スリランカ式アーユルヴェーダはインド式と根本理念は同じですが、独自の伝統療法を取り入れるなど、少し異なる部分もあるそう。詳しくご紹介します。
心身を癒し解放しながら
不調や病気知らずに!
世界最古の医学といわれるアーユルヴェーダ。紀元前5〜6世紀に、インドのヒマラヤに集まる賢者(リシ)たちによって生まれたといわれています。その名はサンスクリット語で〝生命の科学〞という意味。民間療法的なものではなく科学的な医学なので、必ずドクターによるコンサルテーションが行われます。問診や脈診などによって各人の体質や心身の状態を調べ、一人一人に最適なケアを施し、自然治癒力を高める療法です。
万物は「風・火・空・水・土」という5元素から構成されていると、アーユルヴェーダでは考えます。人はヴァータ(風と空)・ピッタ(火と水)・カパ(水と土)という3つのエネルギーの集合体で、季節、年齢、環境、時間帯による影響を受けながらもバランスをとって生きています。その中で優勢なエネギーが主要体質となります。
アーユルヴェーダがスリランカへ伝わったのは紀元前3世紀。国を統治していたウィジャヤ王が広めたといわれています。ボディ(体)・マインド(心)・ソウル(魂)を包括的に癒すという根本理念はインドと同じですが、スリランカにはアーユルヴェーダが伝わる以前から、自生するハーブ、種子や果実を使った独自の伝統療法がありました。
そのため、アーユルヴェーダにおいても、100種類以上あるといわれるスリランカ独自の素材を使っています。また、体質を判定するだけではなく、コンサルテーションを重要視します。人は皆、違った人生を歩んできているので、ドクターは脈診、血圧、既往歴を調べた上で、ゲストが発している〝気〞を繊細に感じ取り、最適なケアを見極める重要な役割を担っています。
スリランカ式アーユルヴェーダのトリートメントに使われる薬草。浄化と皮膚病に効くコホンバ、疲労回復に効果のあるアスパラ、保湿や便秘改善に効くアロエベラ、滋養強壮に最適なポルポラ、血液がサラサラになるラナワラなど、皆「ジェットウィング・ラグーン」内で栽培されています
アーユルヴェーダのステップで最初に行うのは消化器をデトックスすること。食べることはエネルギーに直結するので肝心なのです。今回リリースされた5日間プログラムでは、各人に合った食材を使ったスープや野菜を主体にした食事、トリートメント、処方されたサプリメントで心身に停滞する未消化物やストレスの排出を促します。1年に1回このプログラムを行うことは、病気の予防につながります。また体験を通して軽やかな体調や清々しい心身の状態を実感すれば、よりよく生きるために日々の暮らし方を見直す大きなきっかけとなるはずです。
基本体質とその特徴
誰もがヴァータ、ピッタ、カパという3つのエネルギーを持っています。優勢なエネルギーが主要体質ですが、大半の人はひとつだけでなくふたつのエネルギーが優勢な場合がほとんど。主要体質と違う状態を感じたら、もうひとつの体質に合う食事をとると、バランスは改善されます。
Kapha カパ
重い・遅い・冷たい・油性・調和性――水と土のエネルギーを象徴。慌てず温厚な人柄。物事を着実にやり遂げます。骨格がしっかりしていて体力があります。目が大きく滑らかな肌の持ち主。白髪はあまりありません。カパがアンバランスになるとアレルギー性鼻炎や関節痛に。また頑固になり、人や物事に執着してしまうことも。
Pitta ピッタ
熱い・鋭い・軽い・激しい・微油性・流動性――火と水のエネルギーを象徴。チャレンジ精神が旺盛で判断力もあるリーダー的存在。スタイルがよく目つきが鋭く、日焼けしやすく、暑さや強い日差しが苦手です。ピッタがアンバラスになると皮膚の炎症、目の充血、下痢などに。また怒りっぽく他人に対して批判的になります。
Vata ヴァータ
軽い・動き・速い・冷たい・乾燥・不規則――風と空のエネルギーを象徴。明朗で変化への順応性が高く想像力も豊か。物覚えはいいが忘れやすい傾向も。太りにくく乾燥肌で寒がり。ヴァータがアンバランスになると便秘やお腹にガスがたまる状態に。緊張性の頭痛に悩まされることも。また集中力が散漫で心配性になりがち。
Dr. ディネッシュ・エディリシンゲ
profile
Dr. Dinesh Edirisinghe
〝Dr. CTスキャン〞の異名を持つ「ジェットウィング・ラグーン」の名医。脈診するだけでゲストの体調や心理、既往歴を言い当て、的確なケアやアドバイスをしてくれます。今回の5日間プログラムを企画・監修。Dr.エディリシンゲの問診希望の場合は事前予約が必要
次回はトリートメントの流れと代表的なメニューについてご紹介します。
撮影/小西康夫
構成・原文/板倉由未子(トラベル&スパジャーナリスト)
コーディネート/橋迫 恵(セレンディピティ倶楽部)