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44年前のクイーンの初来日時、フレディ・マーキュリーは原宿におみやげを買いに行った

中島由紀子

中島由紀子

映画ジャーナリスト

ロサンゼルスでハリウッド映画のことを書き始めて25年。ゴールデン・グローブ賞を主催する「ハリウッド外国人記者クラブ」会員で、ゴールデン・グローブ賞への投票権を持つ、3人の日本人のうちのひとり。

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クイーンのロジャー・テイラーとブライアン・メイが目の前にいます。ロジャー・テイラーは69歳、ブライアン・メイは71歳。伝説のロックバンドを50年前にスタートした2人です。

 

中島さん_photo

(C)HFPA

 

個人的な話ですがクイーンが1975年に初来日した時、通訳として10日間くらい日本ツアーに同行しました。リードボーカルで今は亡きフレディ・マーキュリーが、普段はシャイな感じなのにステージにいったん上がると、思っきりシアトリカルでドラマチックな”フレディ・マーキュリー”に変身する姿に、目を見張ってました。

 

 

中島さん_photo

左から中島さん、ロジャー・テイラー、ブライアン・メイ。右端がベーシストのジョン・ディーコン。フレディは不在だが、44年前の貴重な1枚

 

 

派手、ゴージャス、ユニークな舞台。武道館などの大きな会場に集まる何千というファンたちの中で、汗だくになって演奏を終え、興奮冷めやらぬ大歓声と騒ぎを後に、舞台から楽屋に走って帰って行く彼らの姿を思い出します。彼らがどれくらいの時間、楽屋にこもって自分たちの中の興奮が収まるのを待ったのか、はっきり覚えてないのですが、ステージの後は必ず楽屋に飛び込んで、しばらく出て来ませんでした。

 

 

首にタオルを巻いて楽屋から出て来た時は、すでに普段の彼らに戻っていて、何もなかったように普通の会話を普通にしながら迎えの車に乗り込んで行くのです。あの興奮、あの情熱、あのエネルギーはどこに行ってしまったのかと、コンサートのたびに思ってました。

 

 

映画『ボヘミアン・ラプソディ』が世界的に大ヒットし、リードシンガーの故フレディー・マーキュリーを演じたラミ・マレックがアカデミー賞主演男優賞をもらったことなどから、ブライアンとロジャーはすっかり現役ロックンローラーに返り咲きました。

 

 

「この映画のおかげで僕たちもキャリアもすっかりエネジャイズされたんだ」とうれしそうに話すブライアン・メイ。「僕たちの今年の夏の世界ツアーは今までにない規模のものになる」とロジャー・テイラーも目を輝かせます。

 

中島さん_photo

フレディを演じたラミ・マレックはアカデミー主演男優賞を受賞。(C)HFPA

 

 

先日のアカデミー賞は彼らの“we will rock you ”でスタートしました。ここ何年かなかった最高のオープニング!と絶賛されました。

 

 

ゴールデン・グローブ賞出席のためにロスに来た2人の記者会見がありました。私が44年前の話をすると2人は目を丸くして「あの時のことは忘れられない。空港に着くなり『えっ!!?? もしかして僕たちビートルズ?』と思うくらいすごい歓迎を受けたんだ。日本以外ではそれほど受けてなかった頃だったから、本当にうれしかった」とロジャー。「空港に着いた時から日本に対する特別な感情を持った」とブライアン。彼は当時、インタビューで「僕は日本に移住するからね」と笑っていましたっけ。

 

中島さん_photo

ゴールデン・グローブ賞でも主演男優賞を受賞したラミ。ブライアン、ロジャーと3ショット。(C)HFPA

 

 

その時の強い印象が”紳士的なロックンローラー”でした。ある時彼らに「馬鹿騒ぎしないんですね?」と言ったら「日本は礼儀正しい国だからハメを外すな、と警告されてきたんだよ」とフレディが笑ってました。

 

 

映画は、今は亡きフレディ・マーキュリーのミュージシャンとしての稀有な才能、ゲイであることを自分自身が受け入れ、あるがままの自分として生きて行こうとする彼の変化を描いてます。

 

 

東京でフレディのおみやげショッピングにもつき合いました。原宿周辺に一緒に行ったのです。「僕にはマリーというガールフレンドがいてね、母は彼女のことが大好きで、僕が彼女と結婚してくれれば良いなあと思っているのが見え見えなんだ。でもねえ…」と真面目な顔で教えてくれました。マリーへのおみやげを探しに行ったんです。

 

 

マリーは映画の中でも重要な登場人物ですが、彼がマリーをとても大切に思っていたのはあの時も映画の中でも変わっていません。ブライアンが「実は僕たちも長い間フレディがゲイなのを知らなかった」と言うと、ロジャーが「えっ、フレディってゲイなの?」とふざけて言います。

 

 

「フレディはいつも可愛い女の子に囲まれててね。可愛い子を挟んで喧嘩したこともある」と笑うロジャー。「まだお金がなくてツアーの時にフレディと部屋をシェアしてたとき、彼は確かにプリティガールをたくさん連れて来てた」とブライアン。

 

 

44年前の思い出の中のフレディは、1人でいるのが好き、という印象でした。ロジャーやベースのジョン・ディーコンは、通訳の私たち相手にトランプをするのが好きで、よくポーカーなどで時間つぶしをしてました。ブライアンは部屋に顔をだして「誰が勝ってるの?」とか聞いてましたが、フレディはほとんど顔を出したことはなかったです。

 

 

ステージの動きを1人でリハーサルしているフレディに「パフォーマンスの準備ですね」と言ったら、ロジャーが「彼の人生すべてがパフォーマンスなんだよ」とフレディをからかってました。

 

 

ブライアンは今回、「僕たちに取ってエゴは車を走らすガソリンのようなもの。エゴがぶつかり合わなければ進歩もない。ただ僕たちはどこかでお互いに敬意を持って対処する技を備えていたから、今まで続いたんだと思う」と言ってました。彼は髪の毛が白くなっただけで、哲学的な表情も静かな立ち居振る舞いも変わっていません。

 

 

ずば抜けて”プリティフェース”だったロジャーは、顔と正反対にどこか男っぽさを感じる強いエネルギーを発散してました。今は、その男っぽいエネルギーに落ち着きが加わって、冷静で自分を笑える英国的ユーモアたっぷりの素敵な紳士です。いつもスタイリッシュな感じでしたが、今回も目立たずにいいものを着こなしてる感じ。

中島さん_photo

(C)HFPA

 

写真を撮る時に、ふとブライアンの足元を見たら、履き古したスニーカーがロックンロールしてました。

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