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十和子道 第9回「すぐに離婚するといわれた結婚生活が20年続いた理由」

君島十和子

君島十和子

君島十和子. 1966年生まれ。モデルとして活躍後女優に。1996年、結婚を機に芸能界を引退。現在は自身のコスメブランド「FTC」のクリエイティブディレクターとして数々のヒットを生み出している。2女の母。

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取材期間1年以上、収録写真は約400点。自宅で撮影し、オール私服で登場した〝ライフスタイルブック〟の決定版、それが『十和子道』。発売されるや瞬く間に大増刷され、なんと6刷を記録した大ヒット本です。その本のもととなった連載(過去にOurAgeにて配信されたもの)の一部をお見せします!

<最初に担当編集より>

毎回、「十和子道」の取材日が決まると私が必ず十和子さんの会社のスタッフに念を押すことがあります。それは…

「その日はご主人も一緒にいてくださいますよね?」

 

なぜかというと取材のとき、夫の誉幸さんがそばにいたほうが十和子さんの表情はより自然なものとなり、インタビューの内容も俄然新鮮さを増すからです。

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ふたりの睦まじい様子には慣れっこになっていたはずですが、先日、心から感じ入ることがありました。

 

「家内は出会った頃より、今の方が綺麗だと思います」

ある日、十和子さんが所用で不在の打ちあわせの席で、夫の誉幸さんがふともらしたのです。

するとまもなく今度は別の日に、十和子さんがふふと笑いながら

「下の世話はするから安心して歳をとっていいよ、ってこの前主人が言うんです」と私に言いました。

!!!!!

 

その瞬間、3つのことが頭に浮かびました。

まず

「こんなこと言ったり言われたりする夫婦って、どれくらいいるんだろう」

そして次が

「すぐに離婚すると公言した超有名占い師もいた20年前の結婚当時、誰が今のふたりを想像できただろう」

 

そして最後に一番肝心なこと…

「それにしてもどうしてこのふたりは、こんなに仲がいいんだろう?」

です。

さぁ、おふたりは一体どういうご夫婦なのでしょうか。

 

今回屋外での撮影は、娘さん達がまだ幼かった頃に暮らしていたエリアで行いました。

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********************

十和子さんにプロポーズした理由と十和子さんがプロポーズを受けた理由。

誉幸 家内に会ったとき、女優という仕事に似つかわしくないくらいの普通の感覚を持っていることにまず驚きました。

服飾という仕事柄、キレイな女性や女優さん達にはずいぶんお目にかかってきましたが、家内は見た目以上に内面が美しい人だった。誰に対しても何に対しても誠実で正直。嘘はつかない、というよりつけない。思っていることも顔に出る(笑)。容姿は当然年齢とともに変化しますが、「この人の心は変わらない。信頼できる」と思えたのです。

十和子 一般的な男性には女性の「美」に対して20代至上主義な方が多く、とくに私が若い頃は、女性の旬をクリスマスケーキに例えて(※25(日)歳過ぎたら女の価値は半減する、という意味)公言する人も多かった。でも主人は「女性は30代なら30代の、50代なら50代の美しさがある。一生美しくあるべき」と当時から言っていた。

女性が美しくあるということをリスペクトする人です。

それに男の甲斐性として奥さんをキレイにしておくべきだという信条を持っている人。結婚してしまえば妻は空気みたいな存在、っていう男性もいる中、こういう人と家庭を持って、いっしょに年齢を重ねていけたら、しわしわのおばあちゃんになっても「あなたのしわくちゃ顔はキレイだね」って、言ってもらえるだろうと(笑)。もちろん価値観も一生付き合えると思うほど、合致していました。

それで結婚しました。

知り合ったのが1995年の2月か3月。初めてふたりきりでデートしたのが5月30日の私の誕生日。その日私は大阪でテレビ番組の収録があり、たまたま主人も仕事で関西にいるというので食事に行くことに。泊まっていたところも偶然近くだったので食事をした後ホテルまで一緒に帰ったら「じゃ、おやすみなさい」と、主人はあっさり帰っていきました。「この後、ちょっとバーで飲みませんか?」なんて一切なく、爽やかな人でした。

