エリザベス女王が迎賓館に植樹されたイングリッシュオークの木
先日、迎賓館赤坂離宮の見学に行ってきました。予約なしでも本館とお庭は入れます。友人が和風別館のガイドツアーを予約してくれていて、私たちは和風別館や周囲のお庭を含めたガイド付き見学をすることができました。
建物や室内も、もちろん素晴らしかったのですが、私がなにより心動かされたのは、お庭で見たエリザベス女王のイングリッシュオークの木です。
手前左右の松の木の枝がかぶってわかりにくいのですが、中央のまっすぐ立つ木、おわかりになりますでしょうか。
1975年、エリザベス女王来日の際に記念植樹されたイングリッシュオークです。女王の来日前に英国王室の敷地に育つオークの苗木を数本空輸し、女王は迎賓館と英国大使館にそれぞれ1本ずつ植樹(ガイドの方の表現によると「お手植え」)されたそうです。
すでに48年、半世紀近くたっていますね。数年前に害虫がついて弱ったけれど、お庭を管理する方たちの懸命のケアで生き延びたそう(ちなみに英国大使館のオークは、今は切り株だけになっているとのことです)。やはり、木を長く守り育てるのは(環境の違う場所で、しかも半世紀の時を経て気候変動もありますし)、相当な努力が必要なのでしょうね。
また、この迎賓館のオークからとれたどんぐりで次世代の苗も育てられているのだそうですよ。
ガーデニング好きの私としては、この「植物の命をつないでいく」使命のようなものに心打たれたのでした。
図らずも「挿し木」で命をつないでいく我が家のテラス
エリザベス女王のイングリッシュオークのお話に続けて語るのもおこがましいのですが、そういえば、私も「図らずも」植物の命をつなぎにつないでおります。
私の場合は、「図らずも挿し木」とでも言いましょうか。
ベランダガーデニングで、剪定したり、うっかり折ってしまった枝を(かわいくて捨てるに忍びなく)キッチンの出窓に飾ります。
冬で葉が落ちて枝だけになっている場合は、何の木かわからなくなってしまいそうで、念のために品種も貼っておきます。
ずぼらな私にぴったりの花瓶は透明のガラス小ビン。キッチンに立つたびに水の減りやにごりが見えるので、ケアをし忘れることがありません。昔のメイプルシロップの小容器やらミニビーカーのようなものが使いやすい。出番が多いのは、高さ6~11cm程度のミニサイズです。
小ビンの水に活けていると、植物によってはいつの間にか根が生えてきます。
こちらはブラックベリー。
ビンの中で根がぐんぐん伸びてくると、その生命力に感動。これまた日々の変化が楽しみで、捨てられなくなる。
しっかり根が伸びると、土に植えてあげたくなります。
これが我が家の「図らずも挿し木」。
根が伸びたブルーベリーの枝を2本挿し木。
どんどん育って…
夏には実がなりました。
本来の挿し木は、無菌の土に植えたり、発根促進材を使ったり、途中で植え替えたりと細やかにケアをするものだと思います。一方私のは、大きなコンテナの隙間や植木鉢の土に割りばしで小さな穴を掘って、いきなり差し込むだけ。もう十分根が生えているので、2~3週間ほど水切れに気を付けさえすれば、簡単に根付きます。
こちらはアイビー。根が出てきたので…
こちらのセントーレア・ギムノカルパは、イタリア原産のキク科の常緑低木で、1年中、銀葉が美しい。
ビンの中の写真は撮り忘れましたが…(左)根は十分に伸びました。(右)葉から水分が蒸散し過ぎないように地上部分は半分程度にカットして土に植えました。
ブラックベリーやアイビーのほか、写真にはありませんがローズマリーも小ビンに活けておくとすぐに根が生えてきて、簡単に挿し木できます。この3種は、テラスの大きめのコンテナの隙間などあちこちに挿し木してしまい、植える場所がもうない。
ちなみに、こちらはその昔ブラックベリーのために用意した長方形コンテナ。隙間に、数年前アイビーを1本挿し木したら、いまや伸び放題…。ブラックベリーと陣取り合戦中です。
根が出てきた植物を植える隙間がなくなってきて、単独の植木鉢に植えては鉢が増えていってしまう状況。夏など元気のいいブラックベリーがあちこちでツルを伸ばして生い茂り、テラスがジャングル状態になることも。
だったら人に譲ればいいではないかとお思いかもしれませんが、挿し木は要注意。種苗法に守られていて品種によっては個人で増やした木の譲渡が禁止されていたりするので、調べないといけません(たぶん我が家のアイビー、ブラックベリー、ローズマリーは昔からのありふれた品種なので大丈夫でしょうが)。まあ、それよりも、まわりには「植物をすぐに枯らす」という人が多く、あげられる人がいない…。
ということで、今の実態を申し上げますと…困って剪定すると、
切った枝を捨てられずビンに活ける⇒根が生えると愛おしくなる⇒土に植えて、また増える⇒剪定する、の無限ループや~!
完全な「図らずも挿し木」なんです。とほほ。
ただ、このように挿し木で増やしておくと、何らかの事情で一つの鉢が枯れても、ほかの鉢が生き残って命をつないでいくことができることは確かです。胸の奥底にある安心材料となっているかもしれません。
ということで、エリザベス女王のイングリッシュオークの命をつなぐ崇高な使命とは別に、我が家のテラスも、同じ植物の命を10年20年単位でつないでいっているのでした。
では、ここで失礼して「定年女子あるある(かもしれない)川柳」を。
枝愛でて 根までも愛でて 家ジャングル
レースフラワーは、何の世話をしなくても、こぼれ種から毎春自然に芽が出て花を咲かせます。これも命をつなぐ自然のループですね。
◆【定年女子のDIY】植木鉢を水性ペンキで好みの色に塗り替えてみた