定年後にしたいことを聞かれ「筋肉をつけたい」と答えたワケは
38年間働いた会社を定年する1週間前に、尊敬する方たちの前で発した言葉により、トホホな状況に陥った前回をふり返りつつ、発言の真意といいますか、言い訳させていただけたらと思います。
仕事でたいへんお世話になった、社外の知的でいきいきと仕事をされている女性の方たち5~6人に、会議室で最後のご挨拶をする機会があった時のことです。
「定年後に時間ができたら一番したいことは何ですか?」と聞かれた私は、
「筋肉をつけたいんです」と答え、一瞬でその場を凍り付かせました…。
「筋肉をつける」というのは、多くの方が納得する「正解」の回答ではなかった模様…。「不正解」あるいは「場違い」といいますか。
よく考えると、それも無理はありません。このヒョロヒョロした、肌がかっさかさで目の下にクマのある、いかにも血流の悪そうな私が筋肉つけるって、言うに事欠いてどういうこと?と思われたことでしょう。
また、定年後の目標として「筋肉をつける」という表現も軽すぎたかもしれません…。
私にとって「筋肉をつける」というのは、はやりのボディービルのコンテストに出るといったたぐいではもちろんありません。翻訳すると
「元気で気分よく過ごせる体と(できたら)見た目もキープしたい」
といったような意味合いでした。
いや、言い直したとて目標としては軽かったのかもしれません。でも私には今がんばらずにいつするの!? という重要なテーマなのでした。
といいますのも、50代途中まで、私は自分のちょっとした不調や見た目の衰えは、いつでも回復できるとタカをくくっていたのです。
今は仕事が忙しいからできないけれど、時間ができたら対処するつもり。
「私、まだ本気出していないだけ」
ところが、そうでもなさそうということに気づきはじめました。
早く運動習慣を身につけ筋肉をつけたほうがよい、と思いはじめた4つのきっかけ
1.人間ドックで医師に「定年まで待っていてはいけない」と諭される
定年の3年前の人間ドックの結果説明でのことです。
ちなみに日本人は一般的に「40代で健康診断の結果に要注意マークがつくようになり、50代で何かの病気の予備軍になり、60代で病名がつく」人が多いということを取材で聞いたことがあります。
要注意マークがついた検査結果を前に医師に「睡眠は十分とっていますか、規則正しく食事をしていますか、定期的に運動をしていますか」などの質問を受けた私は、いけしゃあしゃあとこう答えました。
「今は忙しくて睡眠時間も短いし、遅く帰って夜中に夕食を作って食べることもあるけれど、あと3年で定年なので、その後はちゃんとします」。
私より少しだけ年上と思われる男性医師は、穏やかにこう諭しました。
「その前に体が耐え切れなくなってどこかが病気になってしまったら、定年後も楽しめませんよ。今すぐに規則正しい生活や運動をしたほうがいいです」
!!!
ああ、その通りだと思いましたね。人の話を素直に受け入れられるようになったのも年の功です。
いつでも回復できるなんて思わないほうが良いんだ。
2.私が「冷え性で寒がり」なのは、筋肉が少なくて熱を生み出せないから!?
20代後半から冷え性で寒がりで、血流も悪いし、東洋医学的な不調は山積み。そんな中、体の熱を生み出すのは筋肉であること、だからとくに腿やふくらはぎなど大きな筋肉を鍛えて増やしたほうがよいということを取材等で知りました。この長年のつらさは、筋肉をつければ改善されるかもしれないのか!
そして、血流がよくなれば、見た目の衰えも回復…いや回復が無理でも、せめてここらで極力止めておきたい~。
早く筋肉つけなきゃ!