 

誉幸 それは「この人は絶対に大切にしたい」と思ったから。これ以上の女性が現れることはないだろう。だから下心や下世話な野望を見せてはいけない、なるべく警戒されないようにして、と。

また会えるよう細心の注意を払って、心していかねばと思ったからです。

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(上の写真)周囲に内緒で交際を始めた頃。十和子さん29歳。

 

十和子 出会ってから結婚まで半年でした。プロポーズは車の中。

実家暮らしだった私を送り届ける途中です。「はい」と即答した自分に自分でも驚きました。

その頃、女優の仕事にやっとやりがいを感じ始めていて、これっぽちも辞めたいと思っていなかった。なのにプロポーズされたとき全然迷いなく、「はい」って答えていた。

この人と一緒に生きていくほうが、地に足のついた私らしい人生が送れるんじゃないかって思ったのでしょう。

……20年も夫婦をやっていると本当にいろいろなことがあり過ぎて、記憶もどんどんあいまいになってしまうけど、そこのところは鮮明に覚えているんです。ときどき思い出してみるといいですよね、なぜこの人を選んだのかと。

人生を決めた大事なことなのに、長く暮らしていると、日常に埋没して忘れてしまいそうになることだから。

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(上の写真 ふたつとも)結婚前、十和子さんが誉幸さんに送ったカード。LINEもメールもない時代、互いに手紙を郵便やファクスで送り合った。

十和子 夫婦って、恋人のような、親友のような、親子のような…といろんな関係に例えられますが、「同志」です、私たちの場合は。

お嫁入りが決まってすぐに騒動が持ち上がり、マスコミに叩かれる日々に。

母が庭で洗濯物を干しているとご近所の方に「娘さんをあんな家に嫁がせちゃだめ」と言われるような、それこそ日本中だれひとり賛成してくれない結婚でした。翌年の夏には義父の君島一郎が突然亡くなり、そこからはさらに波乱というか怒濤の日々。

義父亡き後の主人に対する世間の風当たりは想像以上でした。

会社の存続、遺産問題…当時31才の主人に一斉に問題が降りかかってきて、彼は毎日歯を食いしばって家を出て、ボロ雑巾みたいになって帰ってきました。くたくたに疲れて、傷ついて。外であったことの詳細は言ってくれなかったけど、様子を見ていればよっぽど大変なんだろうって思ってました。

 

誉幸 毎日幸せだったけれど、必死過ぎて、甘い新婚生活どころじゃなかったです。

 

十和子 そんな状況から始まった夫婦ですから、家の中では互いに仲良くしていたいと思い、揉めてる余裕なんかなかった。だから、ともに闘ってきた「同志」っていう思いが強くあります、私たち夫婦とお義母さんは。

今振り返ると結婚当時のことは家族の絆を強くしてくれた貴重な経験、試練だったと思います。逆に、結婚して3年くらいたったとき「私って彼のことちゃんとわかってるかしら?」とふと不安になったときがありました。主人は相変わらず仕事で忙しい日々を送っているのに、愚痴のひとつも私にはこぼさない。

で、ある日「あなたのこと100%理解したいから、思っていること考えていること、みんな話して」って。そうしたら「自分だって自分自身のことを100%理解できていないのに、あなたが100%理解する必要はない。70%くらいで良いんだよ」って言われました。

なんかバッサリと切り捨てられたような感じがして、けっこうショックで…。

先に結婚していた友人に相談したら、「3年ぐらいじゃわからないんじゃない、人って」と言われて。

20年経った今は、主人の言ったことも友人の言ったことも仰せの通りって思えます。

20年夫婦をやってみてわかりました。そんなにガチガチに構えていると長く人生を共にすることはできない。

結婚って「この人しかいない」という覚悟をもって、ふたりが互いの良さを見つける努力をすることなんでしょう。

 

誉幸 違う個性を持つ男と女が、ある種の価値観を共有できるからこそ一緒にいるということ。そもそも男と女って存在の原点からして違う。対極にあるから惹きつけ合うし協力もできる。だから夫婦になるんだと思うんです。

 

