自分の気分や感情を手放す練習をしてみましょう。ここでは良い悪いの判断をしないのが原則。よい気分もネガティブな感情も区別なく、消えるにまかせて手放すことが目標です。自分に合うワークだけでも続けてみましょう。
教えていただいたのは
伊藤絵美さん
Emi Ito
1967年生まれ。公認心理師、臨床心理士、精神保健福祉士。カウンセリングの専門機関「洗足ストレスコーピング・サポートオフィス」所長。クライアントへのカウンセリングのほか、企業研修やセミナー、ワークショップを積極的に開催。『セルフケアの道具箱 ストレスと上手につきあう100のワーク』(晶文社)など著書も多数。
「思考」を重要視しすぎる人は、少し距離を置くことから
「マインドフルネス」は、どんな感情や気分も良い悪いの評価や判断をせず、いいことも悪いことも「ふ〜ん」と受け止める技術です。
ただ、思考(あれこれ主観を入れて考えること)を重視するあまり、いつも自分の思考に支配されている人、手放すことがなかなかできない人もいます。同じ思考がぐるぐるしてしまうことだってありますね。
「どんな思考や感情も永遠に続くことはありません。いつか消えてなくなるものです。あまり自分の思考や感情に執着せず、消えるにまかせて手放していくことが、自分を楽にする方法だと考えましょう」(伊藤絵美さん)
マインドフルネスのワーク(練習)は、「ちゃんとできているかわからない」と感じたり、ワークそのものに疑問を感じることもあるでしょう。
でも、そこにとらわれて考え込んでしまうより、どれでもいいので気軽に練習してみることから始めましょう。
ここで紹介したのは、行動を伴わない、頭を使うマインドフルネスなので、ある程度、集中力も必要です。なかなか集中できなくても大丈夫。「気がそれた」と気がつく→ワークに意識を戻す。
これを繰り返しているうちに、だんだんうまくいくようになり、つらい気持ちをうまく手放すコツがつかめるはずです。
今回は「雲」のワークをご紹介します。
【雲のワーク】
ゆったり流れていく雲に、頭に浮かんだことを乗せる練習です。今湧いてきたことを、言葉でも静止画像でも動画でも、頭の中から雲に移してそのまま置いてみます。雲はいずれ遠くへ行ってしまうので、置いたものは消えてなくなりますね。
とても単純ですが、浮かんだものをポンとうまく雲に乗せられるかどうかがカギ。思いがたくさん湧く人は、できるだけ大きな雲をイメージしましょう。
イラスト/雨月 衣 指導・監修/伊藤絵美(洗足ストレスコーピング・サポートオフィス) 構成・原文/蓮見則子