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涼しい美術館で世界のアート巡り

吉田さらさ

吉田さらさ

寺と神社の旅研究家。

女性誌の編集者を経て、寺社専門の文筆業を始める。各種講座の講師、寺社旅の案内人なども務めている。著書に「京都仏像を巡る旅」、「お江戸寺町散歩」(いずれも集英社be文庫)、「奈良、寺あそび 仏像ばなし」(岳陽舎)、「近江若狭の仏像」(JTBパブリッシング)など。

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こんにちは。寺社部長の吉田さらさです。

 

暑い日は冷房の効いた美術館で展覧会をじっくり見たあと併設のレストランでランチをするなどして、ゆっくり過ごすのもよいですね。

この夏、東京都美術館では二つの魅力的な展覧会が開催されており、館内にいながらにして、世界のアート巡りを楽しむことができます。

 

ひとつは「ボストン美術館展 芸術×力」(~2022年10月2日〈日〉)、もうひとつは「フィン・ユールとデンマークの椅子」(~2022年10月9日〈日〉)。まったく内容の違う二つの展覧会を続けて見ると、アートの多様性が感じられて実に興味深いです。

 

まずは「ボストン美術館展 芸術×力」から。

 

アメリカのボストン美術館の50万点に及ぶ所蔵品の中から選ばれた60点ほどの作品が展示されます。ボストン美術館はエジプト、アジア、ヨーロッパ、アメリカの美術をはじめ、古代から現代までの作品を幅広く収蔵しています。タイトルとなっている「芸術×力」とは、権力者たちが、その力を示し、維持するために利用した芸術という意味です。

 

権力者たちは、洋の東西を問わず、その時々の一流の職人や画家に芸術品を作らせ、権威の象徴として宮殿に飾ったり、他の力がある人に贈ったり、ある時は才能ある芸術家のパトロンとなって支援したりしました。ボストン美術館の膨大な所蔵品の中からそのような視点で選ばれた展示物であるため、地域も年代も多岐に渡ります。権力者に愛された物ばかりのためか、どの展示物も素晴らしく、見ごたえある展覧会となっています。

 

 

≪戴冠式の正装をしたナポレオン1世の肖像≫
ロベール・ルフェーヴルと工房 1812年

 

最初に目に飛び込んでくるのは、このナポレオンの肖像画。

威厳に満ち、近寄りがたいこの姿。

これぞまさに権力者が自らの存在を強く意識させるために利用した芸術品ですね。

 

 

≪龍袍≫
清 乾隆帝時代、1736~1796年

 

皇帝を象徴する12の文様である「十二章」で飾られた袍。袍とは中国の宮廷服のことです。

こちらは、清の乾隆帝のために取り置かれていたもので、絹、絹糸と金糸の綴織でできています。着る人の階級は色で示されました。

 

 

≪平治物語絵巻 三条殿夜討巻≫(一部分)
鎌倉時代、13世紀ごろ

 

12世紀半ばの日本で起きた内乱のひとつ、「平治の乱」を時系列に沿って描いた絵巻物の一部。貴族から武士へと統治者が変わっていく時代の流れを反映しています。

 

ボストン美術館は優れた日本美術も数多く所蔵しており、その多くの部分は、明治初頭にお抱え外国人として日本にきたアーネスト・フランシスコ・フェノロサのコレクションが寄贈されたものです。

 

 

≪祈る聖ドミニクス≫
エル・グレコ(ドメニコス・テオトコプーロス) 1605年ごろ

 

中世ヨーロッパで活動した修道会「ドミニコ会」の創始者。カリスマ的な説教を行うことで有名だった人物。

描いたのは、ギリシャ生まれでスペインのトレドで活躍したエル・グレコの作品。

 

 

(左右)≪平皿(「マルメゾン城の植物のセルヴィス」より)≫
(中)≪花瓶(「マルメゾン城の植物のセルヴィス」)より≫
いずれもセーブル磁器製作所 1804~1805年

 

ナポレオン1世の妻、ジョゼフィーヌの好みに合わせて特別にデザインされたもの。

フランスのセーブル磁器製作所の所長が、ジョセフィーヌの庇護をゆるぎないものにしようと考えて贈り物にしました。ジョセフィーヌはマルメゾン城の温室で植物を育てており、磁器には、それぞれ、彼女が愛した花が絵付けされています。

 

 

≪ギター(キタラ・バッテンテ)≫
ヤコポ・モスカ・カヴェッリ 1725年

 

真珠母貝やべっ甲などをふんだんに使った贅沢な装飾がほどこされたギター。

イタリアで制作されたもので、演奏するというより装飾用として用いられたとのこと。

 

 

ボストン美術館展 芸術×力(げいじゅつとちから)

東京都美術館

2022年7月23日(土)~10月2日(日)

※チケットは日時指定予約制になっています。公式サイトからご予約ください。

 

 

 

引き続き、同じく東京都美術館で開催中(~2022年10月9日〈日〉)の企画展「フィン・ユールとデンマークの椅子」にも行ってみましょう。

 

権力者のための特別な美術品が多いボストン美術館展の展示品とは一味違う生活の中の美を鑑賞する展覧会で、一部の展示品には触れたり座ったりもできます。

シンプルで機能性が高く、しかもスタイリッシュな北欧家具は人気が高く、中でもデンマークでは、1940年代から60年代にかけて、歴史に残る優れた家具が生み出されました。

 

こちらは、デンマークのデザイナーの中でももっとも著名なフィン・ユールの椅子を中心に、同時代のその他のデザイナーたちの作品も見られるユニークな企画展で、アートとして鑑賞するだけでなく、自分が使うならどの椅子がいいかなという観点でも楽しめます。

 

 

フィン・ユールがデザインした椅子と家具。

中には、実際にフィン・ユールの自宅で使われていたものもあります。

 

 

フィン・ユール以外のデザイナーの椅子もずらりと並んで壮観です。

ひとくちに椅子と言っても、無限のバリエーションがあるのですね。

 

 

座ってもよい椅子が並ぶエリア。いろいろ試した結果、わたしの一番はこれでした。

椅子はデザインも大切だけれど、もっと大切なのはどれだけ体にフィットして座り心地がよいかですよね。

 

 

企画展

フィン・ユールとデンマークの椅子

東京都美術館

2022年7月23日(土)~10月9日(日)

※「ボストン美術館展 芸術×力」のチケット提示で割引があります。

詳細は、公式サイトでご確認ください。

 

 

𠮷田さらさ 公式サイト

http://home.c01.itscom.net/sarasa/

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