十和子 私たち、夫婦のベースとなる価値観、たとえば味覚でも笑いでも美的センスでも「好き」なものが似ていて、似たもの同士。このお菓子はおいしいって喜ぶだろうな、とか、このテーブルクロスのデザインは絶対好きだろうとかわかるんです。主人が買ってきてくれたスリッパはどんぴしゃで私好みですもん。

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誉幸 ユニクロに行ったとき見つけました(笑)。でも食事を共にする夫婦にとって味覚の好みの一致は大きい。食事は三度三度のことだから。お味噌汁にしろ、煮魚の味付けにしろ、僕らは好みがほとんどいっしょで、これはありがたいな、と思います。

家内の母の味をすごく美味しいと思ったし、この味で育った人なら間違いないと。

結婚を決めたひとつの要素にもなったくらいですから。けっこう重要ですよ、味覚って。

 

家のことはなんでも関わってみる夫とそれが嫌ではない妻

 

十和子 夫婦それぞれに役割があると思うんですけど、一般的に妻の領分、夫の領分といわれていることも、うちはふたり一緒にやってきました。主人は男子厨房にも入り、子どものおむつも替えてくれました。

 

誉幸 父が家のことは一切関わらない昔型の人間でした。ですから自分が家庭を持ったときは家のことは協力できる夫や父になろうと思ったのです。家庭で父親役もこなさざるを得なかった母の苦労を幼いころからずっと見て育ってきましたしね。

 

十和子 私は主人が家事や育児に関わってくれることが、当たり前になっていたけれど、それって本当にありがたいことだと最近わかりました。

長女が宝塚音楽学校で寮生活するようになったので、昨年一年間は毎週末ごとに兵庫に行って、洗濯して、話を聞いて、買い物して、ご飯を食べさせて、帰寮時間ぎりぎりまで世話して、自分は最終便で帰ってくる。そういう日帰り母親業をひとりでやりはじめたら、(主人は東京に残って次女の世話です)「ひとりってこんなに大変なの?」と、しみじみ感じ入りました。あ、あと「私ひとりでやるとこんなにも段取りが悪いのはなぜ?」とも…(笑)。

娘も主人が来てくれたほうがいいって思っているはずです、きっと(笑)。お掃除なんか天才的に上手いし。

 

誉幸 〝ミスター現状復帰〟と呼ばれています。

 

十和子 朝起きて、ベッドから出て、お弁当作って、ちらっ、とベッドルームをのぞくと、すでにシーツも掛け布団もピシーッとホテル並みにベッドメイクされている。ちょっと腰かけるのも申し訳ないくらいきれいに。

だから子どもを送り出してからちょっとだけ寝る、という憧れの二度寝なんてできないです。

 

誉幸 ぜんぜん寝ていただいてけっこうですよ(笑)。

 

十和子 私が1日家を空けたときと、主人が空けたときでは部屋の空気のよどみ方が違う。出かけたときよりキレイになってる。私の場合、何かしら忘れたり、ドアが半開きになっていたり。でもそれを注意されたり怒られたりしたことはないんです。

 

誉幸 言う前に自分で直します。これは〝性分〟の問題ですから。

 

十和子 うふ。

 

誉幸 うふ。で、済まそうとしている(笑)。これは仕方がないこと。「キレイ好きだけれど片付けは苦手」の十和子さんですから。

十和子 強要されたり、責められたりしたら険悪なムードになって、たぶんケンカになっちゃうんでしょう。ただ主人のあきらめた空気が漂ってくるのは感じています(笑)。

 

誉幸 片付けや整理整頓は私の担当です、もはや。

 

十和子 たまに私が積極的に片付けていたりすると必要以上に褒めてくれます。

「えらい!凄い!どーしたの!?」って。

 

誉幸 僕は褒めて育てるタイプです。

 

十和子 私は褒められて伸びるタイプです(笑)。

 

誉幸 でも夫婦って、万事そう。補完関係というか、得意な人がやる、やれる人がやる。できれば、ふたりでやることがたくさんあると楽しいと思う。ふたりで取り組むと摩擦やぶつかり合いも増えるけど、その分やっぱり絆は深まるから。育児も家事も仕事も。

