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なぜ着物だと、洋服的“差し色コーデ”がチャラいのか?

片野ゆか

片野ゆか

1966年、東京生まれ。広告営業職を経てノンフィクション作家に。
得意分野は、犬と人の生活全般、アジアの食文化、美容・健康など。2005年、『愛犬王 平岩半吉伝』で第12回小学館ノンフィクション大賞受賞。

 

とかく約束事が多い、着物の世界。着物超初心者のノンフィクション作家・片野ゆかさんが、その“謎解き”に挑戦!今回は洋服とは違う、着物ならではの独特な「コーデテク」を発見!?

 

初めて自分で選んだ着物は、アイボリーの地に黒の縦縞、両肩から袖にかけて巨大な朱色のアネモネが描かれた、ポリエステル製の洗える着物だった。自分には、いわゆるお上品な着物が似合わないと判明し、インパクト重視で方々をチェックした末に出会った一枚だ。

 

手持ちの黒の半幅帯があったので、ひとまずそれを締めることにした。その格好で、着付けの師匠である舞さんの店に遊びに行ったら「キレイに着られてる。自信持っていいわよ」といわれてガッツポーズしたのもつかのま、

 

「でも、ちょっとチャラいのよね」といきなりダメ出しされてしまった。

 

訊けば、主な原因はふたつあった。
ひとつは、ポリエステルの着物に、ポリエステルの帯を合わせているところ。「化学繊維を否定するわけではないけれど、着物がポリのときは絹の帯を合わせたほうが素材感としてバランスがとれる」という。
そして、もうひとつが意外すぎた。

 

「帯の色が黒だから」

 

舞さんによると、その発想は洋服のコーディネートだという。小物を決めるとき、メインの服に使われている色から一色を選ぶという方法は、おそらく世の中の多くの人がやっている基本テクだ。

 

しかし、着物のおしゃれレベルを上げるためには、全く違う色の帯を合わせるセンスが必要だという。
「これなんか、いいと思う」
舞さんが、店の棚から選びだした帯をみたとき、正直にいって違和感しかなかった。小豆色ともココア色とも表現しにくい、なんとも不思議な色合いなのだ。

 

「着物に合わせたら、わかるから」
鏡のなかの着物姿に驚いた。巨大なアネモネのインパクトはそのままに、江戸の粋な雰囲気が押し出され、チャラさはすっかり鳴りを潜めていたのだ。

 

「なにこれ! カッコイイー!!」
「でしょ。博多織の帯は、初心者にも締めやすいわよ」

 

博多織というのは、福岡県の博多エリアで伝統的につくられている絹織物のことで、リバーシブルで使える品も多い。カジュアルなお値段ながら、品質の高さや扱いやすさから、着物上級者にも一目置かれる存在らしい。

 

さらに後で調べてわかったのは、小豆色とココア色の中間みたいなこの色は、江戸時代に「桜鼠」や「梅鼠」と呼ばれた当時の流行色のひとつらしい。いわゆる和の色というやつだ。

 

私のようなインパクト優先の着物に目を奪われがちな女は、押さえておくべきアイテムのひとつという気がした。

 

 

【アフリカ着物に呼ばれる】

 

色柄物の着物に、凝った色柄の帯を組み合わせるスタイルは、着物ワールド独特のもの。洋服のセンスとは別次元だということはわかったが、何をお手本にしたらいいのだろう?
そんなとき「来週、着物のイベントがあるよ」と友人が教えてくれた。

 

URLを開くと、アフリカン着物のほかに、オリエンタルな素材を使った和装小物やアンティーク着物の展示販売もあるという。今どきの着物には、こんな世界があるのか。アジア、アフリカ文化は好みなので、何かの参考になるかもしれないと出かけてみることにした。

 

会場は、代々木上原駅から徒歩数分の古民家だった。玄関の引き戸をガラガラと開けると、そこは独特な熱気に包まれていた。
集まっていたのは、20代から30代前半とおぼしき女子たちで、戦利品なのか私物なのかわからないが、各自のアイテムを見せ合いながら〝カワイイ合戦〟に興じていた。

 

いったい誰が売り手で、誰が客なのか、さっぱり見分けがつかない。会場では8割以上が和装で、こんなに多くの着物女子を目にするのは初めてだった。サークルの部室に紛れ込んでしまったようでもあり、かなりのアウェー感だ。ちょっとモジモジしたくなるが、ここは図太いオバさんになるしかないと、まずはアフリカン着物のコーナーに突き進んだ。

 

ハンガーラックにズラリと並べられた着物は、緑や黄色、オレンジ、紫など、灼熱の太陽の下で映えるアフリカンアートの世界そのままだ。ラックのまわりには二重、三重に輪ができている。押し合いへし合いしながら、複数の女子が試着をくりかえしていて近づくこともできない。

 

ふと見るとアンティーク着物コーナーがあったので、そちらを攻めてみることにした。
「遠慮なく、広げてみてくださいねー」

 

ひとりの女性が声をかけてきたので、いくつか手に取ってみたがどれもサイズが小さい。ようやく長めの丈のものを探しあてて、ためしに羽織ってみた。派手めの梅干しを連想させる赤色(これもおそらく江戸時代の色なのだろう)と薄いグレーの巨大な稲妻のような柄で、シャリシャリとした絞りのような生地が心地良い。訊くと、麻だという。毎年の猛暑を思うと、最強の素材ではないか。愛犬連れで夕涼みなど、ホノボノとした妄想が広がる。

 

 

【柄オン柄に脳がパニック】

 

「こういう帯って、一本あると変化がついて便利ですよ」とさっきの女性がふたたび声をかけてきた。手にしているのは、アフリカの布やインドネシアのバティックでつくったという帯だった。

 

鏡越しに見ると、味わいがあってカワイイ。しかし、巨大な稲妻柄の着物と重ねていたら、わからなくなってきた。この組み合わせは、本当におしゃれなのか、自分の好みなのか、それとも好みではないのか……?

 

ふとまわりと見ると、着物女子たちはもれなく激しい柄オン柄のコーディネートでキメていて、なんだか目がチカチカしてきた。

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「ごめんね、今は決められないわ。なんか柄が激しすぎて、脳がパニック起こしてるみたい」

 

ともかく今はクールダウンするしかない。稲妻柄の着物の支払いだけをすませて外に出た。

帰路、あれは着物と帯だけのせいではないと気づいた。ポイントはおそらく半衿だ。半衿というのは、着物の下に着る襦袢につける衿のことで基本カラーは白といわれるが、それを変えると印象がガラリと変わることから、和装おしゃれのキモと凝る人も少なくない。

 

会場にいた女子たちは、着物も帯もハッキリした柄物で、さらに半衿も激しく柄物だった。なかには左右の衿が違う色柄というパターンもあった。つまり柄オン柄ではなく、柄オン柄オン柄。あるいは、それ以上なのだ。

 

おしゃれなんて基本的に本人がよければいいのだけれど、どうやら中高年の脳には情報過多だったようだ。

 

柄オン柄には、抜け感が必須! そんなことを考えたのだった。

(つづく)

 

イラスト/田尻真弓

 

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