長ければかえって体を緊張させます。
1カ所につき10秒を守って。
5つの「神経ポイント」を爪で刺激する、痛み取りマッサージ
では、まず「10秒神経マッサージ」で刺激する、5つの神経ポイントを紹介しましょう。
❶指の関節の両側/親指の第1関節の両脇。親指以外の指の、それぞれの第1関節、第2関節の両脇
❷人差し指の付け根/人差し指の付け根の内側、骨のきわ(ツボの合谷とは違うので注意)
❸手首(親指側)/手の甲の親指側、手首の横ジワから、3cmひじ寄りのところ
❹手首(小指側)/手の甲の小指側、手首の骨の出っ張りから、4cmひじ寄りのところ
❺ひじ下の内側/ひじの横ジワから手首までを3等分したうちの、いちばんひじ寄りのところ
次に、「10秒神経マッサージ」の手順です。
この手順は、手指の痛みやしびれ、腫れ、むくみなどがある人は、全員共通と考えてOK。
どれも省かず、ひと通り行います。
目安は1日2回です。
最初は難しいと思っても、一度コツをつかめば、空いた時間でできます。
1カ所につき10秒だから、どんなに長くかかっても5分以内。
さっそく始めましょう!
どうでしょう?
思った以上に簡単ですよね。
しかも手首まわりなどにビンビン響く感覚は、なかなか気持ちがいいですよね?
痛みや腫れで困っている人はもちろん、ちょっとした違和感があって将来が心配な人にもおすすめ。
まずは1週間、気づいたときにやってみましょう。
思わぬ効果に驚くかもしれません!
撮影/天日恵美子(富永先生) イラスト/カツヤマケイコ 取材・文/蓮見則子
【教えていただいた方】
富永ペインクリニック院長。医学博士。日本麻酔科学会専門医。 1993年より聖隷浜松病院などで麻酔科医として勤務、2万人を超える(通常1日2名のところ、1日12名)臨床麻酔実績を持つ。2008年愛媛県松山市に富永ペインクリニックを開業。痛みの専門家として全国でも珍しい性交痛外来を開設し、1万人超のセックスの悩みをオンライン診断している。性に特化したYouTubeチャンネル『女医 富永喜代の人には言えない痛み相談室』は、チャンネル登録者数28万人、総再生数は6600万回超。SNS総フォロワー数44万人。真面目に性を語る日本最大級のオンラインコミュニティー『富永喜代の秘密の部屋』(会員数1.6万人)主宰。『女医が教える性のトリセツ』(KADOKAWA)など著書累計98万部。
■富永喜代先生の OurAge 更年期連載はこちら!