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十和子 (ぺこり)感謝しております。

 

時間が変えていくもの、変わらぬもの。そして強くなる妻と寛容になる夫

 

誉幸 この20年で一番変わったことは、家内がますます「君島十和子」になってきていること。仕事モードが強くなってきた。果たさなきゃいけない使命・ミッションが増えて強くなった。もともと芯のある強い人ですが、最近ますます芯がお強くなられている。

 

十和子 なんかその敬語、他意を感じます(笑)。

 

誉幸 いや、人として筋肉質になったってこと。仕事に限らず家のことでも「責任」があなたを強くした。女性はみなさんそうなのかもしれないけど。

最近、会話のキャッチボールがハードです。毎球毎球、マックス160キロの直球で、ど真ん中にどすんと投げられています。白と黒しかない。グレーがない。

「悪くないってどういうこと?いいの?悪いの?どっちなの?」って(笑)。

 

十和子 だって、それじゃどっちかわからないもの。

 

誉幸 でも「正直」なところは本当にずっと変わらない。

不器用でまっすぐで、何をやるにも一生懸命。真面目で融通がきかなくて少し不器用…

 

十和子 なんかどんどんアウェーになってる気がします(笑)。

誉幸 いやいや、そういう人だからこそ、とくに仕事のことになると一切手を緩めず、自分がとことん納得するまでやり抜けるんだと思ってる。

 

〝君島十和子の夫〟でいることにプレッシャーはない

 

誉幸 ある雑誌の編集長に「君島さん、なんかロールスロイスみたいな人と結婚しちゃったね」って言われたことがあります。女性を車に例えるのはなんなんですが…。僕はそういわれたら「じゃ、大事に乗らなきゃ」って思う。

理想的な女性と結婚したプレッシャーはあるでしょう?と聞かれることがあるけど、ないんですこれが。並んで歩くときは身だしなみくらいは気をつけていますが。

まあいろいろとご進言いただきますが、本人たちが楽しければいいんじゃないのと思います。

これから先も、「この人と楽しく生きる」と決めているので、一生夫婦であることを楽しみます。

 

十和子 50代からの理想の夫婦像は?というようなことをよく聞かれるんですが、私はずっとこのままがいい。今が少しでも長く続けばいいな、と思っています。壮大な夢や立派な計画なんてなくて、「これ美味しいね」って言いながら家族でごはんを食べているときが幸せ。ドラマなんかで「やっぱり家のごはんがいちばん!」って、中高年の夫婦がよく言うセリフがありますけど、その気持ちがよくわかります(笑)。

幸せは日々の生活の地味で何気ないところに存在してる。それはこの年になったからわかることかもしれません。

 

誉幸 母が病気になって、家族に病人がいることがどれだけ大変かということがよくわかったので、互いに健康には本当に気をつけていきたい。

 

十和子 私はできることなら主人より先に死にたい。遺されるのは辛いから。子どもたちにとっても、家のことが上手な主人がいてくれたほうが幸せだと思う(笑)。

いつか、下の世話してあげるってこの前言ってくれていたよね?

 

誉幸 うん。大丈夫、安心して歳をとってください(笑)。

私の母を見ていて、連れ合いがいなくてひとりで老いるって、ひどく辛いことだなって思った。寂しさもそうだけど、人様の手をお借りしなくちゃならないことの辛さ。そこは一番信頼して、迷惑かけられるのはやっぱり連れ合い。だから、最悪、どうなっても安心してね、と言いたかった。でも、そうは言っても、絶対にこっちが先に逝っちゃうと思うけど。

 

十和子 死んだ後というか、来世もまた私たちは夫婦でいる気がします。スピリチュアルな方にみていただくと必ず「前世も前々世も夫婦だった」って言われる。それは遣り残した課題があるから、と。

 

誉幸 今生、僕があなたを苦労させると来世は僕が女房になって苛められる…とも言われたよね。

 

十和子 あははは。来世もよろしくお願いします。

今度は私がお掃除好きな夫かな(笑)。

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撮影/冨樫実和 取材・文/稲田美穂 ヘア/黒田啓蔵

*オールカラー、自宅で撮影、オール私服、収録写真400点

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