特に理由もなく、気分が落ち込んだり、怒りっぽくなったりすることはありませんか? 更年期世代の心の不調は、女性ホルモンの減少やストレスによる脳の栄養不足が原因かも。メンタルを応援する栄養を食事でしっかりとって、毎日を元気&ハッピーに過ごしましょう!
ひめのともみクリニック院長。豊富な心療内科の経験をもとに、オーソモレキュラー医学に基づいた栄養療法を指導。『心療内科に行く前に食事を変えなさい』(青春出版社)、『ストレス脱出レシピ』(主婦の友社)ほか著書多数
女性ホルモンの減少によって幸せホルモンが不足する?
メンタルの不調は、感情や気分をコントロールする働きを持つ「脳内ホルモン」の不足によって起こります。脳内ホルモンは、いろいろありますが、更年期に多いイライラ・クヨクヨは、幸福感に関与するセロトニン不足が考えられます。
なぜなら、セロトニンは女性ホルモンの分泌と連動しており、女性ホルモンの減少に伴い、セロトニンの分泌も少なくなってしまうからです。また、ストレスによっても消費されるため、仕事や家事で忙しいという人は、特に不足しがちです。
そこで、重要になるのが食事。幸せホルモンを脳内で合成するのに必要な材料である、タンパク質をしっかりとることが大切です。
脳に必要な栄養を賢く補充!
忙しいときやタンパク質食材が家にないというときに、味噌汁やヨーグルトにさっとちょい足ししたり、おやつでちょこちょことタンパク質補給をするのもおすすめです。
消化吸収のよい乳清タンパク質を約90%含有。ほぼ無味無臭なので、飲み物や料理に混ぜて使いやすい。小さじ2杯でタンパク質5gが摂取できます。
タンパク生活(180g)¥2,700/森永乳業
大豆のタンパク質とイソフラボンを手軽に摂取。動物性原料、人工甘味料、香料など不使用。ブラックセサミ1本当たりタンパク質10.6g。
ソイコンセプト ボタニカルプロテインバー¥300/ウェルネスプラス
タンパク質をしっかり摂取。血糖値の乱高下にも要注意
タンパク質源の中でも、特にしっかりとりたいのは肉、魚、卵といった動物性タンパク質。大豆などの植物性タンパク質よりも吸収されやすく、体内で効率よく利用されます。
また、動物性タンパク質に多く含まれるアミノ酸「メチオニン」は、体内でタンパク質を合成するとき、一番最初に必要な必須アミノ酸です。これがないと受容体も合成できず、脳内ホルモンが働きません。
一方、植物性タンパク質を含む食品の代表格、大豆は脂質が少なく食物繊維も含む点が魅力。動物性2:植物性1を目安に両方摂取して。
さらにタンパク質から脳内ホルモンを合成する際に必要な鉄や亜鉛、マグネシウムなどのミネラルや、ビタミンB群も重要です。また、ビタミンCやクエン酸は、タンパク質の消化を促し、鉄の吸収を助けます。
なお、糖質の過剰摂取によって起きる血糖値の乱高下は脳を疲労させ、メンタルを不安定にするので、糖質は控えめにしましょう。
幸せホルモンを出す!
〜メンタル応援3つのカギ〜
1. タンパク質をしっかり。朝食での摂取を特に意識
1日の推奨摂取量は体重1㎏あたり1g(体重50㎏の人は50g)。最も効率よく利用される朝食は体重1㎏あたり0.4gを目標に。
2. ビタミンとミネラルで代謝・吸収をサポート
おもなビタミン・ミネラルはタンパク質食材に含まれていますが、ビタミンCは含まれていないので野菜などから摂取を。
3. 糖質控えめと食物繊維で血糖値の乱高下を抑える
糖質を多く含む主食(ご飯、パン、麺類)の量は控えめに。また、腸での糖の吸収を緩やかにする食物繊維を積極的に。
撮影/神林 環 監修/姫野友美 構成・原文/瀬戸由美子