3.根来秀行先生が繰り返し語る「普通の生活習慣の重要性」
サイトOurAgeとムックMyAgeで連載をしてくださっている根来秀行先生(ハーバード大&ソルボンヌ大医学部客員教授)は、世界的にも最先端の医学研究をされています。
しかしながら先生は「睡眠をしっかりとる、規則正しい生活をする、適度な運動をする」という昔から言われてきた当たり前と思われる(だけどなかなかできない)生活習慣こそが、健康な体を作るのになにより重要と繰り返し述べられています。私もコロナ禍の日常で、ますますその重要性を理解し実感するようになっていきました。
4.小説家の村上春樹さんが走る意味
定年の1か月ほど前にとった有給休暇中に、村上春樹さんの「職業としての小説家」(単行本は2015年刊。私が買って「積んどく」したままだったのは2016年刊の新潮文庫版。)を読みました。村上春樹さんが若い頃から毎日走られていることは知られていますよね。以前は、それでは健康的過ぎて小説なんて書けないだろうといわれたこともあったそうですが、今や有酸素運動が海馬のニューロンを増加させることなども知られるようになり、やっとここ10年で走ることの意義が理解されることも増えてきたとか。村上春樹さんはご自身で、走ることは体力だけでなく、創造力を強固で安定したものにすることにもつながったのではないか、と書いておられました。
たまたまこの本を読む1年前、私は、コロナ禍でリモートワークがはじまった2日目に突然体が動いて走り出しました(その日の状況はこちら)。1回たった2~3km、週3回程度ですが走ることが習慣になりました。村上春樹さんのように30年以上、ほぼ毎日1時間走ったわけでもないし、「創造力」なんておこがましくて口にできませんが、走った後の前向きな心持ちを実感してきましたので、至極納得した次第です。
さあ、ついに本気を出すときが来た!
そんなこんなで、私は定年の数年前からなるべく規則正しい生活を心がけるようになりました。しかし、いかんせん仕事量が急に減るわけでもなく、なかなか思い通りにいかない。
そしてついに目の前にやってきた定年。仕事内容を調整し週に3日の勤務に。ここからは余裕ができるはず。
いよいよ本気を出す時が来たぞ~。
ということで、
「元気で気分よく過ごせる体と(できたら)見た目も(これ以上衰えないよう)キープしたい」
という希望を込めて
「筋肉をつけたい」と言ってしまったのでした。
短縮しすぎて伝わりませんね、すみませんでした。
とにかく週3ワークで働くつもりの数年間は、同時に「体のためによさそうなことを積極的にしていこう」と決めました。(決めないと、そのままズルズルいってしまいそうなのもこわかったですし…。)
【体のためにはじめたこと】
(定年前からはじめていたことも含みます。過去に書いた内容には、リンクを貼りました)
<努力目標>
●睡眠時間はなるべく7時間キープ
●なるべく24時半までにベッドに入る。
●朝ごはんで栄養をしっかりとる。
●1日1回は魚を食べる
<日々のルーティーン>
●朝の筋膜リリース、ストレッチ、軽いスロー筋トレ
●朝から出かけるまでアンクルウエイト各2kgをつける
●朝晩、舌回しと「あいうべ」体操
●朝晩、頭皮マッサージ
<プロのケアを受ける>
●顔たるみケアを目的にヘッドスパに通う
●毛量ケアでヘアクリニックに通う
●筋膜調整サロンに通う
食事に関しては、ベジファーストとかカルシウムや食物繊維を意識してとるなど、ほかにもいろいろトライしていますが、書ききれないので省略します。
最後の<プロのケア>に関しては、時間だけでなく費用も結構かかるので、今までやろうと思ったことがありませんでした。でも、今回考えを変えました。
今までは、「会社員としてのお給料はあるけれど、時間がなかった」。今から数年間は「少ないながらも自分の稼ぎがあって、時間もある」期間。
だったら、最後のチャンスだと思っていろいろチャレンジしてみよう、と。
コロナがもう少し収まったら、パーソナルトレーニングをはじめたい、と思っています。
では失礼して今回も「定年女子あるある(かもしれない)川柳」を。
時間がない いつもの言い訳 もうできない