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黒木瞳さんが思う、言葉と香りの力とは?(インタビュー/前編)

まさしくハマり役。〈魔女〉と呼ばれる白髪の女性を、黒木瞳さんが演じている。

相変わらずの美しさは年齢を超越して、白髪のウィッグを付けているというのに衰えも老いも諦めも寄せ付けない。まさしく魔女の佇まいだ。

若い女性へのエールとして発想されたという映画『魔女の香水』は、黒木瞳さんの持つ魔力で、今を生きるすべての人たちへのパワーポイントになった。

 

撮影/富田一也 ヘア&メイク/在間亜希子(MARVEE) スタイリスト/大迫靖秀 取材・文/岡本麻佑

黒木瞳 ポートレート 上半身 OurAge カメラ富田一也

黒木瞳さん
Profile

くろき・ひとみ●福岡県生まれ。1981年に宝塚歌劇団入団。入団2年目で月組娘役トップとなる。映画『化身』(1986年)で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。『失楽園』(1997年)で第21回日本アカデミー賞最優秀主演女優賞受賞。『破線のマリス』(2000年)で日本映画評論家大賞女優賞受賞。『仄暗い水の底から』(2002年)、『東京タワー』(2005年)、『終わった人』(2018年)など数多くの映画作品に出演。近年は映画監督として4 作品を手がけ、舞台演出などエンターテインメントの世界で幅広く活躍中。

 

強い女なんて、いないのよ

 

「若い女性たちが明るく輝いて生きていく、そのためのヒントが見つかるような映画を作りたいと伺って、この作品への出演を決めました。『香り』を中心に物語が進んでいくという発想が新鮮だなと、ワクワクしましたね」

 

本作には、製作の段階から関わっているという黒木さん。2020年、NHKの特集ドラマ『ファーストラヴ』で監督&脚本の宮武由依さんと一緒に仕事をして、その手腕に舌を巻いたという。

 

「作品への情熱はすごいのに撮影は淡々としていて、それでいて出来上がった作品は繊細で斬新で大胆。素晴らしい監督だなと思いました」

 

宮武さんは宮武さんで、黒木さんの圧倒的なインパクトを忘れられず、今回、物語の軸となる白髪の女性・白石弥生を、黒木さんが演じる前提で書きあげた。

 

弥生はミステリアスでドラマチック。人間洞察に優れ、人生の酸いも甘いも知り尽くし、ベタベタの優しさではなく、相手の個性を尊重しながらそっと自立に力を貸す初老の女性。以前、宮武さんが取材したことのある、実在の女性がモデルになっているという。

かつて、渋谷・百軒店(ひゃっけんだな)の一隅にあった小さな香水店。その店のオーナーである女性は、実際に顧客たちのさまざまな相談にのっていたそう。

黒木瞳 全身写真 OurAge カメラ富田一也

セットアップ/サン・フレール(PUROTATTO) ピアス/ヴァンドーム青山本店(ヴァンドーム青山) ネックレス/ヴァンドームヤマダ(ケンゴ クマ プラス マユ) 靴/スタイリスト私物

 

「ですからこの作品には『なるほど!』と思う台詞がたくさん出てくるんです。絵空事じゃなくて、リアルなの。

大人である弥生が若林恵麻という若い女性に力を貸す。そのために香水だけでなく言葉も贈るんですけど、そういうときの言葉って、相手の背中を押すだけでなく、自分自身に言い聞かせているのではないかと私は受け止めています。

いくつになっても人は挑戦を止めてしまうわけではないですよね。大人だって迷ったり立ち止まったりしながら、出会った若い女性に向かって自分の思いを口に出すことで、自分もまた一歩、先に進む勇気が湧いてくるのではないかしら」

 

 

言葉と香りが幾重にも重なって、生きていくための力になる。

黒木さん自身、20代の頃から、香水と共に生きてきた。宝塚時代はサンローランの『リヴ ゴーシュ』を、その後はマダム・ロシャスの『ビザーンス』を相棒に、女優という仕事に打ち込み、プライベートを楽しんできたのだ。

 

「香水は、肌につけるものですから、すごくセクシーな存在ですよね。ランジェリーをまとうように香水をまとうわけですから。

でも残念なことに私の愛するこのふたつの香水、どちらも廃番になってしまったんです。今、ロシャスの最後の瓶が残り少なくなってしまったので、そろそろ次の香りを見つけないと。

これからは、この映画にあるように何種類かの香水を、その日その日で選んでいくのも楽しいかなと思っています。自分の可能性を引き出したり、愛する人のために生きるとか、無限の力を信じるとか、伝説を作るとか(笑)。

気分次第で選んでいくのも、楽しみ方のひとつですよね」

黒木瞳 OurAge カメラ富田一也

本作の完成披露記者会見には、製作統括の菅原智美さん、監督&脚本の宮武由依さん、キャストの黒木瞳さん、桜井日奈子さんと、4人の女性がずらり演壇に並んだ。

 

「女性の活躍の場が増えてきたのは事実ですし、撮影現場でも、技術スタッフも含めて女性スタッフが多くなってきました。もちろん、男性と対等に仕事ができていると思います。

でもね、この作品は『女性が作る女性のための映画』ではなく、女性はこうしてひとつひとつ、階段を昇って社会の中で生きているということを、そのたくましさと儚さみたいなものを描いている。

まだまだ、です。まだまだ(笑)。その現実を男の方にも知って欲しい。強い女なんて、いないと思うんです。みんなどこか何かが欠けている。だからこそ香水や言葉の力を借りて、自分で自分を鼓舞しているんですよ。男性にも、ぜひ見て欲しい作品です」

 

(黒木さんが脳と体のためにしていることについてのインタビュー後編はコチラ

 

『魔女の香水』

黒木瞳 映画『魔女の香水』ポスタービジュアル

〈魔女〉と呼ばれるひとりの女性が、自ら作り出す香水の香りによって、夢に挫折した若い女性を成功へと導いていく物語。派遣社員として働く若林恵麻(桜井日奈子)は正義感の強さから職を失い、自暴自棄に。夜の街のスカウトマンの案内で〈魔女さん〉こと白石弥生(黒木瞳)の店を訪れ、香水に秘められた力を教えられる。そこから恵麻の人生は大きく変わっていくが……。

黒木瞳 映画『魔女の香水』スチール写真 メイン1

2023年6月16日(金)よりTOHOシネマズ 日比谷 ほか全国ロードショー

配給:アークエンタテインメント

監督・脚本:宮武由依

出演:黒木 瞳 桜井日奈子/平岡祐太 水沢エレナ 小出恵介 落合モトキ 川崎鷹也 梅宮万紗子/宮尾俊太郎 小西真奈美

©2023 映画「魔女の香水」製作委員会

公式サイト:https://majo-kousui.jp/

 

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